第15話 違和感
目が覚めるとそこはいつもとおんなじ天井だった。今日もまた憂鬱な一日が始まる。毎日同じような生活。あれ・・・この景色ずっと繰り返している気がする。気のせいかな。早くしないと学校に遅れちゃう。私は慌てて家を出た。ぼんやりしていると話し声が聞こえてきた。・・おい・・てん・・が・・遠くてあまり聞こえなかった。気がつくとその話し声は私の横に来ていた。木下蒼井・・・。彼の姿がそこにあった。昨日私が・・・。あれ。昨日何かが起きたことはわかるのに何が起きかを全然思い出せない。私は変な違和感に襲われた。この違和感は気のせいなのかな。いつもはそう思えるけど今回はそんな気がしない。私はなんでこの景色に見覚えがあってこんなにも彼を意識してしまっているのだろう。気がつくと私は学校についていた。一時間目が国語、二時間目は歴史、三時間目は音楽、四時間目は理科、五時間目は数学、六時間目が英語。昨日と全く同じ時間割だ。そして昨日と同じ授業、会話だった。やっぱり私は昨日をループしているのだ。その事実に気づくととても怖くなった。私はいつこのループを抜け出せるのだろう。そんな事を考えている間も時間がどんどん過ぎていってまた今日の朝に近づいている。私はこれからどうすればいいのだろう。ネットで調べても出でくるはずがないし本にも書いているはずがない。でもそれ以外考えがなかった私は、学校帰り図書館によることにした。
図書館のパソコンで検索をかけてみる。「毎日ループ 抜け出し方」検索を押す。
該当するものがありません
そりゃあそうだよね。こんな事あるはずないよね。他の調べ方をしてみよう。まずはシンプルに「ループ」たくさん作品は出てきたけど、全部ファンタジー。でもファンタジーの世界はどうやってループから抜け出しているんだろう。気になった私はファンタジーの本を借りて帰った。家に帰って早速読むと1つ目は謎解きをして抜け出す。2つ目は自分がループしていることに気づいて抜け出す。3つ目は救いたかった人を無事助けて抜け出す。というものだった。なぜかはわからないけど3つ目の本が私には引っかかった。
アオイそらノキのシタでまた君と
めちゃくちゃな題名で内容もまるで子供が書いたような話だった。でもなぜか私はこの本に親近感を覚えてしまっていた。気がつくと空はもう真っ暗で12時を越えようとしていた。私は寝たら忘れてしまうかもしれない。だから今日のことをメモに書いておくことにした。
・私は毎日同じ日を繰り返している
・図書館に行った
↓
・ファンタジーの本を借りた
・なぜか引っかかった本があった
・ループを抜け出す方法は___
翌朝私が起きると机の上に何かメモが置かれていた。なにこれ・・・全く書いた記憶はないけどたしかに私の文字だった。それに最後の文字が擦れて読めなくなってしまっていた。
出来損ないのピアニスト @yuriarare
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。出来損ないのピアニストの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます