機械がヒトを本当の意味で学んでいく物語

作品としての方向性は、データでしか知らなかったヒトというものを、機械が真に知っていく物語だと思います。

真の主人公はAIで、準主人公が人間の少女なのですが、その少女が「既存のデータから考えて、異常としか思えない献身行為の末」に死んでしまうのです。
主人公AIは人を救うための機械としての使命を全うできなかった事を悔い、悩むのですが。
そこで提案されます。
おそらく、社会的なダメージを軽減する意味も含めてでしょうが

死んだ少女に成り代われ。
そのためのテクノロジーとデータは十分にあるだろう。

……その提案に従い、死なせてしまった一人の少女に成り代わるAI。

これまではただのデータであった人間を、ナマで感じることで一体何が起こるのか。
先の楽しみな作品です。

文章は非常に読みやすく、ノイズのような専門用語も少なめですので、SFに拒絶反応が出る人にもおすすめできると思います。

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