第10話 交差する気持ち

「私は、人を傷つけて私を守るお兄ちゃんは、お兄ちゃんじゃない!私を、自分の力で守ってくれるお兄ちゃんが大好きだった!なのに!こんな事をしてまで私を守るお兄ちゃんは、違う!こんなの、守るなんて言わない!お兄ちゃんは、もっと自分を守ってよぉ!!!」

「由実・・・そうか、由実は、もっと自分を守るお兄ちゃんになってほしいのか・・・そうか。分かった。・僕は、由実、自分をもっと大切にするよ」

気づいたら、二人の目から、涙がこぼれていた。

「由実、実は、人狼鬼ごっこを開催したのは、僕なんだ。いじめっ子に由実の気持ちを分からしてやりたくて、これを開催した。でも、由実は、本当は、お兄ちゃんのこの気持ちが、嫌だったのかもしれないな・・・」

「ううん!少しそうだけど、そんなことない!」

「どっちだよ!」

「あはは!」

そして、由実は剣斗の方に向いた。

「剣斗くん、お兄ちゃんに会わしてくれたありがとう!また、私と、友達になってくれる・・・?」

「もちろん!でも、見つけたのは由実だよ。由実の気持ちで、会うことができたんだ。」

「ほんと・・・?」

「うん」

「ありがとう」

「じゃあ・・・友達に、なってくれる?」

「もちろん!」

そんな二人の姿を見て、満足したように、由実の兄はフッ・・・と姿が消えた。

「じつは、このゲームに、勝ち負けはなかったんだ・・・」

と、由実は気づいた。

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