勇者召喚って誘拐じゃないですか? 終

 法廷を閉廷した我が身は真っ白な部屋で一人一人の闇ギルドに属して、事件を実行した者たちに相応しい罪を選択していきました。


 10名ほど実行犯には、法務省を爆破したものにはテロ行為と、器物破損などの法律的な処置を。


 第一王子を殺害未遂をしたものたちには、殺人未遂容疑を。

 

 第三王子を襲撃したものたちには、殺人未遂を


 それぞれに合った法律上の罪で問うことになります。

 

 全てをやり終えて、我が身は改めて白い部屋の中で一人ため息を吐きました。


 親が子を操り、犯罪行為を行わせる。


 なんと罪深く、悲しい行為だったのでしょうか? こんなことになるのであれば、罪など暴くことなく真実など闇に消えていても良かったのではないか? そんな風に思えます。


「さて、帰りましょうか?」


 私は王を含め、宰相閣下や、公爵様。


 この国の最重要人物たちを退位させるほど追い込みました。

 今後は第一王子イスカ様が取り仕切ることになりますが、我が身の役目は終わりを迎えることになるかもしれませんね。


 王国を広めるために王国にやって参りましたが、王国の最重要人物たちによる犯罪行為。


 それを暴いた者として、この国に求められるとは思いません。


 それに我が身が他所の国に属していたからこそ、今回の事件は暴くことができたように思います。


 もしも、我が身がこの国の住民で、王からの命令に逆らえない状態であれば、きっと暴くことはできなかったでしょう。


 法廷を出た先で何が待っているのか? 正直に申せば分かりきっていることでしょうね。

 

 ですが、この法廷で定めた判決が覆ることはありません。


 それは我が身の能力であると同時に、神が与えた能力ですから。


 我が身は立ち上がって白い部屋を出ました。

 そこは見慣れた執務室であり、そして、大勢の来客を出迎えたところでした。


「こんばんは、ケインさん。こんな夜分遅くにどうされたのですか?」

「……シャーク・リブラ子爵。あなたに反逆罪の罪がかかっている。一緒にご同行願おうか?」

「もちろん、構いません。しばらく戻ることができなしょうから、この子達のお世話をマリアンヌに頼んでおいていただけますか?」

「必ず、叶えよう」

「ありがとうございます」


 我が身はかけられていた上着を羽織り、帽子とステッキを持ってケインさんの横へと並ぶ。猫背の我が身と違って、背の高いケインさんを見上げます。


 ケインさんは険しい顔をしておられました。


「どうされたのです? 大捕物ですよ。現職の裁判官を捕まえる大手柄です」

「……バカにするなよ。貴様が此度の一件を暴かなくても良かったことはわかっている。それに、第一王子イスカ様の命を助け、第三王子アイン様の心を救った。全て、私もあの場で見ていたのだ」


 ケインさんは我が身にしか聞こえない声で、苦しそうに吐き出しました。


「なんともお優しい。国とは結局は人です。人がどのように判断して、どのように決断するのか? それの積み重ねでしかありません。王として生まれ、宰相になり、公爵という地位を得た方々が、何を判断して、決断したのか? そんなことは我が身には分かりかねます」


 我が身以上に悔しそうな顔をされるケインさん。

 彼のような人材に出会えたことが此度の事件においては一番の収穫でしたね。


 法務省を出ると、聖女ミレディーナ様がおりました。


「……リブラ様」

「面倒なことを頼みますが、第三王子の改心をさせる方法を神聖国に委ねてしまいました。申し訳ありません」

「いえ、こうなることをわかっておられたのでしょ?」

「どうでしょうか? ですが、マリアンヌのこともお願いします」

「必ず!」


 聖女様は気丈でとても素晴らしい女性です。

 このような女性に惚れれば幸せになるれでしょうね。


 警備隊の馬車に乗り込むと、窓からシビリアンがこちらを見ている姿が見えました。素直ではない人ですね。


 我が身は窓っごしに頭を下げた。


 警備隊が管轄している場所ではなく、私はそのまま王宮にある宰相様の執務室へと通されました。


「改めて、此度の一件、ご苦労でした」

「……はい」

「今後はあなたのおかげで法律が遵守されるようになるでしょう。王自ら法によって退位した事実が残るのですから」

「結局は、全て宰相閣下の掌の上ということですか?」


 勇者召喚が行われ、王が関与していると判断された時から、宰相閣下が全てを計画した? 公爵様はずっと宰相閣下を疑っておられましたね。


「いいえ。あなたには私のこともしてやられましたから」

「それで反逆罪で、我が身は死罪でしょうか?」

「申し訳なく思いますが、そうなります。今までご苦労様でした」


 いつもの張り付いたような笑顔で宣言する宰相閣下は、やはり恐ろしい人ですね。


「そうですか」

「そう言っても、死んだことにして国外追放が良いところでしょう。自国に帰られるがいい」

「よろしいのですか?」

「第一王子イスカ様を救ってくれた功績です。私は元々第一王子イスカ様に王へになっていただきたかったので。バカな第二王子でも、聡明だと言われ生意気な第三王子でもありません」


 やはり宰相閣下の思惑通りだ。


 掌の上で踊り、宰相閣下の望む結末をもたらした。


 我が身は拘束された後に、死刑がその日の晩に実行され、荷物や従魔は重要参考物として、警備隊が全てを引き上げました。


 パトラさんだけはマリアンヌさんの元に残りアーサーは飛び立っていきました。


「今度はどこに行くんだ?」

「さぁ、王国での仕事は終えましたからね? 次は気ままに旅をするのもありかもしれません」

「くくく、どうせどっかの国に潜り込んで法律の仕事をするんだろ? 俺も付き合わせろ」


 死人に向けて話しかけてくるのはやめてほしいですね。


 シビリアンと、肩に乗ったアーサー君。


 三人で私たちは荒野を進んでいく。 

 

 次の街を目指して。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき。


 どうも作者のイコです。


 これにてこの話を完結にしたいと思います。

 まだまだ自分の力不足でミステリーを書く力はなかったようです。

 カクヨムでランキングを上げることができませんでした。


 読者様を魅力するにはまだまだ力不足だったようなので、また勉強し直して、ミステリーに挑戦したいと思います。


 その時にはお付き合いいただければと思います!


 今日まで読んでいただきありがとうございます。

 別作品の応援もしていただければ嬉しく思います!

 どうぞ今後もよろしくお願いします(๑>◡<๑)

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