第三話 味わう思いで感じる香りふわふわな体験
鞄の中身の最終チェックを済ませ、荷物をまとめる。
午前九時十八分。
「大丈夫そうだね。そろそろかな?」
そっと窓の外を確認する。
「やっぱり」
一花がこちらに向かうのが見える。
一花とは三十分に家で合流になっている。
荷物を持って玄関に向かう。
ピーンポーン!
玄関の前に着いたタイミングで、家のチャイムが鳴った。
「一花おはよう!」
「お、早いわね。ちょっと約束より早かったのに」
「ふふーん!まあね!」
「もしかしてGPSでも付けてんじゃないわよね?私の事好きすぎじゃない?」
「残念だけどそこまでじゃないかな~」
「冗談は胸だけにしなさい」
「は?」
私達はデパートへ向かう。
今日は土曜日。昨日約束した桃井さんとのお泊り会。
昨日の夜は寝付くのに時間が掛かった。森での事もそうだけど、主に桃井さんと遊べる事とお泊りできる事が楽しみすぎた。いつも休日は、道場で鍛錬をしているけど今回は話をして休みにしてもらったし特別な日だ。
「それにしても……」
一花の服いいなぁ。というより、一花のスタイルが良いのか。
肘まであるダボっとした白い服に、太ももの上半分までしかないショートパンツ。おしゃれでも大人っぽくもない。ラフな服なのに露出の多さとスタイルで魅力的に見える。
それに比べて私は……。
「ハハハ」
白に近い薄ピンクの半そでの服に胸したから足首位までのピンクのスカート。
お姉さんに見られるような服を着てみたけど……むしろ逆効果なのか……?
「どうしたのよ?」
「ううん、何でもないよ。ちょっと……何かね……」
「今日の服可愛いわよ」
「そうかな……」
「ええ。いつもよりお姉さんに見えるわ」
「ほんと!?」
「ええ。だから、胸を張っていきましょ」
「うん!胸をは……て……うん。」
デパートが見えてくる。
桃井さんとはデパートの近くにある噴水で待ち合わせだ。
「ちょっと早く来ちゃったかな?」
「そうね。待ち合わせの時間は十時でしょ?まだ十分あるわ」
「そうだよね」
「楽しみなのね」
「うん。楽しみだけど緊張もしてるよ……」
「見てわかるわ。ベンチで座って待ってましょ」
噴水近くのベンチで座る。
「見てわかる感じ?」
「そうね~落ち着きかないのが見てわかるし、顔はカチコチだし、見ていて面白いわ」
「フニュフニュフニュ」
顔をマッサージして表情を柔らかくする。
まずいな、桃井さんに恥ずかしいところを見せないようにしないと。浮かれてるなんて思われると恥ずかしい。
「ふぁ~」
「一花も寝不足?」
「も、てことはさちも?」
「うん」
「昨日の後片付け、結構遅くまで掛かっちゃったしね」
「反省はしてるよ……で、でも十時には帰れたよ!」
「十分遅いじゃない……高校生は補導されちゃうわ」
「あはは」
昨日の後片付け。私が勢いよく力を放出したせいで、木が折れてしまった。とんでもない威力……私って凄いな……うん。
「それにしても……昨日の奇鬼、少し変じゃなかった?」
「そうね……まぁ奴らも成長するって事かしら」
成長……なのかな?だとしたら、もっと……。
「あれ、そうかしら」
「え!」
一花の指の指す方向を見ると見覚えがある高級感のある黒い車が。
駐車場へ停車しドアが開き、女の子が降りてくる。
ふさふさな綺麗な髪。風に揺れるその髪は周りを魅了するかのよう。何か良い匂いがしそう。
「さちちゃ~ん!」
手を振って駆けてくる。大きくてを振って、走って。
「さっきまでは品があったわね」
「でも、視線は集めてるよ……それにキラキラしてる……」
「おはよ~二人とも!」
「おはよう!桃井さん!」
「おはよ。あんた急に走り出すから執事の人焦ってるわよ」
「あら」
桃井さんの後を急いで追いかけるタキシードを着ている執事さん。
「急に走り出さないで下さいませ……お嬢様……」
「ごめんなさい芙美。早く会いたくてつい」
「わたくしも、お嬢様のように若くありませんので……ハァ」
「大丈夫ですか?お水買ってきましょうか」
「ご心配ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。車に戻れば飲み物がございますので。えっと、あなたは幸様でしょうか」
あれ?私の事知ってる?
