第29話 第三の悲劇

 翌十二月三日内閣官房副長官の毛田竜一(もうだ・りゅういち)が議員会館から議事堂へ徒歩で向かう時に横断歩道上で狙撃され死亡した。

前のふたりと同様の銃創が残っていた。

今回も万十川が仕切る。

暗殺が続き警視庁も面目丸つぶれで万十川もイライラを隠さない。

しかし、目撃者探しはまったくの空振りに終わった。

佐田チームの面々と<かぶと虫>は無関係だったとして家に帰した。

 

 

 家に戻された佐田は、チームを集めて話し合った。

「凶器は<かぶと虫>に間違いないだろう。とすれば暗殺者はあの時の強盗としか考えられない」

佐田が言うと

「じゃ最初からこの暗殺を計画してて研究所を襲ったってことになるわよね」

留市が言う。

田口は何かを言いたそうにしているが、言わない。そして難しい顔をして考え込んでいる。

気にはなるが今はそれどころではないと思い直して佐田は中原博士に訊いた。

「中原博士、<かぶと虫>を探す方法はないでしょうか?」

「探すとすれば、コントローラーと<かぶと虫>を繋ぐ通信を捉えるしか無いんだろうが……」

 

 

 その日の夜の八時、大手報道関係各社に犯行声明と脅迫文が届く。

百億円の要求。

四日夜九時の国営放送での回答を求めている。

応じない場合は毎日誰かが死ぬことになると書かれていた。

 

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