最終話:魔女に戻れないの巻。
今日も今日とて「理髪店・カオス」はいつものように平和に朝を迎えた。
観音さんが目覚めてふと横を見ると白い猫が寝ていた。
「プティ・・・なんで猫になんか戻ってるんだ?」
観音さんはプティを揺り起こした。
「ウニャ〜」って機嫌悪そうな声でプティが目を覚ました。
「プティなんで猫に戻ってるの?・・・それわざと?」
「あら、ほんと・・・気づかなかった」
「わざとじゃないけど・・・おかしいね」
「おかしいって・・・まさかだけど魔女には戻れないとか?」
「あ〜・・・戻れないみたい」
「なにがあったんだろ?」
「まあ、こういうこともあるから・・・だから〜今日はこのままお店に
出て看板猫するから、私」
「そんな呑気な・・・魔女に戻れないんだから、もう少し慌てるとか
驚くとかしないの?」
「私は別にいいけど・・・カノンちゃんが私とエッチできないだけだから・・・」
「あのね、なくても我慢するけど、そういう問題じゃない気がするけど」
「魔女に戻れないと一生看板猫だよ」
「だからって私をペットショップに売り飛ばさないでよ」
「僕が、そんなひどい人間じゃないってこと知ってるだろ?」
「言ってみただけ・・・」
で結局プティは魔女に戻らず夜、最後のお客が帰るまでアンティークな
椅子の上で看板猫を退屈そうにやっていた。
プティはあのまま魔女に戻らないのかな?
一度、動物病院へ連れて行ったほうがいいのかも?
「ねえ、プティ明日、病院へ行って診てもらう?」
「病院?・・・・病院なんてイヤだよ・・・死んでもイヤ」
「でもさ、このままだとずっと猫のままかもしれないだろ?」
「病院なんか絶対行かないからね・・・カノンちゃんがどうしても私を
病衣へ連れて行くって言うなら私、ここを出てく」
「私はペットじゃないんだからね!!」
ってプティが怒ったら・・・なんと、一瞬で魔女に戻った。
なにそれ?・・・シャンパンの栓がポンって抜けたみたいだ。
「あら、戻った」
「カノンちゃん私、戻っちゃったみたい」
「よかったプティ・・・それにしても、いったいなんだったんだろうね?」
「フンずまりしてたのかも・・・」
「なに?フンずまりって?」
「たぶんリセットしてたんだと思う・・・初期設定っての?」
「いろんなところにバグが出来てたのかも・・・」
「だら修復するために一番、負担がかからない猫ちゃんに戻ってたんだよ」
「なにそれ?パソコンみたいじゃん」
「私はパソコンより優秀だから・・・それだけ繊細なの」
「そんなこと言って、それも適当に言ってるんだろ?」
「元に戻ったんだから理由なんてどうだっていいでしょ」
「よかったね、喜べ!!カノンちゃん・・・これでめでたくエッチできるよ」
「そんなことで喜んでるんじゃないよ・・・」
「もしさ、もし私が魔女に戻らなかったら正直どうするつもりだった?」
「どうもこうも・・・白い猫ちゃんと暮らして行くしかないだろ」
「エッチできないのに?」
「そこに、こだわるね・・・」
「だって大事なことでしょ?・・・エッチがない頃はなんとも思わなくても
一度でもそういう関係になっちゃったら、エッチも生活の一部になるでしょ?」
「まあね・・・それは言えるけど・・・」
「大事なことなんだよ」
「私は、なにも軽々しくエッチ、エッチって言ってるんじゃないの」
「間違ってる?」
「間違ってないよ・・・プティの言う通り・・・大事なことだよね」
「ってことで、カノンちゃん一緒にお風呂入ろ?」
「その前に・・・」
「え?なにしてんの?」
「色っぽくしてんの・・・もっと艶っぽいほうがいいでしょ?」
「いいよ、今のままで充分だから・・・」
「それよりさ、元に戻ったお祝いにシャンパン開けよう」
観音さんは、さっきプティが戻った瞬間、まるでシャンパンの栓が
ポンって抜けたみたいって思ったことを思い出していた。
おしまい。
可愛い魔女プティ。(完全版) 猫野 尻尾 @amanotenshi
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