「はい、そうですけど」
「幸様の事は、よくお嬢様から聞いております。お話通りお可愛いですね」
「そ、そんな~えへへ」
「えっと、そちらは一花様でよろしかったでしょうか」
「ええ。そうよ」
「一花様の事もよくお耳にしていますよ」
一花は少し驚いた様子。
「一花様はクラスでも人気だとか。とっても真っすぐでストレートなお方だと」
「それはいい話なのかしら……」
「ちょっと!芙美、余計なことは言わなくていいから!」
桃井さんが執事の人にポコポコと叩く。
「フフフ。あっ申し遅れました、わたくし、
「お世話役……」
「幸様と一花様のお荷物はこちらで預かります」
「良いんですか?」
「はい。荷物を持って行動するのは大変でしょう」
「ありがとうございます。せめて車までは運ぶわ」
一花がお礼を言って三好さんに預ける。
「ありがとうございます。ですが、構いませんよ一花様」
「お願いします」
私もそれに続いて預ける。
「さ、もう行きましょ!」
預けると私達の手を引いて桃井さんが歩き出した。
「え!三好さんはいいの?!」
「大丈夫よ!今日は友達との楽しい日だもの」
「はい。わたくしはこの近くで待機しておりますので何かあればご連絡を」
「分かってるわよぉ~」
「あ、幸様」
三好さんが私を引き留め、桃井さんから少し離れて話す。
「お嬢様がこれまで、お友達と遊ぶことなどこれまでございませんでした」
「……そうなんですか?教室では……」
「いろいろありまして。なので、今日のお嬢様はとてもテンションが高くあります。なので、少し気を付けて見てあげてくれませんか?」
「えっと……はい。私で大丈夫なら……」
「ありがとうございます」
「芙美~まだ?」
後ろで桃井さんの呼ぶ声がする。
「それと、これを」
小さい紙を渡された。
「これは?」
「わたくしの連絡先でございます。お嬢様は少しおいたすることがございます。楽しみすぎて連絡をしない可能性もありますので」
「なるほど。はい、分かりました。何かあればすぐ連絡しますね」
「ありがとうございます」
連絡先が書かれたメモをしまい、桃井さんの元へ向かう。
「すっごーい!」
桃井さんはピョンピョン跳ねながらあっちにいったり、こっちにいったりしている。
ちなみに服装は、質のよさそうな白い羽織に、中にもう一枚青色?の薄着かな?腰当たりから紺色のスカートを履いている。
素晴らしい。これが大人のお姉さん。
見た目はお姉さんだけど、行動はまさに無邪気な子供。
「あんた、そんなにはしゃぐと転ぶわよ」
「見て見て!あっちにお洋服が売っているのに、こっちには文房具が売っているわぁ!」
「聞いてないわね」
「桃井さんってデパート本当に初めてなんだね」
桃井さんはデパートが初めてと言っていた。そんな事ある?っと思っていたけど、この感じを見ると本当なんだ。
「普段お洋服などはお母さまが買ってきてくれたり、一緒に買いに行くことはあるけど~そこにはお洋服しかないわぁ」
「なるほど……」
流石だなぁ。
「ねぇ!ねぇ!あそこいこ!」
「おぉおおっと」
桃井さんが勢いよく手を引く。
「すごいね!さちちゃん!」
この無邪気な笑顔。可愛いなぁ。
「へぇ~可愛い下着ねぇ~」
「う、うん」
