「話せばわかりあえる」。この言葉は難しいですね。この言葉が思い浮かぶとき、多くの人は相手を説き伏せようと、自分の思い通りにしようと無意識のうちに思っているものだと思います。
ましてやこの状況に「落としどころ」なぞあろうはずもなく、互いの思いが互いを引き離していく様に胸を痛めました。
私も「死」を扱うことが多いのですが、やはり子供の死ほど苦しいものはありません。主人公の、そして七恵の心痛やいかばかりかと思うと涙を禁じ得ません。
人もまた田中やサワガニの如く、敵わぬ巨人に小さなハサミで立ち向かうか、これも天命と諦めてただ踏み潰されるに任せるか、それとも素知らぬ顔をして脇をすり抜けるか、何れかしかないのかも知れません。
今回も素晴らしいお話をありがとうございました。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
「話せばわかりあえる」の裏には、説き伏せようとする心理がある、、鋭いです。だから「話せば・・・」と言われた側は本能的に聞く耳をもたなくなるのかもしれませんね。今回のように子供の死という辛い現実を前にしては、落しどころも正解も意味をもたないですよね。
抗いようのない現実に、立ち向かうか諦めるか素知らぬふりを決めこむか、、せめて自分の決めた道を肯定するぐらいが、人にできる精一杯のことなのかもしれません。
ああ、最新話に追いついてしまいました……!
「過去を直視するには、過去はあまりにもまだ生々しい」の一文が、胸に刺さりました。すれ違う夫婦の、双方の思いに共感しました。諦めたくないという切実な気持ちも、天命という言葉が口を衝いて出るまでに足掻いた末の、諦観も……おそらくは一生背負うことになる十字架の重みを感じながら、しんみりとした余韻に浸っています。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
夫婦それぞれの想い、切実な葛藤の記憶が今でも生々しくて、過去を過去にしきれないのかなと思います。一生背負うことになる十字架、、まさに重い十字架ですね。しんみりとした余韻に浸っていただいているとのこと、うれしいです。
ここまで読み進めていただき、☆もいただいて、ありがとうございました!
人の力では抗えない運命は、確かにあると思います。映画などでは、諦めずに頑張れば何かが起こる。でも現実はそううまくいかない。足掻いても無情に押し流されることがある。
でも一方で、諦めたら終わり、という気持ちもあります。未来を確定できないので、奇跡が起こらない、とも断定できない。だから、足掻く。
この葛藤に解は無いのでしょうけど、最後の新幹線の場面にはぐっと来ました。
心から欲していることは、応えてあげるべき。それがたとえ、相手の健康を害しても。そのように思いました。
戦場で、胃を銃弾が貫通すると、ひどい渇きに苦しめられるそうです。そこで水を与えると死んでしまうので、Medicは与えない。でも、与えなかったら生き延びるかと言うと、その確率も低い。じゃあ、与えた方がいいんじゃないか。そんなシーンを思い出しました。
乱文すみません。色々と考えさせられる、強い力のあるお話でした。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
大切なもののために足掻いて足掻いて、でもそれがどうしても実を結ばない時、どこかで諦めてしまう、その諦めをずっと後悔する、、そんな人の弱さにも寄り添えればいいと思いますね。
新幹線の場面、感じていただいて、うれしいです。
深層心理ではまだ我が子の回復の望みを捨てられなかったから無理に連れ出さなかったのか、あるいはやはり諦めの無力感ゆえだったのか、、いずれにせよ、こちらも後悔しきれませんね。
戦場の例にもあるように、なにが正解かは人によりちがうのだと思います。だから迷って苦しいんですよね。
死生観に限らず、何をどの程度で割り切って判断を下すのか、彼の人生の在り方そのものに繋がっているように感じました。
でも夢吉くんを楽にしてあげたいと思った気持ちも愛だったはずです。愛してなかったはずがない。確固とした正解のないことだからこそ苦しいですね。
>夢吉を新幹線に乗せてやればよかった。病院からむりやりにでも連れ出して。
胸が潰れそうになりました。
こういう後悔は消えませんよね。レールの環をぐるぐる回る新幹線みたいに。
この章も素晴らしく苦しかったです。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
素晴らしく苦しかった、、というお言葉、うれしいです。
彼の人生の在り方そのもの、まさにそれが垣間見える一日を切り取ろうとしました。
愛しているがゆえの選択が、正しいとは限らない、間違っていたのかもしれないと疑いだすと、苦しいと思います。新幹線に乗せてやればよかったという後悔は、まさに出口のない思いですね。
ラスト一行の「夢なのか現実なのかわからない」がズンときました。
愛する我が子の死。会社でのクビ宣告。
自分ではどうしようも出来ないことって生きていればありますね。
一郎の心情が伝わって来て涙しました。
サワガニ、満天の星、親子連れ、列車。視覚に入るものから様々な感情と思考が刺激されていく描写がお見事です。
迷い、葛藤、理不尽さ、後悔。苦悩。苛まれて来た人生を振り返ると……。
夢なのか現実なのかわからない現在になるんだろうなと感じます。
今回もズシンと記憶に残る久里様ワールド。堪能致しました。
作者からの返信
応援ありがとうございます!
仰るとおり、自分の力ではどうにもならないことってありますよね。
苦難だらけの人生、一朗の心情に涙してくださって、ありがとうございます。
ふと目に入る景物のそれぞれが一朗の心情とシンクロするかのような、それが夢なのか現実なのかわからない状態につながる、、、感じとっていただいて、うれしいです。