16発目 決着

アルメニアを投げた俺はすぐ様、距離を置いた。一方、地面に叩きつけられたアルメニアはすぐに立ち上がり、俺に話しかけてきた。

「なかなかやるじゃないの……だけど、魔法のおかげで多少マシになったわ……」

意味ないか……魔法のおかげで軽減されてるようだった……だが、完全に防げた訳じゃない……

 俺は再びアルメニアに近づいてみる事にした。当然ながら、アルメニアは剣を振り回して来たが、今度は自発的にスキルを発動させた。

 スキル【警護術】発動!

剣を避け、俺はアルメニアの腕を素早く掴み投げ飛ばした。

「キャー!!」

アルメニアは叫び声を上げながら壁に叩きつけられた。再び立ち上がったが、さっきより立ち上がるのが遅い……

 俺は弾丸は効かないが近接攻撃が効いたのを見て分かった。アルメニアの魔法は遠距離武器の攻撃を防ぐが、魔法や近接攻撃は効かないという物だ。

これなら行ける!拳銃も要らな、

【スキル【警護術】は拳銃と近接武器が所持されていないと発動できません】

え?拳銃必須?しかも近接武器って俺持ってたっけ?

近接武器……あ!

 俺は右手を後ろに回し、とある物を取った。

バシッ!俺はそれを伸ばし、左手にFNX45を持った。

【スキル【警護術】完全状態になりました。一時的に速度、攻撃力が上昇します】

アルメニアはニヤリ顔をしながら聞いてきた。

「そんな棒を持っただけで、私は倒せないわよ?」

俺はそれをきき口角が少し上がりながら答えた。

「そんな棒持つだけで変わるんだよ、お前を倒すことができるほどな!」

俺とアルメニアは睨みあっていた。俺やアルメニアも分かっていた。

この瞬間、この対決に終止符が討たれようとしている事を……

アルメニアと俺が同時に攻撃を仕掛けた。アルメニアは片方の剣をしまい両手で剣を持ちながら俺に斬りかかろうとした。俺はそれを右手の武器で受け止めた。そして、その武器を"起動"させた。

「ギャァァァ!!」

剣を伝い、アルメニアにもダメージが入った。

 そして、俺は相手が怯んでいる内に左手に持ってるFNX45で剣の持ち手を狙い連射した。マガジン全部撃ち尽くした所で剣に異変が出た。

「なっ!」

黒い剣から黒いガラスが飛び散り、剣が銀色になっていた。

「まさか、魔法武器まで持っているとは……」

そう、アルメニアは魔法攻撃は防げない。近接攻撃だけなら剣で抑えられるし、他の近接系の魔法武器なら剣のリーチのお陰で防げただろう。だが、俺の持っていたそう、スタンガン付きの警棒だった。一見ただの警棒だか、スタンガンを内蔵しており、そのスタンガンの機能を使ったのだった。スタンガンから出るのは電気、電気は鉄製である剣に伝わり感電したのだ。

 剣に魔力が宿っているのなら、アルメニアと同じ現象になるのではと思ったのだ。

「まだ終わりじゃない!」

アルメニアはもう片方の剣を取り出そうとするが、

「遅い!」

「ギャァァァ!!!!」

アルメニアに再びスタンガンを当て、感電させたのだった。そして、怯んでいるアルメニアをよそに、彼女が持っている剣に向け渾身の一発を叩き込んだ。

「バキンッッ!!」

アルメニアの剣から黒いガラスが飛び散り、剣にヒビが入った。そのヒビは広がってゆき、そして、粉々に砕けちった。

「あぁぁ……」

アルメニアは絶望した顔をし、俺から離れようと後ずさりをした。そんな彼女に向け俺は言い放った。

「逃げんなよ…あんたが始めた事だろ?」

「ヒィっ……」

「あんたは俺の仲間を殺した」

「ハァハァ…」

「そんな事をして自分だけ逃げようとするのか?」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

「そんな言葉求めてない……」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」

俺は少し考え、彼女にこう言った。

「だから、今から2つ提案する、拒否権は無い」

俺はそう言うと彼女に2つの提案をした。

==================

「あと弾どのくらいだ!!」

「タレットの弾、あと10分の3です!!」

「ちくしょう!」

俺は新しく来た新人から武器を貰った後、ゲートの防衛をしていた。幸い、ここにはタレットがあったが大量の敵に弾を消費し、防衛が崩れようとしていた。

対策を考えていた所に部下がやってきた。

「ここを捨てましょう!それしかありません!」

ここを捨てる。つまり、他の異世界に逃げるという事。そして、自分達が元いた世界に帰れる可能性が無くなってしまうという事。

「隊長!決断を!」

仕方ない………

「……タレットで時間稼ぎしてる間に脱出準備!ここを捨てるぞ!」

もう生き残ってるのはここに居るやつしかいない……俺にわざわざ武器をくれたあいつも今頃死んでるだろう……

部下がそれを聞き急いで車を出す準備をしていた。

そして、準備が完了した1台の車がやってきて、運転席の窓が開いた。そして、運転手から質問をされた。

「あいつ置いていっていいのか!」

俺は返答に困ったがこう返した。

「……この量の敵だ、もし生き残っていたとしても他の部下をこれ以上危険に晒せない……」

「クソっ……」

彼も同じ事を思っているのだろう…助けてもらったのにどうしようにも出来ない事を……

「隊長!準備できました!早く車に乗り込んでください!」

どうやら、準備が出来たらしいが俺は動けなかった…

「………」

「隊長!早く!」

「……分かった」

俺は部下に言われ急いで車に乗り込もうとした。だが、敵側からこんな声が聞こえてきた。

「お前ら!攻撃を辞めろ!こいつの命がどうなってもいいのか!」

その声を聞いた敵は後ろを振り返り、凍りついたかのように攻撃をピタリとやめた。

「それでいい、道を開けろ」

それを聞いた敵の群れが2つに別れ、その間から角が生えた女とあいつが居た……

「なっ!……」

=====================

俺はアルメニアに銃口を突きつけながら隊長さん達を元へ移動していた。アルメニアは当然武装を解除されていて、両手を上げて歩かせている。

隊長さんのもとにくると、こう言った。

「敵陣営降伏させました……もう、この戦いは終わりです…」

そして、俺はこれまであった事をすべて伝えた。

「よくやった……あとは任せろ……」

隊長さんが言った言葉を聞いた俺は疲れのあまり倒れ込んでしまった。


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