第19話 エッチなお姉さんに目をつけられた

「団長ぉぉ……」

「アンドリュー、私があなたたちの人となりを見て、騎士団に加入させたことを忘れたの? 私が団長になってから誰か銀狐うちで悪いことをした者はいた? いないでしょ」


 メルフィナに頬を打たれたことに狼狽し、鼻水を垂らして涙するアンドリュー。そんな彼をメルフィナは諭している。


「銀狐の子はみんないい子。アンドリュー、あなたもね。私の人を見る目がおかしくなったとでも思った?」

「いえ、そんなことは……ですが……」


 歯切れの悪いアンドリュー、それでもメルフィナに未練があるようでなにか言いかけた、そのときだ。


「ちょっとぉ、邪魔するわねぇ~」

「アンドレア!?」

「姉上!?」


 くっ!? なんという食い込みだ……。


 もう三十路だというのに思わず股間が中学生へと戻りそうだった。


 目のやり場に困る衣装をまとった女性が俺たちの前に現れる。片手にはトゲトゲの鞭を持ち、ニーハイブーツにハイレグの真っ赤なボンテージファッション、申し訳程度に肩や胸はプレートアーマーで覆われていた。


 プレートがなければ、SMクラブの女王さまと言っても過言じゃない!


 ぺちぺちと鞭を軽く叩きながら、俺たちの前へやって来る。メルフィナは彼女を見た瞬間に俺の前に出て、彼女から俺の姿を見えないよう隠していた。どうやら俺は彼女に見つかってはいけない存在らしい。

 

 彼女の存在が気になった俺はひそひそ声でメルフィナに訊ねる。決して衣装に目がくらんだわけじゃない。


「メルフィナ、彼女は?」

「はい、彼女は王国に仇なす者を見つけ狩る赤薔薇騎士団レッドローズの団長です。その手段に容赦はなく、多くの反逆者たちが彼女により拷問にかけられているそうで……」


「ありがとう、とってもヤバそうな人だってことは分かったよ……」


 女騎士というより、女拷問官と言った方が良さそう。


「アンドリュー、あんたの負けよ。どう頑張ってもあんたじゃ勝てないわ」

「じゃあ、俺の代わりにあいつを姉上が……」


 ベチッ!


「いってぇぇぇーーーーっっっ!!!」


 アンドリューが姉に仇を打ってもらおうと思ったんだろう、だがそう上手くいかず、彼は鞭で露出していた肌を叩かれした。


「いい歳してバカ言ってんじゃないわよ。それでも男なの? 私が男と勝負するのはベッドの上だけ! それにさっきから見てたけど、あの子はなにも不正なんてしていないわ。ホントあんたの目が節穴すぎて困っちゃう」


「あ、姉上痛いっ! 痛いぃぃ!!!」


 彼はペシッ、ペシッ、ペシッとおしりを鞭で打たれ、騎士たちの面前でお仕置きされてしまっていた。ついには、おしりを突き出し顔と胸をつけた姿勢で魂が抜けたようになってしまっている。


 ひと仕事終えたかと思うとアンドレアは次の目標はおまえだ! と言わんばかりにこちらに向かってきた。


 メルフィナが俺に指一本触れさせまいと両手を広げて、アンドレアの行く手を阻む。だがアンドレアはそれも織り込み済みと言った感じでメルフィナの耳元で囁いた。


「ウブなメルフィナが男を連れてきたかと思ったら、面白そうな子じゃない。私に一口味見させてくれない?」


「ダメぇぇっ!!! 私の旦那さまなんだから! アンドレアはモテるんだから、他の男の子と仲良くしてればいいの!」


 メルフィナがアンドレアに語気を強めて言ったときにはアンドレアの姿は消えており、いつの間にか俺のそばにいて、甘い色香を漂わせてきていた。


「すごいわ……ここなんてカチカチ……やっぱり強いオスは逞しいのね……こんないいオスを捕まえたメルフィナがうらやましい……」

「あ、あのアンドレアさん……俺は……メルフィナの婚約者で……」


 俺は彼女にさわさわと身体を撫でられ、うっとなって、吐息混じりにしか彼女に返事できない。


「ウソじゃないから。メルフィナに飽きたら、私のところに来て。いっしょに楽しみましょ」

「アンドレアっ!」


 メルフィナがアンドレアに起こって、俺から引き剥がそうとモーションを起こしたが、そのときはアンドレアは消えていた。


「ひゃん! ごめんなさい、旦那さまぁぁ」

「それよりも大丈夫?」

「はい……旦那さまの腕に抱かれてしあわせです」


 俺に勢い余ってぶつかったメルフィナを胸で受け止め、両腕で抱いた。一方アンドレアはアンドリューの下におり、彼のベルトの後ろを掴んで引きずっていた。


「姉上ぇぇ……」

「さあ、帰るわよ」


 アンドレアは訓練場のゲートを潜る前に一旦立ち止まり、振り返りこちらを見た。


「メルフィナ、あなたの友として、恋敵として忠告しておくわ。気をつけなさい、王宮があなたたちを召し出そうとしているから」

「えっ、王宮が……?」


「フレッド殿下がトウヤの持ち込んだ不思議な武器に興味があるそうよ。私はトウヤのそっちの方の武器にしか興味ないけど」


 メルフィナはアンドレアに両腕を上げながら、足を交互に上げて怒っていたが、アンドレアは一笑に付して帰ってしまった。


 これは困ったぞ……。


 騎士たちに譲り渡すと言ってしまった以上、持ち込んだ分は彼らに売らないとならない。一旦、家に戻って取ってくるしかなさそうだな……。


 俺の心配をよそに訓練場では競売が始まろうとしていた。


―――――――――あとがき――――――――――

たくさんのフォロー、ご評価ありがとうございます! 作者、魔太郎先生のエルフ村の美少女エルフたちを眺めながら、妄想マシマシでこれからも書いてイキたいと思いますw よかったら応援よろしこです。

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