詩  「ひとり」

@aono-haiji

第1話  詩  「ひとり」


もう この寂しい丘の上に

通り抜けた季節の色はない

50センチ四方の小さな部屋


わたしは目がさめているかどうか

わからなくて

手で こつこつと机をたたき

自分がこの世界に

訪れてくれるのを待っている


懺悔の部屋なのかな

聞いてくれる人はいないよ

だってもう

罪は忘れられてしまったから


わたしはこの 

木が香るだけの空間に

捨てられている


愛されもせず

憎まれもせず

だから

寂しくもない


さびしがるわたしは

死んでしまった


ただ ただ

この部屋の外が明るく暖かい

それだけを感じている


これは淋しさじゃない

ひとは

最後は

もともとのひとりに

戻るのだから

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

 詩  「ひとり」 @aono-haiji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る