レポート6 遭難者

18発目 再び探索開始 WORLD No.011100011  プラットフォーム

俺は一つの銃を持ちながら、葛藤していた。

「どうすればいいんだよこんな銃で!」

俺の隣にいる少女が叫びながら訴えかけてきたが、

「………」

俺は黙っていた……何故ならこの銃を作るように言ったのは"俺"なのだから……

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~二週間前~

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「よし、準備完了です」

「了解だ、ドライバー!車は大丈夫か?」

「問題ありません!いつでもいけます!」

車の中で確認を取り、いつでも出発が可能な状態だった。

拠点襲撃の翌日、俺は再び、あの世界を調べる為に駆り出される事になった。

「しかし、すまない…お前以外今動ける人員が居ないんだ……何かあったら随時無線で連絡を頼む…」

俺はそれを聞きつつ、持っていた銃にマガジンを刺し、チャージングハンドルを引いて装填した。

「了解しました…」

「よし、3分後ゲートを開けろ!探索の出発だ!」

隊長さんがそう言うとゲートのブザー音が鳴り響いた。

「しかし、その銃壊れたのによく直せたな…」

「この銃自身のおかげですよ……まあ、直すって言ってもニコイチですけど……」

カエダさんが話題に出したその銃、それは俺が持っていた"元"SCAR-Hの事だった。

 この銃は元々、黒色一色だったが直す関係上FDEフラットダークアースという色と混ざり、パンダカラーになってしまった。そして、使う弾も変更を余儀なくされた。7.62×51mmNATO弾.から5.56×45mmNATO弾に変更され、SCAR-HではなくSCAR-Lとして生まれ変わったのだ。ちなみに弾が変わった事により射撃した時に出る反動は小さくなったが、威力と射程が落ちてしまった。

「それでもSCAR-Lの部品なんてどこから手に入れたんだ?」

「それは前探索した時のスーツケースからですね」

「スーツケース?」

 俺はそのスーツケースに入っていた武器の事について話した。その中には元々SCAR-L自体が入っていたのだが、一部が壊れており射撃不可能だった。

 だが、SCARの部品互換性は約60パーセント程あり壊れたSCAR-HとSCAR-Lの部品をお互いに流用し、修理をした。そして、壊れたSCAR-Lに付いていたアタッチメントを直したSCARに取り付けた為、前よりもゴツゴツになっていた。新たに、レーザーサイトが付き、暗い場所やサイトを覗けない状態でも銃口の向きが分かるようになったが、逆に敵にも向きがわかってしまうのでレーザーをつけるタイミングはしっかりしなければならない。

「しかし、60連マガジンFN MINIMI以外でようやく使えるよ…あの人に感謝だな…」

「あの人ってユウさんの事か?」

ユウさん?いや、そんな感じじゃなかったな…

「いや、髭が生えててゲームなどで主人公などを見定めるおじさんみたいな人でしたね…」

「あー…あの人か……」

カエダさんはそういうと、誰なのかを答えた。

「死んだよ、その人は……」

え?死んだ?もしかして、襲撃の時に?

「ちなみに死因は急性アルコール中毒だ…」

俺の悲しみを返せ!ガチで紛らわしいわ!

「スピリタスイッキ飲みして、急性アルコール中毒を発症してそのまま死んだんだ。死因がやばいからせめてもの救いとして襲撃の時の被害者として処理されたけど……死因知ってるのは俺含め隊長さんと数人だけだからな……」

「…………」

俺はバツが悪そうな顔になりながら黙り込んでしまった。俺の中の感謝という文字が薄れかけていたが、それでもありがたい事にこの上ない。

「…出発だ、シートベルトしっかりな」

……お酒は程々にしよう。

ブザーが鳴り響く中、ゲートが開き、車はゲートの中へと突き進んでいった。

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〔WORLD No.011100011 〕

〔WORLDName プラットフォーム〕

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〔探索開始します〕


 前来た所とは違い、今回は駐車場に出た。

「あれ?ここって東京駅八重洲パーキング東駐車場?」

俺が車を降りながらそう言うと

「それじゃ、俺は拠点にと言いたいがここに出たなら俺は高速に出る。今後探索する時に役立つだろうからな」

「分かりました、気を付けてください。俺はまた東京駅に入ります」

「分かった、そっちも注意して探索してくれ」

カエダさんはそう言うと車を走らせて別の場所へ向かった。

「さて、やるか……」

 今回は前回と同じ装備で来ているが、唯一違うのはバックパックにベネリM3がある事だ。サブウエポンとしてFNX45もあるが、狭い場所では持ち替えてベネリを使おうという魂胆だ。

 俺は探索の為銃を構えながら歩いていたがふと疑問に思った事があった。ここ八重洲パーキングは電気はないが、前回行った所はなぜか明るかったがここはライトがついてなく暗く、銃についているフラッシュライトを手がかりに動いていた。

 そして、駅構内へと足を運んだ。中は前回と同じく明るく、フラッシュライトを消して探索を始めた。前回あった死体の位置へと移動する事にした。

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JRの在来線改札を抜け、新幹線改札口の近くまで来た時一つの違和感があった。前回倒したロボットの残骸が無いのだ……

 俺は疑問に思いながら前回来た売店まで移動したのだが、その疑問は明確化していった。売店の中にあった前回あったサラリーマンの死体が無かった。前に来たときはここからスーツケースとUSBメモリ、ノートパソコンだけだったはず……だから、革鞄と死体が無いとおかしい……

 俺は売店を捜索していると金色の真鍮製の筒を発見した。見た感じ何かに似ていたが、すぐに分かった……

 そう、空薬莢だ。誰かがここで銃を撃ったのだ。ただし、ここにある空薬莢はリムド薬莢と呼ばれ、スナイパー弾や昔の銃、リボルバーといった銃に使われる薬莢である。おそらく、俺の推測なら7.62×54mmR弾だと思う、その理由は薬莢の長さだ。流通量が多く、汎用性という事を考えると納得する。

 これを使う銃はスナイパーなどしかいない……誰か居るというのを念頭に置いて捜索を続けよう…

 俺は売店を去り、新幹線ホームまで向かった。

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アナザーワールドガンスミス〜Escape Different World〜 矢守龍 @Yamori_Ryu118

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