「これ!さちちゃんに似合うんじゃない?」
売られている下着を私に見せる。
とても可愛い、刺繍も綺麗。
「これはちょっと……ハハ」
「なんで?可愛いのに……」
「サイズが合わないのよ」
「ぐはっ」
そんなはっきりと言わなくてもいいのに……。
一花はこういうストレートな所がある。ま、それが一花の良い所でもあるんだけど。
「サイズかぁ~」
「う、うん」
「サイズいくつなの?」
「え!な、内緒です!」
「なんで?女の子同士だよ?」
「うぅ……恥ずかしいよ……」
「大丈夫!恥ずかしい事じゃないよ!」
「……やっぱり内緒!」
サイズ。そんな事教えられない。しかも、この大きなお山……。巨峰の前では。
「なら、あかりのサイズ教えてあげれば?」
「私の?」
「そうよ」
「な、なな、どういうこと?!」
い、いいいいい、一体何を言ってるの?一花は……。
「あかりのを教えるからさち、あんたのサイズも教えるってので」
「私がサイズを教えたら、桃井さんのサイズを教えてもらえる……じゃなかった。えっと……とにかく情報の交換的な……」
「そうよ」
そっと桃井さんを見る。
ふふん!っといった顔でこちらを見て言る。
うぅ……。でも、桃井さんのサイズ……。でも、でも……。
「……か、かなりBに近い…………A……かな……」
「なるほど、なるほど」
「で、桃井さんは?!」
「で?」
「え?」
な、なに?何か続ける事あったかな?え、もしかして見透かされて……なんて……ことないよね。
「えっと……何センチ?」
「……ぇ」
「ん?」
「そ、それは嫌です!」
「なんでよ!」
そんな細かくは言えないよ!
「えぇ~」
「で、で?桃井さんは?」
「私?ん~でもさちちゃんの聞いてないよ?」
「か、カップは言いました!」
「…………」
とても渋い顔をしている……。
なんで、そんなにサイズ気にするのおお?
「……D」
「え?」
「Dだよ?」
「ほほぉう」
なるほど、なるほど。ふぅ~ん。Dかぁ~。
「さち。あんた顔が凄い事になってるわよ……」
「え、ぇえっとうそ」
「ほんとよ」
「ふふ。ちなみに一花さんはどうなの?」
「え、アタシ?アタシはFよ」
「えっふぅ」
「ふはは。さちちゃん何それ!ははは!」
つ、つい変な反応をしてしまった。
「……」
あれ可愛いなぁ。
色合いも良くて派手過ぎず、シンプルって事もない。配色がいい。あの生地、着心地もよさそう。
な、なんだってぇ!バストがアップするだとぉ~!ほ、ほしい……。
「さちちゃん?」
「……うっ」
いやいや。今はダメだ。この二人の前で下着を買うのはちょっと……恥ずかしい。ていうか、桃井さんの前で買うのが恥ずかしい。
「ううん。何でもないよ」
「そう……」
今回は諦めよう。うん。
チラッ。
「……」
うん。
「いらっしゃいませ~何かお探しですかぁ~~~?」
「…………………………」
「さちちゃんどうしたの?凄い元気がなさそうだけど……」
「あら、お嬢さんの下着をお探しですか?もしよろしければ、サイズお計りしましょうか?」
「いえ、い……」
「ぜひ!お願いします!」
「え、あっあの……桃井さん?」
「ぜひ計るべきだよ!」
桃井さんが物凄い押してくる。なんで!?
