第6話 エルフとお風呂

 腹の傷は?


 湯船に浸かっていたってことはもしかして……。


 はっとして手で腹に触れようとすると、


「あん……旦那さま、くすぐったいです」


 ハグしてきたメルフィナのお腹に触れてしまう。さっきまでの凛々しい騎士から甘い吐息が漏れてきて、脳がバグりそう。


 メルフィナがいきなり俺に抱きついてきたから、彼女の美しい裸体を前からはっきり拝む機会こそ逸したが彼女の豊満すぎるたわわは俺にぴったりフィットしていた。


「もしかしてメルフィナが俺を治癒してくれたの?」

「はい。私を守ってくれた上にハイヲークを倒す機会までいただいたのです、私の旦那さまを治癒するのは当然の義務です」


「それに旦那さまというのは……」

「私と刀哉さまはあのとき契りを交わした仲なのです」


 契り?


 いつ交わした?


 まったく身に覚えのないことに焦るが、なんというか異世界ファンタジーにおける主従契約みたいなものかと俺は勝手に理解する。


「だけど知り合ったばかりの男女が裸で抱き合うというのは……」


 メルフィナのたわわから伝わる心音と暖かさに心が安らぎながらも、つるすべの肌に興奮を覚えるという二律背反な気分になっていた。


 や、ヤバい……。


 このままではメルフィナに悟られてしまう!


「旦那さま! 大変です! まだお怪我が治ってないところがあるみたいです。スゴく腫れ上がってしまって……」

「ち、ちがうからっ! メルフィナ、それは怪我じゃないんだ」


 腰に巻かれていたタオルをメルフィナは引っ張って剥ごうとしてきた。


 いまタオルを剥がされるのだけは絶対にマズい!


 俺とメルフィナは一枚の薄布を巡る攻防を繰り広げていた。


 三十路の俺がJKくらいの歳の女の子とお風呂に入ってること自体がもう未成年淫行もいいところでこんな場面、中須賀に見られたらいくら不良警官のあいつでも逮捕するだろう。


 童貞の刀哉くせにけしからん、という理由で……。


「契りを交わした以上、裸のお付き合いをしないといけません」

「待って待って!」


 顔は美しいとしか言いようがないけど、まだあどけなさを残した美少女のメルフィナだが、身体は実にけしからんぐらい発育の良い恵体に迫られ、俺は彼女の肩と手を掴んで制止する。


「あっ……」


 はらりとタオルが落ち、俺の愚息が恥ずかしげにデビュタントお目見えしてしまう。更に悪いことにメルフィナはびっくりしたのか足を滑らし、彼女を支えようとした俺まで一緒に風呂場へ倒れてしまった。


「あ……」

「またまた、ごめん。支えきれなかった」


 不可抗力だがメルフィナを押し倒すのは今日二度目だ……。メルフィナが頭と腰をタイルに打ちつけないように覆うので精いっぱい。


 でも俺の顔面はメルフィナのおっぱいで支えられていた……。


 柔らかくて温かくて、いつまでも埋まっていたいと思えるほどのしあわせを俺に与えてくれる。弟子に逃げられ工房の経営は火の車、世知辛い世の中でも毎日メルフィナのおっぱいに包まれたら、俺はビルを建てられそうだ。


 いまは絶賛愚息が建設中ではあるんだけど。


「すぐにどくから……」


 申し訳ない思いでメルフィナに謝罪すると彼女はふるふると首を横に振る。


「旦那さまの硬くて強くて反りがあって、大きいのにはメルフィナは感動しました。旦那さまのは素晴らしいです……良き精霊が宿っていて、触れるだけで心が洗われるじゃないかと思ってしまいます」


 メルフィナの瑞々しいほど張りのある太股に触れている愚息……。彼女はうっとりした表情で俺のアレについて語り始め、その色っぽい顔つきは実にえっちだ。


 メルフィナに俺の刀に触れられでもしたら、それこそいけないものが洗われるどころか、現れるってものだ。


 S級セクシー女優も裸で逃げ出すほどのメルフィナの恵体と身体を重ねたままだと仕事一筋、こじらせ三十路童貞の理性がいつ崩壊してもおかしくない!


 身体を起こし、メルフィナの手を引いたあと、後ろを向いていると彼女が疑問を投げかけてきた。


「あれは、もしかして旦那さまが打たれた剣なのでしょうか?」


 俺の馬鹿馬鹿、変態!


 俺の太刀のことを話しているのかと思ったら違った……。いや俺の太刀には変わりないのか。


 股間を隠すために風呂椅子に腰かけていたのだが鏡にメルフィナの一糸纏わぬ姿が映ってしまい、隠しきれなくなる。メルフィナのけしからんすぎるエロボディを見ないように目を瞑りながら、彼女と会話していた。


「それは俺と親父と打った物での最後の作刀なんだよ」

「そんな大事な物を私に……」

「いや俺には精霊のことは分かんないけど、刀もメルフィナに使ってもらってうれしいと思うよ」


 ほとんど俺が打って、わずかに親父が手直ししたんだけど、そのあと親父は失踪してしまったんだよな。まだまだ習うことはあったのに。


 いよいよヤバくなってきて、俺は湯船に浸かる。


 が……。


「旦那さま、エルフは水浴びが大好きなんです。一緒にそちらに入っても構いませんか?」

「えっ!?」

「構いませんよね? 旦那さまに尽くすのがメルフィナの役目ですから」


 あ? え? 俺が戸惑ってる間にもメルフィナは深さはそれなりにあるものの狭い湯船に入ってきてしまった。あり得ないことに彼女は俺と向かい合って俺の足を跨いで腰を下ろす。



 いやこれ……対面座位まっしぐらじゃね?



―――――――――あとがき――――――――――

エロフの恩返しwww

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