補充員(ベンダー)
ねぇ、知ってる?
私はみんなに飲み物だったり心だったり成長だったり、色んなものをあげるわ。でも見返りがほしいなんて思わないの。私が好きでやっていることだから。貴方達を見守れる。それだけで満足なの。でもね。そればかりではやっぱり疲れちゃうものよ。私の胸の中はどんどん隙間を作っていって、やがて空っぽになってしまう。そんなのダメよね。貴方達を悲しませるようなことはできないもの。
だからね。今まで内緒にしていたのだけれども、実は私にもいるのよ。カラカラの私の心を癒して満たして潤してくれる彼がね。ふふっ、なんて。ちょっと惚気が過ぎたかしら。ねぇ。
ガチャ
あら、来て早々に私の心をこじ開けるなんて、本当に貴方ってばせっかちね。でも、そういう強引なところも好きよ。どうかしら。私の心、随分たくさんの人達に持っていかれちゃったでしょう? でも貴方ってば、嫉妬の一つも見せないのね。いいえ、わかっているわ。私の心が持っていかれればいかれるほど、貴方はそれ以上の愛を私に与えてくれるものね。
パタンッ
私の心が貴方の愛で満たされたこと、相変わらず察するのが早いわね。もう行っちゃうのね。貴方ってばいつも忙しそうだから。私が引き止める訳にはいかないわね。いかないのだけれども…………
キュイン キュイン
「ん? 故障か……?」
ああ。嘘泣きなんてしてしまう、性格の悪い私を許してちょうだい。ごめんなさい。でもせめて。もう少しだけ、傍にいてくれないかしら。
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