「もしかしたら、おっきくなってるかもしれないよ!」
「……ッは!」
「さちちゃんは成長期!最後に計ったのいつ?」
「え、えっと……確か……ちゃんと計ったのは入学式の前……かな?」
「なら、もうおっきくなってるはずだよ!」
「そ、そうかな!?」
「うん!おっきくなってるように感じる!」
「ホントかな!?」
「うん!たぶんCはあるよ!」
「店員さん!お願いしてもいいですか!」
「はい!かしこまりました!では、こちらへどうぞ」
「いってらっしゃ~い」
桃井さんに見送られて、私は試着室へ向かう。
「あ、ちょっと……そこは……」
「はい、じっとしててくださいねぇ~」
「く、くすぐったい……うぎゅ!」
「大丈夫ですよ~」
「う、うぅ……」
結果は……。
「あの~どうでした?」
「えっと、お客様はご家族の……」
「はい!姉です!」
「そうでしたか。サイズなんですけども……」
「何で桃井さんが私のサイズしってるの?!」
「お姉ちゃんって言ったら教えてくれたの」
「お姉ちゃん!?」
「即答してたわ……」
一花は呆れながら言う。
「B届かなかったね」
「何で!期待させたのぉ~~!!」
「ごめんなさい。ちょっと知りたくて」
「私は知りたくなかったよ……」
「元気出して!ファイト!」
「元気をなくさせたのわあんたでしょ」
危なかった……本当に……もし、もし後少し凹んでいたら、Aをもう一つ受け取る羽目になるところだった……。
「次はあれ!」
私達はまた、手を引かれ向かう。
「みてみて!このお人形!」
そこにはたくさんの可愛いお人形が置かれたぬいぐるみを扱うお店だった。
ウサギさんや羊、猫や犬までたくさんの種類が。
「みてみて!これさちちゃんそっくり!」
「そ、そうかな?それはウサギ?」
「耳がかわいいよ!しかも目がぱっちり!」
「確かに似てるわね」
何か照れるなぁ。ウサギのぬいぐるみはとても可愛い。それが私そっくりだなんて。えへへ。
「ウサギって性欲が強かった……」
「なに、一花」
「何でもないわ」
「みて!これ!」
相変わらずのハイテンションでぬいぐるみを持ってくる。
「これ!一花さんそっくり!」
「おぉ」
手に持つぬいぐるみは、茶色いクマ。ふかふかでほっぺはピンク。
とっても可愛い。
「……それはクマのように凶暴って言いたいのかしら?」
「え~ちがうよ~」
「……」
「買う?」
「…………買わないわよ。そんな可愛いのアタシには似合わないわ」
「そんなことないと思うよ?」
「いーの!」
一花は去って行っていく。
一花はいつもこうなんだから。
「これ!桃井さんにそっくりじゃない?」
「これは……?」
「犬だよ!そっくり」
「そう?私こんなかな?」
「とっても可愛いよ!」
「へっ、そ、そう……かな~えへへ」
も、桃井さんが照れてる!れ、レアだ。
写真を撮りたかった……。
それからも、桃井さんのハイテンションは収まることがなかった。
「みてみて!滑り台あるよ!」
「一緒に滑ろ~」
デパートの外にあるちっさい遊具。
桃井さんはそこで楽しそうに遊んでいる。まるで子供のように。
「ブランコたのしいね!」
「うん」
「どっちが高く揺れるか勝負しましょ」
「いいよ!」
私もテンションが上がっていて桃井さんとの緊張が和らいできた。
「ん?ちょっとまって!」
「え?何だって?」
「えっと!」
桃井さんの下半身へ視線を下す。
桃井さんはスカート。つまり。
「…………」
揺れる。揺れる。少し、めくれる。そして。
「中が……!」
「さちちゃん?」
桃井さんは揺れるのを止め、動きを止めてしまった。
「あぁ……」
「?」
「あ、な、何でもないよ!あはは」
「じっ――――――」
一花の視線が痛い。
「見てないよ……」
「そうね、見ようとはしてたけどね」
「…………」
「なぁに?」
「何でもないよ……」
桃井さんにはバレてないみたい。良かった。ホント。
「お嬢様」
楽しんでいると聞き覚えのある声が聞こえる。
「芙美」
「そろそろ移動いたしましょうか」
「えぇ~」
三好さんが来てから時計を確認する。
正直驚いた。時間は十七時。もう夕方だ。
「ごめんなさい!遊ぶのに夢中になって」
「大丈夫ですよ。時間は決めてませんでしたし、何よりお嬢様も楽しんでいたみたいですから」
「うん!楽しかったわ!」
「ですが、そろそろお腹が空くころではないかと」
「夕飯……」
つい唾を飲んでしまう。
「……ゴクリ」
一花も全く同じことをしていた。
「あと、お嬢様」
三好さんは桃井さんに何か言っている。
「そっか!よし!私のお家にいくぞぉ~!」
すぐに切り替わった。一体何を言ったんだろ。
「す、すっご!なによこれ!」
「凄い!冷蔵庫あるよ!」
「気に入った?」
「ええ!」
「うん!」
いつも外から見ていた、車の中。
すごい。質感、内装。予想以上の物だった。
「これが家って、考えられないわね」
「庭、広いね……」
車を降り、桃井さんの家の前で立ち尽くす。
首を横に動かさないと終わりを見ることができない程の広い芝生の庭。
そして前には、私と一花の家がくっついても足りない位の大きな家。
外見も正直、家なのか疑うようなお城……。
「中に入らないの~?」
「うん!入る!」
三好さんが扉を開け中へ入る。
「なっ……」
「なにこれぇえええ」
ここは玄関なのか、何なのか。いきなり広い。
上を見るとシャンデリアのようなもの。どこもかしこもキラキラしている。
「さち、あんま大きな声出すんじゃないわよ」
「ご、ごめんなさい!」
「ふふふ。大丈夫だよ~可愛いさちちゃん見れてうれしい!」
「さ、こちらへ」
リビングに案内される。
まず目に入ったのは、この大きなテーブル。何人ようなのかな?
