赤信号
ねぇ、知ってる?
私って、あることが起きるとすごく注目されるのよ。私よりも高いところにね、赤や黄や緑に光る機械の子がいるの。その子が赤に光った時、私の前にたくさんの機械達が現れるのよ。
でもわかっているわ。貴方達が私を見てるんじゃないってこと。貴方達、車っていうんでしょう? それも、貴方達からは人が出てくるんでしょう。びっくりよ。
どうして機械の貴方達に入っているのかしら。もしかして、そういう仲なのかしら? あら、ごめんなさい。そういうのは野暮よね。ごめんなさい。若い子達を見てるとついね。
でも、貴方達に本当に謝るべきことは他にあるわよね。意地悪なこと言ってごめんなさい。実は、わかっているのよ。貴方達の中にいる人達はみんな――私を見ているんでしょう。
あの赤い光は、私へのスポットライトね。でも、赤というところが残念ね。私の体も真っ赤に彩られているのに。さらに赤で照らされたら、私が照れているみたいで少し気恥ずかしいわ。機械の貴方達の中にいるのは、私に見ていることを気付かれたくなくて隠れているのね。ごめんなさい、機械の貴方達には本当に悪いことをしているわね。ごめんなさい。人気者は辛いわね。
ブゥーンッ
あらあら。私に気付かれたのがわかったのかしら。みんな逃げていってしまったわ。いつもそう。あの光が緑になるとみんな急いで帰っちゃう。もっと居ても良いのにね。…………もしかして。緑の光を出してる機械の子、貴方も私が? どうしましょう。私ってば誰か一人を選ぶなんてできないわ。でもね。私はいつだって貴方達の味方よ。
あら、また赤になったわ。ふふっ、わかってくれたのね。ありがとう。
ほら、みんな。そんなところで見てないで。もう少し寄って来ても良いのよ?
……………………良いのよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます