大文字伝子が行く229

クライングフリーマン

大胆な推理(後編)

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。 

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。副隊長。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。


 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。

 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。

 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。

 渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。

 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。

 守谷哲夫・・・SAT隊長。

 東山英一・・・SAT副隊長。

 名越撤兵・・・MAITOのC班班長。

 河野事務官・・・EITOの警視庁担当事務官。

 西部警部補・・・高速エリア署刑事。

 本郷隼人二尉・・・海自からのEITO出向。

 角田・・・財務大臣。


 =================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 ==EITOガーディアンズとは、EITO後方支援部隊である =======


 午後1時。EITO本部。司令室。

 斉藤理事官の隣に、伝子がいる。

「津田塾大学って、銅像あるのかな?草薙。」

「渋沢栄一の方はありますけどね。」

「多分、見に行こうの意味は、所縁の地に来い、という意味です。だから、日本銀行も外せなかった。」と、伝子は言った。

 午後1時。津田塾大学。

 校門の前に立った、あつこは呟いた。「誰も来ていない。ここじゃ無かったか。」

 午後1時。千代田区1番町。開新堂ビル南側壁面前。

「津田塾大学発祥の地」の金属プレートを眺めて、日向は言った。

「こんなところ、知らなかった。」電動キックバードに乗った少年が来た。

「エマージェンシーガールズ。近くで見ると、かっこいいなあ。あ。これ、預かりました。」少年はすぐ去って行った。

「こっちは、当たりみたいね。千鳥ヶ淵公園まで来い、か。」馬越が寄って来た。

「副隊長。少年はどうします?」「いいんじゃない。どうせ、お駄賃貰ったバイトでしょ。皆、行くよう!」

 副隊長に昇進した日向は、張り切っていた。やっと、なぎさと同列になったからである。

 午後1時。渋谷区大手町。常盤橋公園。

 渋沢栄一像の前に、エマージェンシーガールズ姿の、なぎさが立っていた。

「お嬢さん。待ち合わせ?相手してあげようか?」

「こんな所で、ナンパ?私、易くないわよ。変なコスプレのおじさん。」

 男は、スーツのような、そうではないような上着を着ていた。そして、般若の面を被っていた。」「いくらだい?」

 なぎさは、指を2本立てた。「2万か。まあ、いいかな。」「人の話は、よく聞くものよ。20億よ。」

「いいよ。借金すれば何とかなる。」「マジ?」「マジな訳はない。1人か?」

「複数だと、もっと高くつくか。女はね、メイクに時間がかかるのよ。」

「成程な。経験あるよ。1時間が限界かな?」その言葉が合図だったのか、忽ち、なぎさは武装集団に囲まれた。

「待たせたな。」程なく、エマージェンシーガールズ姿の増田達が現れた。

 戦闘は開始された。

 午後1時。神奈川県相模原市。北里大学。

 北里柴三郎像の前。エマージェンシーガールズ姿の、みちるが立った。

「おねえちゃん、幾ら?」「幾らなら払えるの?オジさん。」

 ふり向くと、ひょっとこの面を被った、カウボーイ姿の一団がいた。

「受けるー!!」と、みちるは、リーダーらしき男の股間を蹴った。

 途端に、痛みが少し走った。堅い。どうやら、何かが防具になっているようだ。

 みちるは、長波ホイッスルを吹いた。

 忽ち、どこかから、エマージェンシーガールズが集まってきた。

「戦闘開始!!怯むな!!!!!」

 みちるは、副隊長に任命されてはいたが、他の副隊長や隊長補佐が指揮を任されることが少なかった。それは、自宅が火事になり、流産したから、伝子が指揮を執らせなかったからだった。伝子は班分けをする際、傷心のなぎさとみちるを敢えて任命した。そして、日向もあかりも副隊長に任命した。