他にもおしゃれな置物がいろいろ置いてあって、壁には絵と写真が飾ってある。それと、大きなテレビも。私と一花の家のとは違って、壁にくっ付いてる。
天井には、これは分かる。シャンデリア。本物だ……。
「こちらで食事などを取って頂きます。荷物はお嬢様の部屋に運んであります」
「ありがとうございます」
「では、先に汗を流しに行かれますか?」
「うん!いいわねぇ~たくさん汗かいたし!」
「幸様、一花様もそれでよろしいですか?」
「ええ、大丈夫よ!アタシも汗かいたし」
「お、おふろ……」
私達は着替えを取りに、荷物が置いてある桃井さんの部屋へ向かった。
「ここが!私の部屋でぇ~す」
「すっごい!広いね!」
「まさにあかりの部屋って感じね」
部屋の中はとても広い。私の家のリビングくらいはあるかも。
机と本棚。大きなベッド。……ベッド?
「ベッド大きいね……」
「そうでしょ!今日のために新調したの!」
「き、今日のためにってあんた!」
「いつも使ってるベッドじゃ三人は寝れないと思ってぇ」
「三人って……あたし達は床でも構わなかったわよ」
「だめ!二人を床で寝かせるなんて、そんな失礼なことできないよ!」
「おかげで、さちフリーズしちゃったじゃない」
「あらま」
今日のために新調したなんて。こんな大きなベッドを。桃井さんと一緒に寝る。一緒のベッドで。桃井さんの寝顔。桃井さんの……。おふろ……裸……はだ……か……?
「お、おふろ~いきたいなぁ?」
「あ!そうね!いこ~!」
「ここもやっぱり大きいわね」
「そう?」
「おっきいわよ」
「一花さんのはどのくらいの大きさなの?」
「ここの五分の一よりもないわね」
「へ~それはそれでいいかもしれないわね~」
「あんた喧嘩売ってんの?」
とっても広い浴場。シャワーが三つも付いてる。湯舟がなぜこんなに大きいのか謎。
というか、それよりも。
「おっきい……」
「どうしたの?」
「え、いや……その、可愛い下着だなって」
「そう?ありがと!さちちゃんのはどんなのかな?」
「え、え?私は……きゃ!」
「よいしょ!」
無理やり服を脱がされる。
「可愛いぃい!さちちゃん可愛いよぉ!!」
「そ、そうですか?」
「うん、でも~もう少し大人っぽい下着に挑戦してもいいと思うけどな~」
「えぇええ!そんな、私のその……胸じゃ」
「あ~」
「……」
「胸は関係ないよ!結構あるよ!いろんなの」
桃井さんの励まし。胸にしみるなぁ。そして刺さる。
「っと」
「……」
――ス。
ブラが外され、パンツも下がる。
「…………」
白く大きいお山が現れる。
やっぱり綺麗な形。制服や私服でも大きく綺麗だと感じていたけど、生は凄い。えへ、えへへへへ。
「あんたも早く脱ぎなさいよ」
「…………え!あ、うん!脱ぐよ!うん!」
広い浴場へ足を踏み入れ、一人一つシャワーの元へ向かう。
「えっと、ここかな」
シャワーがどこで使うのか何となく勘でいじる。
「あったかい、えっと、シャンプーは……」
「……さちちゃん!私が頭洗ってあげるよ!」
「え?大丈夫だよ?」
「いいのいいの!さ!目をつむって~」
桃井さんがシャンプーを付けて頭を洗う。
