第31話 異世界でのお食事処
「リン! お食事処は飲食店だよ!!」
「基本は和食・洋食を出すお店が多い!」
俺は穏やかな表情でリンに話す。
言葉的には間違っていないはずだ。
中にはオールマイティーで出す飲食店も有るが、ここのは普通のお食事処だろう?
俺の言葉の後。リンは嬉しそうな表情で俺に話し始める。
「なら、このお店に入りましょうか!」
「スズヤ!♪」
「スズヤの言う事だからきっと私が食べたことが無い料理が、この飲食店には有るのでしょうね♪♪」
「…………」
アスの方は『全く…!』の表情をしているが、今回は冒険では無く、あくまでペットを買いに来ただけで有る。
なので、きちんと旅の道中も楽しまないと…!
俺たち三人は『お食事処』の
扉も『お食事処』らしく引き戸で有った。
『ガラッ!』
店内は本当に……前世界の定食屋らしい内装で有る。
ここが異世界と言っても、只のテーマパーク扱いされるだろう!?
(此処まで来るともう、何も驚かないが……これでカツ丼とかが出て来たら、完全に前世界と変わらないな!(汗))
(この感じだと定番のご飯や味噌汁。漬物の沢庵も出て来るか!?)
俺がそう心の中で感じていると、店の奥から中年女性が出て来ながら、営業スマイルで声を掛けて来る。
その中年女性はふっくらとした女性で有り、如何にも定食屋に登場する相応しい姿で有った。
「いらっしゃい!」
「……三人?」
「あっ、はい。三人です!///」
中年女性の言葉の後。俺は少し戸惑いながら返事をする。
俺の中で完全に、前世界での定食屋が脳内で再現されてしまうからだ///
(あぁ…。何だか懐かしいやり取りだな…!)
(ここが異世界で有る事を、思わず忘れてしまうよ!!)
だが、中年女性はそれを気にせず、穏やかな表情で俺たちに話し始める。
「なら、お好きなテーブルにどうぞ!」
「今。お茶を持って来るからね!!)
中年女性は言い終えると、カウンターのとある場所に向かって歩いて行く。
その場所には陶器で出来たコップやが大きな
俺たちは店内で言えば、真ん中付近に置いて有るテーブル席に座る。
俺の前には当たり前のようにリンが座った。
テーブルにメニュー表は置いてないが、定食屋らしく壁にメニューが貼り付けられてている。
そして、塩やコショウなどの調味料は、前世界定食屋の様にテーブル上には置いていない。
この異世界での塩やコショウは安価ではないので、
陶器のコップにお茶を注ぎ入れた中年女性が、お盆のようなトレイに(陶器の)コップを乗せて、俺たちが座っているテーブルに近付き、コップを各個人に配り始める。
「注文が決まったら呼んでね!」
コップを配り終えた女性が、和やかな表情で俺たち三人に向けて話し、その後は厨房に戻っていく。
本当。先程のやり取りは前世界定食屋と瓜二つで有る!
「さて…。スズヤ!」
「スズヤはこのお店の形体を熟知している感じですから、スズヤのお勧めは何ですか!♪」
「美味しい物を食べさせて下さいよ!!♪」
リンが嬉しそうな表情で、俺に話し掛ける。
リンはメニュー決定を、俺に一任してきた。
俺はまだ、まじまじとこの店のメニューは見ていないが『お食事処』の暖簾が出ていた以上。前世界定食屋と似たようなメニューが掲示されているはずだ。
ここで急に異世界らしく、訳分からないメニューが書かれていることは無いだろう!
俺がこの異世界に来てからの食事だって、認識出来る食事ばかりで有るのだから!?
☆第二集☆ チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―王者の剣と二人の美少女との冒険ー 小春かぜね @koharu_kazene
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