ユニーク フリーダム オンライン 〜PS最強すぎ...〜
さまながめ
一章
第1話 ゲームが届いた!
元気よく蝉が大合唱する暑い暑い夏の日。
「あー!疲れたー!」
長い黒髪を高い位置でお団子にしている女の子が、どん!と音を立てて縁側に座り込んだ。
彼女の名前は
「お疲れ様。手伝ってくれてありがとね」
縁側の後ろにある部屋から、お盆にスイカを乗せた焦げ茶色の髪を持つ女の子がやってきた。女の子はミディアムヘアーの髪の毛を低い位置で1本に束ね、前髪をヘアピンで停めている。
彼女の名前は
「...食べる?」
「食べる!」
彩芽の問いかけに緋咲が間髪入れず答える。
彩芽はスイカの乗ったお盆を挟んだ隣りに座り、緋咲と談笑を始める。
「ねぇ、そういえばこの前パソコン長時間使ってたけど、なにか探し物でもしてた?」
「へっ?あ、えーっとね...えっとね...」
「?」
「みんなでなんか、ゲームやりたいなぁって思ってさ、良さそうなの探してたんだよね」
にへ、と恥ずかしそうに緋咲は笑う。
そして彩芽は「みんなでゲームをやりたくて探してた」という言葉を聞き感激して緋咲に抱きつく。
「ありがと!」
ニコニコ笑顔で感謝を伝えた。
「むふー!どういたしまして!」
まるで子供のような微笑ましい会話が繰り広げられている。縁側でこんなクソ暑い中抱きつきあって、仕事終わりということもあって汗だって流しているのに、彼女らは実に元気そうだ。
「あ、でもさ、自分以外みんなゲームって苦手じゃん?」
「確かに...」
お互いに離れ、彩芽は顎に片手を当て、緋咲は静かに両手を合わせてお喋りを続ける。
「だから!ゲームが苦手なみんなでも楽しめそうなの探してきたんだよ!」
「ほんと?!」
驚愕に染った声色で声を上げる彩芽は、瞳を見開きながら緋咲にそこまで考える脳があったのかと考える。
「うん!その代わり馬鹿みたいに高いけどね!」
...こいつもしや高いゲームを遊びたいだけでは?と思わなくもないが、せっかくみんなで遊べるゲームを探してくれたのだ、ここで一刀両断とばかりに拒否するのも酷だろう。
「...値段によっては全員分買いましょうか」
「1つ428800円だけど」
「...まぁ、5人分だとしても買える値段ね。夕食の時にこの話して、全員から賛同を得られたら買いましょうか」
「わーい!最新機器最新機器!」
緋咲は両手を挙げて喜ぶ。こどものように。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
「あ、ねぇ聞いてよ」
「んよ?どーしたのー?」
夕食時になり、5人の女の子が集まって食事をしている。
その中で、緋咲が野菜炒めを食べる手を止めて話を始める。
「自分、みんなと楽しくゲームしたくて良さそうなの探してたのね。で見つけたんだけど初期費用が馬鹿高いの。まずゲーム機が1つ428800円で、ゲームソフトは1つ15000円。全員分買いたいんだけど、ソフトも機器も
人気で片方だけ買えたけどもう片方は買えなかったとかいう事態になりかねないから、買うかどうかは皆から判断貰いたくて...」
「いんじゃない?」
「お前はもうちょっと考えてから発言して」
不安そうな緋咲の発言に対し一瞬で肯定の言葉を返したのは、濡れ羽色の髪を肩で切りそろえ、耳の後ろに編み込みのある女の子だった。
彼女の名前は
「購入した場合、428800円と15000円が5つだから、2144000円と75000円になって、合計で2219000円になるわね...貯金残高が約8000000円だもの、余裕で足りるわ。緋咲、私は購入に賛成よ。貴方が折角探してくれたゲームだもの、みんなで遊びたいのもわかるしね」
先陣切って金銭の計算をした上で賛成だと手を挙げたのは、薄い茶色の髪を膝下まで伸ばした清楚な女の子だ。
彼女の名前は
「僕も鈴歌に同じく、賛成派かな。そもそも反対する理由もないし、僕の狩猟だってそう一日に何度もやるような物じゃないしね。最近は酪農や牧畜が多いから、時間も余ってる。なんならロボット君たちのおかげで1日1回の見回り以外は特にすることないし、時間を有効に使いたいよね。」
そう片手を上げて賛成派の意見をあげたのは、暗い茶色の髪をボーイッシュなショートにした女の子。
彼女の名前は
「うちはさっきも言ったけどいーと思うよー!それに、片方だけしか買えなくても笑い話になるでしょー?彩芽はー?」
「私は元々賛成派。一番初めに緋咲から話を聞いて、夕食時にみんなに提案すればいいって教えた張本人ですもの!ここで意見変えるなんて格好悪いことするわけないよ」
自信満々に言って、最後にえへ、と崩して笑う。
