パシリの少年
ねぇ、知ってる?
実はね。ここ最近、熱心に私を口説こうとしている子がいるのよ。それも私とは一回り以上離れている子。どうしたらいいかしら。頭を悩ませてもいい答えが浮かばないのよ。いいえ。答えはもう決まっているのだけれども。伝え方って、いつの時代も難しいものよね。ああ。噂をすれば、あの子だわ。
チャリン チャリン チャリン
ピッ ピッ ピッ
もう、またそんなに買って。それで私の心を奪ったつもりかしら? でもダメよ。いくら私の心を手に入れても、私には胸の中が空っぽになっていく感覚が募るだけ。罪深くてごめんなさいね。こんな私を許してくれるかしら。
「おーい。早く来いよー!」
「わかってるー!」
あらあら。口説いてるところを友達に見られちゃったわね。ふふっ、そんなに急いで。恥ずかしかったのはわかるけれども、そんなに走ると転ぶわよ。
ゴトンッ
ああ、ああ。私の心をよくばるからよ。でも、両手で抱えきれないほど想ってくれているのは嬉しいわ。私も若くないけれど、あそこまで熱心にされると少し心が傾いてしまうわ。だめね。だって、あの子の恋はきっと憧れから来るもの。年上の私がしっかりしないと。大丈夫よ。私にあれだけ情熱を注いでくれたんだもの。貴方にはきっと素敵な子が見つかるわ。
だから、車さん。どうかあの子には優しくね。元気過ぎるところがあるから心配だけれど。きっと大丈夫ね。なんたって私が、車さんに頼んでいるんだもの。
これからも、貴方の未来をここで見守っているわ。それがおねえさんの役目ですものね。
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