↓第54話 。∇ 。 あのときの夢って……

 カミールは日本にやってきた。

 目的は観光。

 ゲームショップや電気街などをめぐり、メイド喫茶を満喫した。


「もえもえきゅん! もえもえきゅんなのじゃ!」


 だが、彼女たちの真の目的は他にある。

 カミールは日本の、『食べ放題』という文化に興味があった。

 向かったのは羊肉の焼肉店、『ラムウ』。

 大きな羊の看板に心躍らせ、カミールは勢いよく暖簾のれんをくぐる。

 個室の席につきメニュー表を見ると、その無邪気な瞳がいっそう輝きを増した。


「うおー! この値段で無限に肉が食えるじゃと!? いったいどうなっとる!?」


「フフン、いい質問ですカミらん。それは異世界からお肉を無限に召喚させているんですよ」


「なんと!?」


「おい迷子、ウソ教えんなウソを」


「カミちゃん。メイちゃんの言うことは無視していいからねぇ」


 数分後。

 店員さんが「お待たせしました~!」と言って、大皿に盛られた肉を持ってくる。

 執事の二人が目を光らせ、「我々の出番ですね」と、絶妙な塩梅で肉を焼き上げた。


 小皿に配られた肉、肉、肉。


 一同は「いただきます!」と言って、肉汁したたるラム肉を頬張る。

 ジューシーで甘みのある脂と、やわらかな弾力。

 幸せは思わず言葉になり、気づけば一同の口から溢れ出ていた。


「「「らむぅ~」」」



       ☆おわり

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才城迷子のカタルシス☆帳 ~暁月の吸血姫~ 水原蔵人 @natuhayapparisuika

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