後ろに立つ少女


溢れるのは、黒。



少女はいきなり目の前に現れた黒髪の男性に、驚く。

今まさに神父姿の男性から力を振るわれようとした瞬間に、間に入って来たのだ。


「大丈夫、すぐ終わるから。後ろに居てね」


男性の優しい声に、少女は頷く。



溢れるのは、赤。



黒髪の男性が神父へ回し蹴りを放ち、赤い液体が舞う。

少女は怖くなり、瞼を閉じた。



溢れるのは、音。



鈍い音が続き、神父の悲鳴が連鎖し、それが徐々に弱くなっていく。

そして、まるで石像が砕けるような音が、聞こえた。



溢れるのは、光。



智彦は、立ち上がり、発狂する神父へと対峙する。


郷津ありすを、守る為に。




己の後ろに立つ少女を、救う為に。






そして…… …… ……。

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