「みんなありがとう!じゃ、寝る前に注文しとくわ!」
「届くといいねー!」
「ちなみにどういうゲームなの?」
「なんかファンタジー系だって!モンスターとかが出て狩ったり、魔法を使ったり、剣を使ったりするってβ版の評価にあった!」
「へぇ、やったことの無いジャンルだし、面白そうだね」
「あ、ちなみにステータス?なんかゲーム内の身体能力は、初めにリアルの方の数値が出てくるんだって!」
「あら、面白そうじゃない。ならわたくしは現実の身体能力でどこまで行けるか試してみるわ。まぁでも絶対に弄らないといけないステータス?とかもありそうだけれどね」
「面白そうだね、それ」
「うちもやるー!」
「私もちょっとそれ興味ある...!」
「自分そういうの思いついたことないわ。確かにやってみたいかも」
8畳ほどある部屋で5人はわちゃわちゃと微笑ましく話している。
そして全員、緋咲の言うゲームというのが気になっていた。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
それから数日後の午前3時程の時。扉を優しく叩かれる音がして、全員がほぼ同時に起きた。
「今何時だと思ってるんだ...」
「僕が出てくるよ。みんなは待っててくれるかな」
「ありがとー!」
心音が襖を開けて1階の玄関の方まで早歩きで駆けていく。
それから数分後、心音は大きな段ボールを5つ持って戻ってくる。両手で1番下だけ支えて、体で一番下の箱の上に乗った箱を支えている形だ。
「え、何その大きな箱」
思わず彩芽は驚きの声を上げた。箱をすべて重ねたら彩芽の胸より高くなるのでは無いか。そう思わせるほど箱は大きかった。
「僕にもよく分からないんだけど、《ユニーク フリーダム オンライン》ってゲームと、《アルカディア》ってゲーム機器らしいよ」
聞いたことの無い名前。ただ1人を除いて皆が小首を傾げる。
「えっホント?!」
ただ一人を除いて。緋咲だけがその箱の正体を知っているようで、1人驚きを隠せないと言った様子だ。
「?」
「それ!この前注文したゲームだよ!ほら、あの馬鹿高いやつ!」
「あぁ、あれか!」
その場にいる全員合致がいったようなので、緋咲は全員が覚えていてくれたことにほっと胸を撫で下ろす。
「貸して貸して!それ、初期設定とか面倒くさいのやらないといけないから、起動するまでに時間かかるんだよね。そういう初期設定は任せてよ!」
「りょーかーい!」
心音から箱を受け取った緋咲は、その重さにバランスを崩しつつもしっかりと受け取り、畳の上に置いて箱の中身を取り出し始めた。
中から出てくるのは、ヘルメットのようなものと、チョーカーのようなもの、手袋のようなもの、靴下のようなもの、そして説明書とプチプチ。
紫月は出てきたプチプチで遊びながら緋咲のやっていることを眺め、心音は興味深そうに緋咲の手元を観察して、彩芽は機器を見たり触ったりして、鈴歌は緋咲が設定している内容を見ている。
そして設定開始から1時間後。ようやく五人分の初期設定が終わったようで、緋咲がぐったりとその場に寝転んだ。
「できたー...!」
「お疲れ様。お茶入れてきたわよ。飲む?」
「飲む!」
緋咲が初期設定に悪戦苦闘しているあいだ、鈴歌は緋咲のためにお茶を入れてきていたようで、緋咲にお茶を差し出した。
「ねー、これでゲームができるのー?」
「うん!できる!でもまだ正式版開始の時間じゃないから、キャラメイクまでしかできないんだけどね」
「じゃぁ、そのキャラメイク?まで、最低限身の回りの事をしようか」
「あ、なら緋咲。うちの神社の方手伝ってくれない?なんか柱の一部が劣化してて...」
「おっマジ?任せてー」
そうやって各々、ある程度の時間までを過ごしていく__________
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
不定期更新です。なんなら1話投稿してから更新まで半年空く可能性だって全然あります。
プロットすら立てずに思いつきで行動してるので、設定に矛盾があったりします。「詰めが甘いな若造め」と思いつつ生暖かく見守ってください。
とりあえず三章までは書きたいです。書けるかは知りませんが。
熱しやすく冷めやすいの究極系ですので、5話投稿したあたりから雲行きが怪しくなるかと。
設定考えるのは好きなので設定資料だけ溜まっていくと思います。
誤字脱字がありましたら教えてください!
ユニーク フリーダム オンライン 〜PS最強すぎ...〜 さまながめ @kobayasisann
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