ダンジョン
先程も言った通りダンジョンは個々によって生息しているモンスターの種類も環境も全てが違っている。溶岩地帯のようなものもあれば逆に豪雪地帯のようなダンジョンもある。
そんな中今回探索しているのはゲームでもおなじみの洞窟型のダンジョンだ。初心者ダンジョンとも呼ばれるダンジョンで罠もほとんどなく、出てくるモンスターの強さもほかダンジョンと比較するとかなり弱い、そして危険度に比例してなのか宝箱の中身もしょぼい。これらの理由から探索する人はあまり探索に慣れていない初心者しかおらず初心者ダンジョンもしくは不人気ダンジョンとも呼ばれている。
なんでそんなダンジョンに潜っているんだと思うだろうが、それは他のダンジョンに潜るためにはこのダンジョンの最下層にいるボスを倒す必要があるからだ。ダンジョン前には基本ギルド関係者の人がたっており入場前にギルドから支給されたカードを提出が義務付けられている。探索者にはS~Eまでのランクがあり、カードの色もランクにより変化する。色は上から金、銀、赤、青、緑、白となっている。最低ランクであるEはここ初心者ダンジョンしかたんさくできない。それはダンジョン・モンスターごとにもランクがある。探索者としてランクを上げることによって危険度の高いダンジョンに挑戦できるようになる。最下層のボスからでる魔石を探索者ギルドに提出することでランクDとなり他のダンジョンにも挑戦できるようになる。
それに久しぶりの戦闘なことを考慮するとこれぐらいがいいのかもしれない。
「お?ゴブリンか?」
そんなこんなで今世では初のモンスターとのエンカウントだ。まぁ、まだ姿は見えていないのだが。位置としては30m程先の曲がり角のとこだな。
シッ!
柄をもう一度握り直し、曲がり角の奥のゴブリンの元まで一気に駆け抜ける。一閃、すれ違いざまにゴブリンの首を切り落とす。鮮血が舞い、胴体がドタリと音をたてながら倒れる。
「ふぅ………」
遅い。ほんっとうに遅い。この16年何とか鍛えては来たがそれでとやはり前世の肉体と比べると悲しくなるな。時間として2秒もかかっていないがそれでも遅すぎる。それこそ前世でならこの程度のこと0.1秒とかからなかった。
「おっと、魔石魔石」
前世の世界にモンスターはいたが魔石なんかはなかった。これが何かは分からないがまぁ金になるんだから持って行こう。と言ってもゴブリンの魔石なんかは換金しても微々たるものだが。
「それじゃあ、探索再開しますか。」
ゴブリンの魔石収集後もう一度全身に身体強化の魔法をかけダンジョン内を駆け出す。
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そんなこんなで最下層のボスの部屋の前だ。はしょりすぎ?気にしない気にしない!スライムやコボルトとかも出たけど別に戦闘内容はどれも一緒だったしね。全部すれ違いざまに首を斬り落として終わり。正直見ててもつまらないだけだしね。
「ふぅ、なかなかに早かったな。」
時間にして約1時間。異例の速さと言えるだろう。初心者ダンジョンの平均攻略時間は約20時間だ。初心者に学生が多いことからこのダンジョンですら攻略には数週間、人によっては数ヶ月以上かかる者もいる。それを1時間でクリア1歩手前のところまで来たのだ。
「それにしても大きな扉だな〜。」
自身の身長の5倍はあろう扉に少し驚きながら扉に近づいて行くとゴゴゴと音を立てながらゆっくりと開いていく。ん〜、なんで近づいただけで自動で扉が開いたのかは気になるがそれより今は奥にいるボスモンスターだ。
初心者ダンジョンは通常トロールと呼ばれる4〜5mの巨人がボスモンスターだ。力は強いが太っており動きは鈍く、知能も低いため初心者であっても上手く立ち回れば簡単に倒すことが出来る。ゴブリンやスライム、コボルトに比べると強いがそれでも大きな差はないモンスターそれがトロールだ。
そのはずなのだがボス部屋にいたモンスターの姿は全く違っていた。身長はトロールと同じくらいなのだろうが頭が牛であり、手には自身の身長を超えるほどの大きな斧を手に持っている。トロールは醜いは醜いが人の頭ではあったし、武器など持たず素手で戦っていたはずだ。というかあれ
「ミノタウロス?」
ミノタウロスは全長約3〜5mの牛頭に人の体を持つモンスターだ。モンスターランクとしてはBランクであり基本A.B級のダンジョン出現するモンスターのはずだ。断じて初心者ダンジョンに出てくるようなモンスターでは無い。
「イレギュラーか。」
イレギュラー、ダンジョン内では稀に通常ではありえない異常事態が発生する。モンスターの大量発生やダンジョン内の環境の変化、そして今回のボスの変化など様々だ。
そしてそんなイレギュラーの中でもボスモンスターの変化は1番のハズレだと言われている。
理由は簡単だ。基本ボス部屋の中にしかいられないはずの強くなってボスが部屋の外に出て襲いかかってくるからだ。探索者は基本自分が探索できる1番上かその1つ下のランクのダンジョンに潜る。そんな中このイレギュラーはボスの強さが基本2から3段階以上上がってくる。勝てるわけが無いのだが部屋を出て襲ってくることで逃げることも貴重な帰還アイテムや転移スキルなどがない場合不可能。そのためこのイレギュラーに遭遇した場合は来世に期待しようとまで言われている。
「運が良いのか悪いのか。」
普通なら運が極大に悪いのだろうが正直物足りなさを感じてた身からするとありがたい。
「それじゃあやろうか。」
顔に笑みを浮かべ、足に魔力を集中させるとミノタウロスに目掛け今出せる全力で駆け出した。
異世界最強の剣士、転生先で配信しながらダンジョンに潜る。 @shuu8702
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