 みちるは、五節棍を持って走った。拳銃を持っている男達を恐れなかった。

 午後1時。中央区日本橋。日本銀行北門。

 SATの守谷隊長と、東山副隊長、そして、エマージェンシーガールズ姿のあかりがいた。

「若い副隊長さんだな。」と守谷が言い、「人払いはしてあるが、門から中には入れないで欲しいと、言われています。」と、東山が言った。

「もし、ここも拠点なら、デプスとの、初めての本格的戦闘になります。」と、あかりは言った。

「もう、『小手調べ』の段階ではないだろうと思う。敵がここも拠点にするかどうかは、私もBase bookを見ましたが、微妙ですね。」

「微妙じゃないと思うよ。」と、ピエロ、いや、クラウンの格好をした一団が現れた。

「リーダーは?」「俺だ。」「金を強奪しに来た訳じゃないんだろう?全国の銀行に紙幣が配布されるのは、まだ先の筈だからな。」

 守谷の言葉に、「面白い。いいだろう。少し離れた所の皇居外苑はどうだ?俺は個人的な好みだが、楠木正成が好きだ。走れるか?」と、リーダーが言った。

 よく見ると銃や機関銃等は持っていない。背中に日本刀らしきものを背負っているだけだ。守谷は、銃器を隠してあるのかも知れない、と思ったが、あかりに確認した。

「副隊長。あんたの判断は?」「行きましょう。選択肢はないわ。」

 クラウンの一団は走った。東山が合図して、SAT隊員と合流して、外苑に走った。

 エマージェンシーガールズは、あかりがインカムを通して指示を出した。

 伝子は「念の為、配置する」と言いながら、こちらが本隊だった。

 初の、副隊長の任務だが、伝子は厳しい試練をあかりに与えた。『1番若い妹』に。

 エマージェンシーガールズの構成員は、自衛官の出向や警察官の出向で構成された、混成部隊だ。彼らの強い絆は、伝子のカリスマ性と、心酔した者達(伝子シスターズ)の強い『義姉妹(ぎしまいあい)』である。

 楠木正成公の銅像前に到達した時、手足を縛られて、猿ぐつわをされた男がいた。

 一団の仲間が見張っていたようだ。あかりは、迷わずシュータを投げて、男の猿ぐつわを外した。シュータとは、うろこ形の手裏剣で先端に痺れ薬が塗ってある。

「エマージェンシーガールズ。国会の『私』は偽物だ!国会が危ない!!」

 戦闘の様子は、上空高く待機しているオスプレイを通じて、EITO本部へ映像が送られている。。伝子は、次の手を打った。

 午後2時。EITO本部。司令室。

 理事官は、河野事務官に命じて、国賓館のSP隊に救援を命じた。警察の警備にも。だが、間に合わないかも知れない。伝子は移動中のあつこのチームに急ぐよう命じた。

 午後2時。オスプレイ2号機の中。

「ジョーンズ、全速力!!筒井君、高木君。ホバーバイク準備。」

 午後2時。千鳥ヶ淵公園。

 日向、伊地知、葉月、越後は、おかめの面を被った、変な軍団と闘っていた。銃器はフリーズガンで使用困難にし、バトルスティックで闘っていた。皇居外苑のチームのピンチをイヤリングの通信を通して知ってはいたが、ここを片づけないと動けない。

 午後2時。常盤橋公園。

 なぎさ、増田、馬越、七尾、らいむは、やはり、あかりの窮状を知ってはいたが、身動き出来なかった。なぎさに声をかけた男は、通行人を人質に取り、戦闘態勢に入れ無かったのだ。

 そこへ、マセラティが猛スピードで入って来た、本郷隼人はEITOガーディアンズのユニフォームを着ていた。隙が出来て、通行人はマセラティに逃げ込んだ。本郷は、ガルウイングを半分開け、一団に向かって、メダルガトリング砲でメダルを撃った。一団の銃器は使用困難になった。

