第5話 二階層
——墓地ダンジョン 二階層 ——
上に帰える階段が探しても見つからない以上、地上に行くことが出来る可能性があるのは下へ行くことだけだ。
そう考え、覚悟を決めた後に奥が見えない階段へ向かった。
最初に階段を降りた先で初めに感じたのは、
感じた事のない程の強烈な異臭だった。
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そこは、上の階層よりも遥かに広大な敷地に加え、多くの墓のようなもの散見されるこの場所だった。
ひとまずはこの場所を探索するべきだろう。
「それにしても、ここは上の階層よりも更に暗いんだな。」
少し前に、スキル『暗視』を手に入れていなかったとしたら探索がかなりの負担になるところだった。
そうして、通路に入っていくと明らかに腐敗が進んで眼球が飛び出している人型の化け物—ゾンビがいた。
そのゾンビはその見た目に反してかなりの速度でこちらに近づいてきた。
「マジかよ。いきなり、相手の難易度が上がりすぎだろ。」
辛うじて、ゾンビの一撃を交わしてゾンビに対して回し蹴りを与える。
だが、その一撃を喰らったはずのゾンビは全く怯んだ様子もせずにもう一度攻撃を仕掛けて来た。
相手は速度も耐久力も高い、しかも自分の能力値は防御力がかなり低い。
少なくとも、ゾンビの攻撃を一撃でも貰えばタダでは済まないだろう。
「さすがにヤバいな。ここは逃げた方がいいか」
別に逃げてはいけないなんて事はない。
危険のようだったら逃げた方がいいのだ。
ゾンビとは反対方向に向かって走って距離を取って逃走を開始する。
速度に関しては多少ではあるがこちら側の方が上回っているのだろう。
少しずつ、ゾンビとの間が開けてくる。
そうして、もう少しで上に繋がる階段に辿り着ける時にもう一体のゾンビが顔を表した。
マズイ、そう直感的にそう感じた。
「前にいる階段近くのゾンビと後ろのゾンビで挟み撃ちなっているのかよ。」
この通路はそこまで横幅がある訳ではない、ゾンビの横を安全に通ることが出来るかは賭けになってしまうだろう。
何か無いのか!
状況を打開する策を必死に考えていると視界に入りづらい場所に小さい木箱があった。
藁にでも縋るように木箱を開けると光沢のある鉄の短剣が中に入っていた。
思わず、近づいて来たゾンビの頭に短剣を突きつけるとゾンビは後ろに数は後退り、倒れた。
そして、もう一体のゾンビの頭にも短剣で攻撃するとそのゾンビも動かなくなった。
今回はかなり危なかったな。
この短剣を見つけられなかったら死んでいたのは自分だっただろう。
少し休憩しよう。
さすがに、初めて死を間近に感じて疲れた。
——TIPS——
【鋼鉄の短剣】
作中で手に入れた短剣。
属性:物理、刺突
【鉄の短剣】よりも一段階上の武器であり、低階層のダンジョンで発見されることは稀である。
せっかく吸血鬼に転生できたので、最強になりたい! キマイラ @20080304
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