レポート5 エスケーパー

17発目Fast Reload 選択と弔い

 ……俺はどのくらい気を失っていたのだろう。

俺はベットの上で寝ていた。誰かがここに運んだのだろう……

「お!目覚めたな!」

その声の方向を向くと運転手さんが居た。

「あ、運転手さん、看病していてくれたのですか?」

俺は運転手さんに向け質問した。

「あぁ、そうだ。あと、俺は運転手さんじゃなくて、香江枝智也だ。カエダって呼んでくれ」

なるほど……カエダさんか…

「カエダさんですか……ありがとうございます。ちなみにあの後どうなりましたか?」

「あぁ…あの後は…」

 俺はその後の出来事を聞いた。あの後、アルメニア達にここに来ないと俺らに手を出さないと言う誓いをさせ、アルメニアが来た場所や異世界人について聞いたらしい。そして、俺が提示した選択のうちの1つをやってくれるらしい。

「そんな感じだったんやけど、あの提案ってお前が提示した選択ってなんだっけ?」

「そうですけど…」

 そう、俺はアルメニアに対して2の選択岐を与えた。

「色々な情報を提供するか、人質に取られるか」

という、2つの選択肢でありアルメニアは当然前者を選んだ。その情報の中には魔王についてや、アルメニアが来た世界、そして、俺ら以外の異世界人といった情報を手に入れる為だ。なので、アルメニア部下達も例外ではなく全員情報を渡してもらった。

「得られた情報は多かったよ、アルメニアがいた世界は魔法などがある世界で人間は鎧や剣などを駆使して戦ってるらしいし、そこに来てしまった俺らと同じ異世界の人、そしてその異世界人には天命の加護という物がある。」

「異世界に来た人以外、全く違いますね…俺らはそんなファンタジーな世界に来た覚えはないし、その天命の加護という物は一切受け取ってないですから」

「最初と最後はいいけど、ファンタジーな世界に来た覚えは無いは違うな」

「え?」

ファンタジーな世界を見てたら嫌というほど覚えてるはずだけど…

「ファンタジーな世界に来た覚えがないんじゃない、ここがすでにそのファンタジーな世界だとしたら?」

「ここがすでに?でもなぜ……」

「アルメニア達はどこから来た?」

 アルメニア達がどこから来たか?異世界につながるとされているゲートから?いや、ゲートから入った形跡は無かった…入ってきたのは俺が迷い込んだ時のあの防空壕みたいな扉……まさか……

「まさか、ここがそのアルメニア達の異世界?」

「おそらくな……」

 あの防空壕みたいな扉が異世界に繋がっているのなら話は別だが、アルメニア達が言っていた異世界がすぐそばにあった……

「それじゃ、あそこから外に出たら俺ら以外に来た人を探しにいける…」

 俺は他の人に出会えるかもしれないという希望が手に入り、早く外に出て見つけたい気持ちに駆られたがカエダさんが

「そうゆう事だ、だがしばらくはお前が前行ってた世界を探索しないといけない…」

それを拒否し、俺は驚いた。どうしてかを聞いてみると、

「ユウさんがお前に依頼したフラッシュメモリの件があるからだ。あのメモリと死体について探らないといけない」

あの時見たサラリーマンの死体との関連……

「ここから先は俺が話そう…」

扉から隊長さんが現れないそう発言してきた。

「隊長さん…」

「あの時はよくやった、本当に感謝している…。そうだ、フラッシュメモリの件についてだが…」

 その後、隊長さんから伝えられたのは自分でも信じられない内容だった。自分でも信じられない内容でこの世界のみならず場合によっては他の異世界にも影響を及ぼすような内容だったから。

「という事だ…あの世界をもう一度探索しないといけない理由がそれだ」

「確かに、探索しないといけない内容ですね……その探索はいつからするのですか?」

俺は探索しないといけない理由を知り、それを何時行うかを聞いた。

「今すぐにでもいけるぞ……だが、その前に俺らはやらないと行けない事がある……」

やらないといけない事?

「もう動いても大丈夫なのか?」

「はい、ただし明日までは激しい運動をしなければ大丈夫です」

「そうか、それじゃ来てくれ」

隊長さんは俺とカエダさんを連れとある場所に案内した。

================

「…………」

俺はその場についた途端黙り込んでしまった……

「…………」

同じくカエダさんも黙り込んでしまっている……

そして、俺らと同じように来た人達も黙り込んでしまっている。

何故ならそこには沢山の人型の物が布で被せられており、その近くにはその数と同じぐらいの武器が丁寧に置いてあったからだ。

「辛いだろうが……せめて、転生しても大丈夫なように供養してやらんといけない……」

「「…………」」

「ブツブツブツ………」

隊長さんが何かを唱えているのを俺とカエダさんは黙り込んだまま聞いていた。

「全員、最後の別れの言葉はないか?……」

『………』

全員が黙り込んでいた……

「……なさそうだな。それじゃ、全員あっちでも仲良く生きててくれ……」

隊長さんが持ってたマッチに火を付け布に火をつけ始めた。

「………」

俺は黙り込んでいたが心の中でこれでいいのかと葛藤していた。そして、燃え上がってる火に対して小さい声でポツリと言った。

「生きてあの空を見に行きます……約束ですから……」

すると、カエダさんが突然、俺の肩に手を載せた。何も言わなくても俺は分かる……分かられてしまっているんだ……

 俺らはその後、その火が消えるまで立ち尽くしていた……

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「出来た……」

俺は自分の部屋で銃をいじっていた。そして、時間は少しかかったがなんとか修理?が完了した。

その銃は元々黒色だった…だが、その銃は今上側が黒色、そして、下側が明るい茶色になっておりストックにあるチークパッドも黒から同じく明るい茶色になっていた。

俺はその銃を持ち上げ、チャージングハンドルを引き、ボルトストップに引っかかると、その銃を眺めた。

「………」

俺は黙り込んだままその銃を眺めていた。

コンコン…

誰かが俺の部屋の扉をノックしてきた。俺は銃を置き、扉を開いた。

「はいなんでしょってカエダさんか…」

「あぁ、いきなりですまないが例の予定が決まった。明日の朝に出発だ…準備はいいな…」

明日か……俺はそれを聞き返答した。

「はい、大丈夫です」

「そうか、それじゃ明日よろしくな……おやすみ…」

「おやすみなさい……」

そう言うとカエダさんは去り自分の部屋へと戻った。

 俺はベットに横になり、目を閉じた。そして、そのまま俺は眠りについた。

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