夢見るネッシー第2話

@peacetohanage

第1話

陽が沈み、大空には多くの天体が浮かび始めます。

ネッシーは昼間と同じく、水面からちょこんと顔を突き出して空を仰ぎ見ました。

すると小鳥が再び頭頂部に訪ねて来ます。

「こんばんは!ネッシー」

「やぁ、ご機嫌よう!小鳥さん。今夜もよく星が見えるね?空がよく澄んでいるんだ」

「見てご覧!あれはペガサス座よ?」

小鳥がラピスラズリ色の翼で指し示します。

「ベレロポーンは泉で水を飲んでいたペガサスを黄金の手綱で捕らえて、キマイラを一緒に打ち倒すの。神の仲間入りをしようとしたベレロポーンは、ペガサスに乗ったまま天を目指したのだけど…ゼウスの遣いが来た時に、振り落とされてしまうわ。ペガサスは一人そのまま天に昇り詰めて、天体になったと言われているの」

「僕にも翼が有ったなら、無数の星達と肩を並べられるのに」

「それは無理よ。私でさえ星に届きっこ無いわ?例え翼が有っても、天に昇る事は至難の業なのよ」

ネッシーは溜め息を吐きます。

「この四つ有る足の内、二つが翼だったなら…」

ネッシーは呟くと、ゆっくりと水面に沈みます。

その途端、小鳥も頭頂部から飛び立ちました。

「おやすみなさい、ネッシー!また明日」

「おやすみなさい、小鳥さん…」

ネッシーがすっかりと水面の下に隠れてしまうと、小鳥は広い湖の回りを一周し終わってから自分の家へ帰りました。

小鳥の家は林の先に有る、古いお城の庭先に有ります。

ネッシーはと言うと、湖の奥底に有る小さな洞窟に向かいました。

そこがネッシーの家です。

家の玄関やリビングや寝室には、陸上で使われていたあらゆる物々が取って置いて有ります。

それは既に陸上ではゴミなのですが、ネッシーにとってはどれを取っても珍しい宝物なのです。

ネッシーはベッドに向かうと、身体を丸めてうとうとします。

そうして眠りに着いた後に、素晴らしい夢を見ました。

四つの足が全て翼に生え変わっていて、縦横無尽に夜空を駆け回ります。

そうしてペガサスやゼウスにも会って、世間話を交わす事も叶いました。

忘れてはいけません、天使にも会い矢を貸して貰ってお城で眠る給仕達の胸を沢山射りました。

それはもうネッシーの言葉では言い表せ無い位に、素晴らしい夢だったのです。


おわり

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