1歩目
そんなこんなで異世界に転生を果たして16年がたった。そして俺は今ダンジョンの中にいる。
「ふぅ〜、長かったな〜。」
ダンジョンってのは16年前に世界各地で突如として出現した迷宮の総称だ。建物としてあることもあれば地下に拡がっている場合もあり、中にいる生物も景色もダンジョンによって千差万別。
ただ一つ共通していることがあるとすれば全てのダンジョンが金になるということだ。ダンジョン内に生息するモンスターの体や魔石、どこからか補充される宝箱、果ては生えている草や落ちている石(物にはよる)すらも金になる。
探索者の上位層になると1回の探索で100万以上稼ぐ事もザラにある。と言ってもリスクも大きい。基本死と隣り合わせで死にはしなくとも体の一部がなくなる事や後遺症で体が不自由になることも珍しくない。リターンも大きいがそれ相応にリスクもあるのがダンジョン探索者だ。ちなみに探索者というのはダンジョンに潜る者たちの総称だ。
そして何故かは分からないが探索者になると自動で全世界に向けて配信が行われる。PCやスマホ様々なプラットフォームから視聴する事が可能であり、ダンジョンが出現してから16年未だに誰が作ったかは定かではない。正直コミュニケーションがあまり得意ではない身からするとキツイものがあるが匿名機能があるおかげで顔だけでも隠せるのが救いだ。それにどれだけ嫌だとしても探索するためなので文句入ってられない。
「挨拶は……まぁいいか。わざわざ誰も見ないだろうし。」
ダンジョン探索者の日本国内に限って10万人を超えており、配信が義務付けらていることから配信人数もどの時間であっても山のようにいる。そんな中わざわざ新参の、そして顔も声もほとんど全てがを平凡(だと思いたい)な探索者を見る人間はそうそういない。
「それじゃ行きますか。」
転生して16年鍛えたりはしてきた。だがダンジョン探索は16歳以上と決められており今までダンジョンに潜ることが出来なかった。それによりちゃんとした戦闘は16年振りでこの体では初めてだ。1層に出てくる敵は基本どのダンジョンもゴブリンやスライムなど雑魚モンスターだがそれでもやはり少し緊張してしまう。
「ハハッ」
この程度のことで緊張してしまう自分に笑ってしまう。前世であればこの程度日常茶飯事どころか日時未満だ。前世の方が数十倍危険だった。それにも関わらず今はこんなことで緊張してしまっている。平和慣れというこういうのを言うのだろう。
「来いクレアシオン」
その瞬間何も無かったはずの空間から1本の剣があらわれる。
「まさかスキルの1つがこれとはな〜」
スキル、それはダンジョンにはじめて潜った時に与えられる特殊能力のことだ。得られるスキルの数は人それぞれで平均して2つのスキルが与えられる。人によっては一つも貰えないという人や逆に10を超えるという人もおり世界の理不尽さを物語っている。と言っても増やす方法がない訳ではない。
その方法はダンジョン内で稀に見つかるスキルオーブと呼ばれる球を使うことだ。スキルオーブとは水晶玉のようなものでそれを割ることにより割った本人にスキルが宿るというものだ。がスキルオーブはダンジョンが現れ16年がたった今でも30と見つかっておらず、もし販売などされた場合でも天文学的な金額となり正直現実的とは言えない。
そしてスキルには様々なものがあり剣術や水魔法のような複数の人間が持つ汎用スキルもあれば世界で1人しか使えないユニークスキルというものも存在する。ちなみにこのスキルはユニークスキルだ。( *¯ ꒳¯*)ドヤァ。
「それじゃ、今度こそ行きますか!!」
眼前に現れた剣を握り、魔力による身体強化(スキルによってで魔法を得られなくても魔力自体は体に宿っており、それによる身体強化など無属性魔法と呼ばれる魔法は使用可能。)を全身にかけ駆け出し始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます