オチャメな妹分と七福神

フィステリアタナカ

オチャメな妹分と七福神

「兄者! お願いがあるのじゃ!」

「なんだよタンヤオ」


 僕は妹分である同じ魔族のタンヤオに声をかけられた。


(どうせ勉強とか宿題とかなんだろ)


「お願いって何?」

「夏休みの宿題を手伝って欲しいのじゃ!」

「タンヤオさぁ。どのくらいやったのよ?」

「ふぉふぉふぉ。ふぉふぉふぉ。ふぉふぉふぉ」


(全くやってないな)


「そうじゃ! ゲームをして兄者が負けたら手伝う、いい考えじゃ!」


(勝手に話を進めるな)


「兄者! 「ぬい」って10回言うのじゃ」

「わかったよ。ぬい、ぬい、ぬい、ぬい、ぬい、ぬい、ぬい、ぬい、ぬい、ぬい」

「あそこにいる動物は?」

「犬」

「ふぉふぉふぉ。引っかかったのじゃ! あそこにいるのはドッグじゃ!」


(DOGね。GODの反対だから、僕ら魔族には相性いいけれど)


「タンヤオさ。犬とドッグは同じ生き物なんだよ」

「ん? そうなのか?」

「そう。だからタンヤオの反則負けで僕は一切手伝わない」

「うぬぬぬ。兄者! 兄者の鬼! 悪魔!」


(悪魔は当たっている)


「じゃ、がんばってね」

「兄者! 1つでいいのじゃ! 教えてくれなのじゃ!」

「なにを」

「七福神について知っていることを書けって宿題があるのじゃ」


(はぁ)


「七福神というのはね。宝船に乗っている神様だよ」

「はっ! 知っているのじゃ。寿老人と福禄寿なのじゃ!」


(そこ行く? なんでマイナーなところを知っているかな)


「恵比寿に住んでいる布袋さんに聞いたから間違いないのじゃ!」


(これで4人。残りは大黒天、弁財天、毘沙門天な)


「タンヤオが知っていることを書けばいいから、それで大丈夫だよ」

「わかったのじゃ! ありがとなのじゃ!」


 タンヤオは夏休みの宿題ノートを持ってきて、開いた。


「なまえ、たんやお。ひづけ、くがつじゅうななにち。しちふくじんは――」


 僕はタンヤオを放っておいて、中秋の名月を見ることにかかせない月見団子を用意することにした。

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