いざ、牛宮城へ!
無事に亀を助けた浦島太郎。亀を撫でてやると、なんと亀が話し出しました。
「ありがとうございます。浦島さん、お礼に牛宮城に連れて行ってあげましょう」
「牛宮城?」
亀は慇懃に頷きました。
「牛宮城はね、焼き肉屋さんです」
「え、焼き肉!?」
浦島、釣り好きですが、実は海鮮よりも断然焼き肉派。奢ってもらえるというのなら、行かないという選択肢はナッシングです。
「行く行く! どんなとこなん?」
「えーっとですね──」
亀は懐からメモを取り出し、牛宮城について説明し始めました。
「事の発端は2021年2月11日の雨上がり決死隊宮迫のYouTubeチャンネルで公開されたヒカルへのドッキリで、宮迫が「焼肉店をするから1億円貸してほしい」と告げるというドッキリをしたが、ヒカルはあっさりと了承し、本当に焼肉店をすることになった。ヒカルが経営から撤退したりうんたらかんたらあり、同年3月1日、牛宮城がオープンした」
「その紙何よ?」
「ウィキペディアです」
「やろうな」
亀は微妙な空気になったのを敏感に感じ取り、紙を引き裂きました。そしてヒレを打ち鳴らし、「とにかく、美味しい焼き肉屋さんです!」と言って、その場の空気を再び盛り上げました。
「やった~! じゃあ早速行こうよ!」
「もちろん!」
そして彼らは牛宮城へと向かい、上質な焼き肉に舌鼓を打ちました。そしてお会計へと進みます。
「……十万?」
浦島の顔が青ざめます。しかし今回はおごり。何も気にすることはないはずです。そう思いながら浦島が亀の方をちらりと見やると──。
亀はもういませんでした。
「あいつ、騙しやがったな!」
お金が払えない浦島は、そのまま無銭飲食で警察のお世話になりましたとさ。
めでたしめでたし。
秒で終わる昔話~浦島太郎編~ 鼻唄工房 @matutakeru
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