第2話 異能力者名「無敵」《ギフターコード「インビンシブル」》
「α02許容量は?」
「
「若干溜まるペースが早いわね。カバーに回る!」
「助かるでござる!」
α01
敵は小型ガベラス12体。すでにその数は5体減っており、7体。α02
「3人の平均体重を60キロ、衝突時間は地面に衝突した時間と敵に当たる時間はほぼ同程度とし、無視する。その上で計算して353万Jほど必要。人間は剛体ではないからマージンを取って400万Jで木っ端微塵と推定!」
霞がどこからか巨大なハンマーのような武装を取り出す。
「α03!〆っ!」
「あいよっ!偽装質量!!」
α03
霞が巨大かつ質量を蓄えたハンマーを枝のように振りかぶり、
「死ねっ!」
7体の異形へと叩きつける!
まるで特大の爆発が起こったかのような衝撃が響き渡り、世界を揺らす。
7体のうち2体が想定通り木っ端微塵となり肉片が宙を舞う。
「ふぅーきもちぃー!」
スプラッターの現場に似合わない爽やかな声と
「α01、勘弁してくれでござる!周囲の拙者たちへの被害も考えて欲しいでござる!」
「あんたが耐えてくれると思って私は振り抜いてんのよ。ていうかこのくだり何回目よ。いい加減慣れなさい。」
「んな、殺生な!」
「α02そこまでよ。臨戦体制を解かずにいつでも動けるようにして」
霞は違和感を感じ隆宗を黙らせる。
叩きつけた衝撃で上がった土埃が晴れたとき、そこにいたのは、
無傷の小型であった。
「変異種…!イレギュラー!」
「α03本部に通達!」
「あい!」
「イレギュラーを確認…!物理攻撃は有効打にならない。急いでα07および非物理系ギフターの要請を急いで!」
ガベラスは姿形が個体によって異なるが防御力や攻撃力に差はあまりないとされる。しかしそれが変異種であれば別。その姿形が所持している特性を活かせる形であるかないかによって危険度が増減する。今回は…
「蟹型かぁ…それでこの硬さ…私たちでは討伐は不可能ね…」
超硬度の肉体を持つ甲殻類型。
蟹の姿をした最悪はハサミをあざ笑うように鳴らした。
「ぐっ…ここまでか…」
「もう吸収の許容量が限界でござる…解放をするにしてもこの量だとこちらも余波で木っ端微塵になるでござる…」
「まだなの…救援は!」
戦場にいるのは3名と1体のみ。
数の有利こそあれどその姿は数の差など気にもならないほどの差があることを如実に表していた。
未だ傷一つ付かない装甲を持つ異形
方や霞はすでに右腕が折れており変な方向へ曲がり、隆宗は解放と吸収のし過ぎで指が8本折れ曲がっている。後衛の累に目立った外傷はないが能力を使用しすぎているため鼻血が溢れて止まらない。
「だが救援さえくれば…」
一縷の望みをかけて彼らは戦い続ける。
そんな彼らを目の前の異形をあざ笑う。
突如震えたかと思えば異形の背中がビシリと裂ける。
「(何だ?蓄積したダメージで殻が破れたのか!?)」
逆転の目の登場に3人の瞳に精気が戻る。
しかし現実は無情。
裂け目から更に2回りほど大きくなった異形が姿を表す。腕の本数は倍の4本となり、背中には砲門のような部位ができあがる。
「脱皮…だと…」
先ほどより明らかに強化された異形を前に3人の戦意は喪失する。
異形の背中の砲門に光が灯りはじめる。
「ははは…無理だよ…こんなの…」
「無念でござる…」
異形はただあざ笑う。爪をカチカチと鳴らし高らかに笑う。
「ちくしょう……」
無情なる光が、滅殺の砲撃が今、放たれる。
「ちくしょうがよぉぉぉおぉおぉおおおぉ!」
霞が吠える。しかし、それは何も生まない。
轟音が鳴り響く。
その時に残っていたのは
「間に合ったようだな」
誰のものともわからない不明瞭な声
思わず3人は後ろを振り返る。
そこにいたのも異形。だが人の姿をしている。
誰の顔なのか、どんな姿なのか全てがモザイクのような人型が彼らの後ろにいた。
「お前さんは俺のことが嫌いらしいからな。後ろから見ていたが流石に死なれては目覚めが悪い。」
霞に向けて放たれたその言葉に苦虫を噛み潰したように霞はそのモザイクマンを睨みつける。
「
「助けてもらっておいて睨みつけるのはよくない。まず感謝の言葉を言うべきだろう。
怪人。異能力者。仮名「
異形との最前線、ギフターたちの戦いにおいてその死亡率を80パー減少させ、現在の人類の獲得領域の60パーセントを単独で確保した怪人。人類ならば知らぬもののいない英雄にして、野良の異能力者である。
不可視と無敵《インビジブルとインビンシブル》 タングステン @tangstan-h12
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