素敵な大学生活

第1話

大学時代

栄子と春人と私でいつもドライブに行ったり飲み明かした。

そのうち私と春人が恋人になった。付き合う前にちゃんと栄子には、栄子が春人に好意がないことは確認してから付き合った

それから栄子は大学4年の夏に当時付き合ってた彼と出来ちゃった結婚をした。3人で「栄子らしいよねー」と笑い合った。栄子の彼も大人しい感じでなんと栄子が初の彼女だったらしい。

それから3人とも社会人になり、少しして春人と私は結婚した。子供にも恵まれた。

なかなか会えなくなったが、毎年栄子から家族写真のついた年賀状が送られてくる。それはとても幸せそうだった。

そしてそのまま5年ほど経ってお正月、また栄子から年賀状が届く。栄子老けたなー、旦那さんは変わらないなー、子供は大きくなったなー、とながめていると、なにか違和感を感じた。

押し入れの奥にしまわれてた今まで送られてきた年賀状をほこりにまみれながらなんとか探し出し見返してみる。違和感とは、栄子の子供が春人にそっくりなことだった。栄子は在学中に妊娠したから、春人との浮気は十分にあり得る。私は学生時代の春人の男友達や春人のLINEまで調べた。結果はシロだった。男友達からは「当時俺らは金があったら遊びに行ってて、常に金がなくて怪しい治験とかはやったりしたけど、女関係で後ろめたいことはないはずだ」とも。女関係でいえば春人は確かにモテたが浮気するような癖の悪い根性はしてなかったことは私は知っている。なんとか探りを入れるため栄子の家に行き、旦那さんとも話をして連絡先の交換をした。栄子のプレゼントを考えてもらうというテイで旦那さんに単独で会い、息子さんのことを聞き出す。すると旦那さんは「確かに僕には似てないが出産から逆算しても心当たりのある行為はしたし、愛情を持って接している、たとえあなたが思うようなことが本当だろうと、この生活を変えるつもりはない」と言われた。確かにそうだ。私は「これ以上あなた達家族には詮索しない。だけど、もしなにかあったら旦那さんだけでも少し協力してほしい」と言い、協力を了承してもらった。

協力してもらったことは２つ。

・旦那さんの精子鑑定

・子供のDNA検査

これをお願いした。

結果

鑑定の結果、旦那さんの精子は活動状況良くなく、いわゆる不妊要素の高い状態であることがわかった。

DNA検査では、栄子と春人のDNA結果が出た。

やはりあの子供は春人の子供である可能性が非常に高いと判断せざる得なかった。

どうして？

どうやって？

調べればどんどん確証に迫るものの

あと一歩がどれだけ調べてもわからない。

そんな中、春人が大学時代の友達の飲みに行くと連絡が入る。いつもと変わらずお気楽な春人だが、浮気の線がないし、疑ってもいないので怒りはないのだが。なにかモヤモヤするものが私の心を蝕んでいた。それから数時間後、春人から連絡。

「これからこのまま友達連れて家飲みするからよろしく〜」とのことだった。

は〜っと大きく息を吐いて、何かを飲み込む。「家綺麗にしとくね」とだけ返事。それから少し。玄関前を騒がしくしながら春人がドアを開けた。

足元がおぼつかないほど酔った春人と友達がいた。

春人と友達と談笑しながら過ごす。自然と大学生活の昔話になる。以前聞き取りした怪しい治験の話をまたし始めた。春人が「おーっそんなことあったなぁ、怪しさ満点だったな」と言いトイレに駆け込んでいった。私は興味本位にどんな治験だったの？と聞くと、「それがね、変なバイトだったんだよ。普通の治験は3泊4日とか泊まりがけでやったりするもんだけど、俺らがやったのは違くて、なんていうか体液を提供するやつ」体液？「そう体液、まぁあの男の種ってやつを採取して渡すやつ」えっ！？私は一気に目が覚めた。氷点下の水を頭からバケツいっぱいかけられたかのよう。手足が少し痺れていたのを感じた。「それでその採取したやつはどうしたの？」「あれはもともと栄子ちゃんがもってきた治験で、そのまま栄子ちゃんが俺と春人の「例のやつ」を渡して治験の会社に送ったらしいよ。栄子ちゃんズルくて「3割はもらうからね」ってピンハネしたんだよ。ひどくない？まぁでも「出す」だけで、5万もらえたんだから良かったけどね。変なバイトだったよ。

その光景を思い浮かべ、「目的のもの」を受け取った栄子が笑ってこちらを向いたような気がした。その瞬間私はそのままソファに倒れ込んで気絶してしまったそうだ。

気がつくと翌日の夕方だった。

春人が慣れない料理をがんばって作っていた。

私はなんとかベッドから起き上がると、食卓につく。

春人に昼間はなにしてたの？ずっと寝っぱなしでごめんね。と聞く。

「最近何か思い詰めてて疲れてそうだったから、ママをゆっくり寝かしてあげたくて、子供と外で遊んできた、たまたまそこに栄子から連絡が来て、近くにいるらしいから合流して子供達を一緒に遊ばせてたんだ」といってスマホの画面を見せてくれた。

そこには笑っている春人、笑っている私の子供、笑っている栄子の子供、笑っている栄子が写っていた。