第4話
その夜の事である。
誰かが私の部屋のチャイムを押した。
私は驚愕した。黒いコート、四年前と同じ姿で現れたのは、、、
「タカヒロ‼️」
「久しぶり。元気だった? 約束果たしに来たよ」
私達は抱き合い、そのまま、寝室に入ると、私もタカヒロも服を脱ぎ、彼の肢体を愛撫し、彼もまた、私にキスする。身体全体に。
一通り愛し合うと、私は泣き出した。
タカヒロは言う。
「そうか、アケミはもう知っているんだね、、、」
テレビを点けて観ていた私を抱きしめる。テレビではフランス航空の事故で死亡したリストが載っていた。
「タカヒロはどうなるの? 死んだままなの?」
私はタカヒロに訊く。
「これから、天の御国に行かなくてはならない、、、アケミとは、今日でさよならを言うために神様が特別に取り計らってくれたんだ。だからこの夢は終わる。この夢の中で会うのが最後の機会なんだよ、、、」
でもね、とタカヒロは続けて言う。
「僕はフランスで画家として、成功をおさめた。チケット渡しておく。僕の展覧会の。見に来て?君宛に絵を描いておいた。2人の高校時代の絵を。それが遺言で、チケットの売り上げは君の口座に入るようにしてある。じゃ、また。次会う時は互いに天の御国だ」
「行かないで、、、」
私は抱きしめる。
「しばしの別れだよ。悲しいかもしれないけど、これからアケミが、歳を重ね、人に仕える事をすれば、やがて、会えるよ。じゃあ、また」
そう言って、タカヒロは服を着ると、雪が止んだ、窓からの朝の光に溶けて、その場からいなくなった。
起き上がると、展覧会のチケットが、タカヒロが来て、置いて行ったコートの上にあった。
私は泣いた。
激しく泣いた。
fin
雪の降る町に 石神井川弟子南 @oikyu
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