16.オーバータイム:ドゴンスカイ

 柚希ちゃんから貰った手紙はなかなかに奇麗な字だった。手紙なんて初めて貰ったが、言葉ではなく書いた字から想いが伝わる。

 また戻ってきちまったのか、ここに。


「お帰り、波。また組めるなんて嬉しいよ」

「アタシも藤野さんと組めるのは嬉しいぜ」

「新人が来てますのよドラグナさん!」

 そいつは白田みたいなやつだった。腰の低い男だ。

 

「俺、アイスさんがここに入ったって聞いて無理言って入れてもらいましたけど、足手まといだったらハッキリ言ってもらって構わないっす!」


「アタシはドラグナだ」

「俺はスカイっていうっす!」

 元気があっていい感じだ。威勢の良い奴ほど叩きがいがある。


「なあドラグナ、相手をしてやってくれないか?」

「スカイか、用意しな」

 スカイが準備している間に、柚希から貰った手紙を鍵付きの引き出しに入れる。昔みんなで撮ったアビスハイウェイの思い出を写真立てに入れて、いっちょ気合入れて新人をなぶりに行く。


「ユニフォーム忘れてますよ藤野先輩」

「ああ、すまない。岡田にはある服を着てもらう」

「ユニフォームっすか!もう自分のがあるんすか⁉」

「わたくしが選びましたのよ!」


 メイド服を着たスカイは割と背が低い為、ちょっとだが、ショタメイドみたいでなんかえっちだった。


 目を丸くしたスカイは、まだ状況が呑み込めずに周りをきょろきょろと観る。

 そしてアタシを観てこう聞いた。


「一体何が始まるんです?」

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ディアーリスポーンズ:東京発地獄行きニート、死後FPSプロを目指す 終 カズサ @Owarikazusa

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