第12話 協力の風
神奈川県横須賀市船越 自衛艦隊司令官室
葛城「…」
葛城 直人 海将 自衛艦隊司令官
井吹「失礼します。葛城海将」
井吹 彩音 1等海尉 自衛艦隊司令官副官
葛城「おぉ、どうしたんだ井吹君」
井吹「第四護衛隊群司令の酒井海将補、特別派遣地域司令官の竹中海将補からの報告です」
葛城「2人からか、向こうはなんと?」
井吹「はい、竹中海将補は門出桟橋の補給設備、及び回転翼機の航空整備設備の完成、工事の90%の程は完了したと」
葛城「なるほどな、向こうの基地としての整備は着々と進んでいるのか、竹中海将補は以上か?」
井吹「はい、続いて酒井海将補なのですが…我々第四護衛隊群所属の護衛艦かが、すずつき第十二護衛隊所属のうみぎりはブルマーメイドからの協力要請があり、これに応えたいと」
葛城「協力要請とは、どのような内容で?」
井吹「はい…」
護衛艦すずつき士官室
稲葉「それで、我々に協力をお願いしたいと、」
真霜「はい、」
真雪「無理にとは言いません、もとはといえば私たちの失態なのです」
北口「…どうしましょうか、確かに条約の内容としては協力を応じても問題ないのですが、お互いの政府の許可がない限り我々にもどうしようともないですね…」
稲葉「そちらの政府としては海上安全整備局の意見に肯定の姿勢だからな、こちらとしても反乱の学生に対して確保をする権限はありませんし、もし仮に本気で学生が反乱を起こしたのであれば、最悪の場合学生に対しての武器の使用になる可能性もあります」
真霜「…」
北口「…災害派遣という位置づけであればどうでしょうか?」
真雪「どういうことですか?」
北口「我々の世界の話ですが、1974年に第十雄洋丸事件という船の事故が東京湾に起きたんです。事故になった経緯は割愛しますが、日本のタンカーと外国船が衝突し、大規模な火災になったのです。消防船や、巡視船の消火活動でもどうにもできなくなり、強制的に沈めるしかなっかたんです。そこで、政府は災害派遣という形で我々海上自衛隊に武器の使用を許可したのです」
真霜「なるほどね、つまり晴風学生を災害派遣という形で保護をするということね」
北口「はい…ですが、それも政府の許可が必要となるので結局は、」
真霜「…」
木原匠「そういえば、晴風の学生さんの他に、連絡が取れない教育艦がありますよね、その後どうなったんですか」
真雪「まだ、何も情報は来ていないわ」
木原匠「だったら、それを使いましょう」
稲葉「どういうことだ?」
木原匠「晴風の反乱、それと同時に消息不明となった複数の教育艦、このような事態になったら海上安全整備局や政府としても何とかしないといけません。そこで、我々に協力を要請し、表向きには我々海上自衛隊が消息不明以外の教育艦を捜索に協力しつつ、裏では晴風の学生を保護するというということです」
稲葉「なるほどな、つまり政府が我々に消息不明の教育艦の捜索を要請すれば我々は動けれるというわけか」
真霜「そうなったら、行くしかないわ、ありがとうね木原3尉」
木原匠「…い、いえ」
海上安全整備局局長室
渡辺「なるほどな、自衛隊への協力要請か」
真霜「はい」
渡辺「…なにか隠しているのだろう」
真霜「い、いえ何も」
渡辺「…晴風のことだろう」
真霜「…」
渡辺「すまないな、ちょうど私が不在の時にこのような事態になってしまって」
真霜「いえ、法律は法律ですので」
渡辺「自衛隊の協力要請は私から伝えておく、真霜君は自分のやるべきことをしなさい」
真霜「いいんですか」
渡辺「ああ、このことになったのは私の失態だからなけじめはつけなければ」
真霜「ありがとうございます」
海上作戦センター
井吹「現在、このことに関して護衛艦隊司令部、艦隊情報群、防衛省、内閣官房にて情報は行き届いています」
葛城「なるほどな、それで状況は?大久保一佐」
大久保 真谷 一等海佐 艦隊情報群司令
大久保「はい、現在井吹一尉が申し立てたように各関連機関においてはこの情報は行き渡っています。そして、たった今連絡が来たところで、向こうの政府は自衛隊に対しての協力要請の連絡をこちらの政府に連絡しました」
葛城「ほう、結構向こうの政府の判断は早いな」
隊員「群指令、政府からの回答が防衛省宛に来ました」
大久保「内容は?」
隊員「はい、[今回の別世界における政府による協力要請は応じたい。しかし、この協力要請は極秘で行え]です」
葛城「やれやれ、できるだけマスコミには内部の活動内容は知られたくないという訳か…」
大久保「…」
葛城「まぁ、良い。これでこちらの政府としても一応は正式に受け入れたということだ。[今回の協力要請に対して、派遣した部隊に対して別世界における政府の要請を受け、誠心誠意受け答えることを自衛艦隊司令部より命令する]」
自衛隊異世界の海へ! 呉かがいなづま @kurekagainazuma
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