第2話 安眠枕
「出たな青大蛇め、お前が風魔法に弱いことは経験済みだぜ! 」
真っ白ふかふかの安眠枕に転生してしまった俺は、今日も森の中でレベル上げに励んでいた。
最初は生成したコーラを餌に昆虫系の魔物を倒し、今度はそれを餌に動物系の魔物を狩る。 そしてさらに上位の魔物を……という感じでやっている。
「魔物の素材と出てきた魔石は空間収納に詰めているけど、まだまだ入りそうだな」
俺は倒した巨大な蛇を空間収納に仕舞いながら、この場からの移動を考える。
さすがに、同じ場所では魔物の種類も限られるし、飽きが来たのだ。
蟻、バッタ、カエル、猪、熊、蛇、大トカゲ、大鶏、巨大な黒い虎――
どれも最初は恐ろしかったが、慣れてしまえばなんてことはない。
それに「倒すとスキルも増えるからな! 」
栄養吸収は、倒した敵の身体、スキルをなんでも自身の栄養に変える。
最初は液体のみ吸収できたが、今では固形もいけるし、味覚も嗅覚も自在にオンに出来て楽しい。
今の俺のステータスは
▶ステータス
名前:(無し)
レベル:120
種族:安眠枕
称号:転生者
数値:攻撃500 防御500 魔力2500 体力500 敏捷50
スキル:複眼Lv.3・鑑定Lv.3・自動回復Lv.3・成長促進Lv.3・栄養吸収Lv.3・コーラLv.3・睡眠促進Lv.1・成長促進Lv.3・空間収納Lv.3・剣技Lv.3・火魔法Lv.3・土魔法Lv.3・雷魔法Lv.3・水魔法Lv.3・闇魔法Lv.3・・魔法合成Lv.3・硬化Lv.3・範囲回復Lv.1・状態異常耐性Lv.3・魔法耐性Lv.3・破損耐性Lv.3・温度耐性Lv.1・念話Lv.1・念動力Lv.3・ステータス強化魔法Lv.3・毒攻撃Lv.3・跳躍力強化Lv.3・索敵Lv.3・威嚇Lv.3・発光Lv.3・言語理解Lv.3・調理Lv.1・味覚/嗅覚強化Lv.3
という具合だ。
毎日魔物を倒しているからなのか、それとも魔物の質が良いからなのか?
レベルは100を突破した。
スキルは可能な限りバランス良く使っているのもあって、全体的に3ぐらいにはなった。吸収でスキルが重なると、レベル以外のスキル要素――コツのようなものが上昇した。
各属性の魔法耐性など、一部のスキルは上位のものに統合されている。
Lv.1からLv.2まで早かったので、スキルレベルはもっと簡単に上がるものだと思ったが、3以降はなかなか見えない。
「さて、身の安全も確保できるし、移動したいが…… 」
俺には手立てがない。
念動力は、自分以外の物体にしか作用しない。
魔物を手なずけるのも無理だった。
う~ん。
と、そのとき、索敵スキルに反応があった。
感じたことの無い気配だ……
複眼を発動。 いち早く相手を発見できるように、警戒する。
念動力で自分を隠す物陰を作った。
しかし、草むらから現れたのは、髪ボサボサの金髪エルフ少女だった。
「やつれたエルフだ…… 」
◆
エルフは俺に近づくなり
「なんなの、この気配は。 明らかに魔物か何かがいるのに、近くまで来ても何も見えない…… 」
あ~、おそらくこのエルフは、感知系のスキル持ちなんだろうな。
で、俺の気配は分かるけど、まさか足元の枕だとは思っていない感じかな?
しかし、魔物とは失礼な…… あれ? この世界では安眠枕が魔物だったりしないよね?!
エルフは不思議そうにきょろきょろ見回している。
――まぁ、この反応なら大丈夫か。
しばらくして
「街には異常無しと報告するしかないわね」
と、帰ろうとするエルフ。
「まてまて! まだ帰らないでくれ! 」
おれは念話で呼び止める。
ようやく来た移動手段、逃がしてなるものか!
「なに?! 誰なの?! 」
「そう警戒するなって、俺は足元に居る」
「え? 」
エルフの少女は剣を構えながら、一歩下がる。
「いったいどこに?! 」
「ここだって」
俺は念動力で、隠れていた草木をどかし、スキル:発光で、柔らかく光って見せた。
「ま、まくら型の魔物?! 」
「いや違う! 枕型の枕だよ! 安眠枕!! 」
「あんみん…… あなた、言葉が分かるの? 」
「そりゃ会話出来ているしな」
このままいても、エルフの質問と警戒は続きそうだ……
俺はさっそく本題に入る。
「俺を別の場所まで、運んではくれないか? 」
「え? 」
「俺を別の場所まで、運んではくれないか? 」
「いや、聞こえたわよ」
「どうなんだ? 頼めるか? 出来るお礼ならするぞ? 俺は枕で、移動が出来ないんだ」
「敵では、ないのね? 」
「もちろんだよ! 」
「じゃあ、分かったわ」
なんと、あっさりOKが出た。
「いいのか! ありがとう!! 」
「別に良いわ、ついでよ」
エルフは俺の傍の岩に腰を掛けて
「でも少し休ませて。 」
「ゆっくりで全く問題は無い! 」
「夜までには安全な場所を確保しなきゃ…… 」」
よく見ればエルフは髪がボサボサなだけじゃない、やつれ気味だし、目の下にはクマもあるじゃないか。 これは安眠枕として、黙っていられない。
「ちょっと、俺で寝ていかないか? 」
「寝る? 」
「そうだ。 見たところ、とても疲れている様子だ。 休んだ方が良い」
「この危険な魔の森の奥地で? 」
「それは知らなかった…… 」
危険だったんだ、俺の生まれた場所……
「魔物はこの枕に任せろ、ここで生き抜く術は知っているんだ」
「でも…… 」
「ほんの少しでもいい、俺に頭を乗せて、目を閉じろ」
「はぁ…… わかった。 少しだけお願い」
俺はさっそく土魔法で土台を形成。
水魔法と火魔法でぬるま湯を作り、下から土台を温める。
お湯を消し、風魔法でカラッとさせた。
空間収納から、大鶏の羽毛を取り出して念動力で布団を生成。
一枚を敷き布団に、もう一枚を掛け布団に。
お腹もすいていそうだったので、木製のコップにコーラを生成。
火魔法で炙った猪の肉も添える。 味が薄くて申し訳ないな。
「さあどうぞ、その飲み物はコーラというんだが、知っているか? 」
「何…… これ…… 」
さぁ、枕人生初の枕らしい仕事だ!
安眠枕に転生したけど、魔法とスキルで無双します。 ひたかのみつ @hitakanomitsu
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