 形勢は逆転した。なぎさ達は、反撃に移った。

 午後2時。北里大学。

 みちるは五節棍で闘っていた。新しい弓矢隊の田坂、安藤、浜田、静音の援護を受け、EITOガーディアンズの青山、高木のホバーバイク隊が援護に入った。

 午後2時。国会議事堂。

 居眠りをしていた筈の、財務大臣の門田が突然国会ジャックをした為、騒然となっていた。角田は腹に時限爆弾を抱えている。

 逃げ惑う国会議員達を見て、偽角田は笑っていた。

 突然、角田は網をかけられた。MAITOの名越がネット銃で角田を捕獲し、名越の部下がフリーズガンで時限爆弾を凍らせた。フリーズガンとは、液体窒素を用いた冷凍銃だ。

 駆けつけたSP隊に避難誘導を依頼した名越は、時限爆弾の解体にかかった。

 午後3時。皇居外苑。

 人質を取られているので、止むなくあかりは、一団に武器を奪われていた。

 シュータ、ブーメラン、シールド。そして、バトルスティック。DDバッジは、武器でないと判断したのか、あかり以外は取られなかった。エマージェンシーガールズだけではない。SATも電磁警棒を取られた。

 縛られている、本物の角田は、エマージェンシーガールズやSATに泣いて謝った。

「私が油断して捕まったばかりに、申し訳ない。」

 午後3時。北里大学。

 みちるは、飯星、稲森、江南と共に、銃火器を無視して闘っていた。

 その間隙を縫って、馬場と青山はホバーバイクで支援した。

 何とか敵の一団を突破した、みちるは長波ホイッスルを吹いた。

「ロバート、早く来て!!」

 午後3時半。EITO本部。司令室。

 伝子は遂に決断した。「あかり、メダルカッターを使え!お前なら出来る!!おねえさまを信じろ!!」

 午後3時半。皇居外苑。

 あかりは、深呼吸をして、両肩の防御パットから、両肘の防御パットから、そして、両膝の防御パッドから、矢継ぎ早に角田議員の腕のロープ、腰のロープ、見張り役2人の眉間、リーダーの眉間を狙って、メダルカッターを投げた。角田議員のロープが切れたので、ガーディアンズ姿の井関がホバーバイクで現れ、連れ去った。見張り役とリーダーは、衝撃で後ろに倒れ、失神した。

 あかりは、残りの1つを下條に投げた。メダルカッターを受け取った下條は、守谷やSAT隊員のロープを切って回った。小坂は皆に武器を配布し始めた。

 離れた所で『高みの見物』をしていた集団は、我に返って、襲ってきた。

 そこに立ちはだかったのは、なぎさ率いる増田、馬越、七尾、らいむの面々。

 あつこ率いる、結城、早乙女、工藤、金森の面々。

 みちる率いる、飯星、稲森、江南、田坂、安藤、浜田、静音の面々。

 日向率いる、伊地知、葉月、越後、大空の面々。

 なぎさは、言った。「私の可愛い妹を虐めるのは、どいつだ!!」

 あつこは、言った。「私の可愛い妹を虐めるのは、どいつだ!!」

 みちるは、言った。「私の可愛い妹を虐めるのは、どいつだ!!」

 日向は、言った。「私の可愛い妹を虐めるのは、どいつだ!!」

 突然、どこからともなく、スピーカーの声が聞こえた。伝子だった。

「私の可愛い妹達を虐めるのは、どいつだ!!」

 今度は、守谷が叫んだ。「ゴー、アヘッド!!」

 あかりが来た時は、500人位の不気味な集団だったが、ホバーバイク隊も加わり、30分で平定した。

 時刻は午後5時になっていた。外苑のチャイムがうるさく聞こえた。

 なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た笛で、人間には聞こえない。簡単な合図を、オスプレイを通じてEITOに送るのだ。

 やがて、愛宕や橋爪警部補や西部警部補が警官隊を率いてやってくる。

 午後5時。EITO東京本部。司令室。

「終りましたね、理事官。国会議事堂の、議員の偽物も逮捕、爆発も起きませんでした。」夏目警視正が言った。

「長い一日になったな、結局。」「みな、ご苦労様。直帰していいぞ。理事官がご褒美に煎餅くれるそうだ。明日、会議の時に貰いなさい。解散!!」

「アンバサダー。今の決め台詞、夕べ考えたんですか?」と草薙が伝子に尋ねると、「ウチのエーアイ。」と平然と応えた。

「やっぱり。」と、渡と草薙は声を揃えて言った。

 午後5時。伝子のマンション。

 くしゃみをした高遠は、風邪薬を飲んでいた。

 ―完―


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大文字伝子が行く229 クライングフリーマン @dansan01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