VRゲーマー少女の「青春攻略法」と、それに何故か巻き込まれた俺。
朝露
アオハル・チュートリアル!
電脳勇者は青春の夢を見るか?
第1話 新学期前の深夜って滅茶苦茶ネット過疎いよね
それは、出会いと別れを感じさせる、春の花。
青春の象徴を見上げながら、俺は。
「まじでヤバい…これは俺至上10番目位にヤバい…」
結構強力な睡魔に襲われていた。
少し状況を説明しよう。
俺は
そう、今日は1学期の始業式。学生生活の中でもトップクラスの重要な日だ。
だと言うのに…
「滅茶苦茶に
昨夜、俺はあろうことかVRMMOゲームで遊び倒し、結果として布団に入らずに朝日を迎えてしまった。
言うまでもなく自業自得、全ては俺のせいだ。
只、残念ながら自身の過失を認めても眠気は消えてくれない。
「はぁ…こんなことなら寝とけば良かった。」
だから、こうして自分を恨む事しか出来ないのだ。
「まぁ始業式の後は最悪寝てても良い…取り敢えず行事には出ねば…」
愚痴か決意表明か自分でも分からない独り言を呟き、俺は若干ずり落ちて来た鞄を背負い直した。
「やぁやぁ
なんとかぶっ倒れずに登校し、92%気合いで耐えた始業式の反動で机に突っ伏している俺に、そんな挨拶、或いは問いかけが飛んできた。
「マジでクソ
「僕は某万能猫型ロボットじゃ無いので都合良くコーヒー持ってたりはしないし、鳴ちゃん呼びもやめないよ。」
妙なハイテンションで俺の要望に返答するのは、肩辺りまで伸びた髪と、男性にしては比較的細めの体躯から、中性的な雰囲気を感じさせる糸目の人物─────俺の友人である
「…使えねぇなぁ。」
「君の数少ない友人を『使えない』扱いは人の心無くない?」
「黙れ。後俺は別に友人が多くないだけで少ない訳じゃない。」
そんなごく普通の会話をしていると、不意に東がニッコリと微笑んだ。
「…じゃあさ、鳴ちゃん。目が覚める事言ってあげようか。」
俺は嫌な予感がしていた。こいつがこのような事を言う時は大体『裏』がある。
「お前、なんか企んだりしてないよな?」
故に、俺は疑問と警戒を内包した一言を放つのだが、
「まさか!僕の行動は100%善意で出来てるんだよ?」
…大体この一言が返ってきて、それで終わりだ。
まぁ、この眠気を解消できるのなら、こいつの下らない悪戯も甘んじて受け入れるか。
「…なんだよ、目が覚める事って。」
「さっきからさ、多分1年生かな?女の子が君を熱心に見つめてるよ。」
全く呆れた。そんな明らかな嘘で俺をからかうつもりなのか?
「…ハァ、疲れるからもう少しマシな嘘を
俺は東に向かってそう言い、新学期初日から大胆な居眠りを敢行しようと─────
「いやいや、マジだって。ほら、そこ見てみな?」
「…?」
そんな東の声に、俺は机に突っ伏したまま顔を廊下の方に向けた。
「…!」
その少女は、俺と目が合い、少し物怖じするように赤面して顔を背けた。
つまり、俺を見ていた。
「…マジかよ…」
「マジ、だったでしょ?」
何故か自慢気な東の声が、眠気の消え失せた脳に響いた。
VRゲーマー少女の「青春攻略法」と、それに何故か巻き込まれた俺。 朝露 @Good_morning2525
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