とある女学生達の悶々

十六夜 水明

第1筆 雨の日、空眺める~雨の恩恵~

 雨は好きだ。そして雪も。

 全てを(予定を)流し去ってくれる彼らが好きなのだ。


 弾む気持ちで、重い雲が浮く空を眺める。こんなにも余裕があり、ゆとりがある日は何ヵ月ぶりだろうか。月に一度来る知識を否応なしに測定する呪術的な儀式(テスト)を先日なんとか終えた訳だが、憂鬱だった。それはそれは憂鬱なのだ。週末には、己の不甲斐なさを無力さを突きつけられる部活動の練習試合、練習会。不幸中の幸いといえば、雨や雪が降ればそれらが全て消えてくれる事だろうか。何の部活動とは言わないが、まぁ、外の部活動であるのは先程からの言い回しにより明白であると言えるだろう。

 だからこそ好きなのだ。外での活動が不可能だと、そうとしか言いようがないこの天気が、何者にも変えられないくらい愛しいのだ。愛しくて愛しくて、毎日毎日待ちわびているのだ。

 忙しい事この上ない、この日常に嫌気が差す。晴れの日の週末程、絶望的な日は無いだろう。


 空を翔る一筋の稲妻に想いを馳せる。

 輝くるそれは、希望の一筋か、はたまた諦めや絶望をを戒めるいかづちなのか。

 大地を濡らす一滴の水滴達は、恵みの雨なのか、はたまた私の諦めを悲観する神々の涙なのか。


 私にとって彼らは、私の希望の光であり心身を潤す恵みの水であった。


 これは人に話したことがない私の本音。だからここに書き残そうかな。こんな私も居たんだってことを。きっといつか私の中から消えてしまう、私の事を。


 今、私は幸せである。

 この幸せが空へ、宇宙へと逃げてしまわないようにずっと雲で覆われていればいい。

 そうすれば、永久的に幸せなのだから。


 

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