とても優しく、気持ちがいい。
「かゆい所ありませんか~?」
「うん!大丈夫で~す!」
美容院の人になりきってるの可愛いな。
「――ッ!」
目を開けてると鏡から目が離せなくなった。
何だ。これは。桃井さんの手の動きに合わせ揺れる二つのお山。綺麗な形で柔らかいお山。
私は今、あの巨峰から目が離せない。
「じゃあ、泡を洗い流しますね~」
シャワーで泡が流される。この瞬間も目を開けていたい。
「よし!終わったよ~!」
「あ、あの!今度は私が!」
「え?いいの?」
「うん!」
「じゃあ、お願いしよっかな~」
桃井さんの後ろに立って髪に触れる。
綺麗だなぁ。ふさふさしてるけど艶もある。
「シャンプーつけるね」
シャンプーを髪につけマッサージをしながら洗う。
「さちちゃん上手だね」
「え?」
「とっても気持ちいよ」
「そうかな?」
それはたぶん、一花のおかげかな。一花に洗ってもらう時の真似をしているだけ。
でも、上手くいったなら良かった。
「泡流すね」
「うん」
泡が残らないよにしっかりと洗い流す。
「もういいよ」
「ありがとうさちちゃん!」
「うん!とっても緊張したよ……」
「緊張?」
「うん、私、一花以外の人とお風呂入るの初めてで、頭を洗いっこするなんて絶対なかった事だから」
「一花さんとは、よくお風呂入ってるの?」
「そんなには入ってないよ!小さい時に一緒に入ってただけで、今はそんなに入ってないよ?!」
「そうなの?」
「うん」
最近入ったけど……。
「そっか、じゃあ!今度は体を洗ってもらおっかな!」
「か、からだ!?」
「うん。あ、先に私が洗ってあげるね!」
「ちょ、ちょ!」
私を椅子に座らせ、手で泡立てる。
「て、手で洗うの?!」
「うんうん!手の方が気持ちいよ?」
「ぇ、ぇええ!」
桃井さんの手が背中に当たる。
「――きゃ!」
「さちちゃんの体、細くて綺麗だね~肌も綺麗」
「そ、そんな……ぅ……」
「手上げて~」
「……くぅ~ッ」
くすぐったい。それに……油断すると変な声が出そうになる。
「きゃぁあ!」
「ど、どうしたの?!」
「……そ、その……お尻……」
「あ~、そうだ」
「へ?」
桃井さんがお腹の方へ手を回してくる。
「ちょ!桃井さん!?」
「前も洗ってあげるね~」
「そ、そこ///」
「さちちゃんのお胸可愛いねぇ~」
「も……ももいさん……///」
「ちゃんと柔らかいし、お胸あるわよ?」
「そ、そう?」
「うん、それに~」
「……きゅぅ///」
桃井さんの手つきが変わる。さっきまではただ、泡で撫でる感じだったのに、何か、揉む感じに。
「揉むと大きくなるって~噂を聞いて事あるわぁ~」
「……ッ……ッ」
「さ、立って」
もう逆らえない。
桃井さんの指示に大人しく従う。
「お尻も可愛くて柔らかい……」
「桃井さん……その……そういう事は……」
「太もも、結構筋肉あるのね」
「う、うん。それは鍛えてるから……ッ///」
際どい所からふくらはぎまで、桃井さんの手が触れていく。
「じゃあ、前も」
「//////」
「…………」
「…………」
「前は……その///」
「そ、そうね」
私達はそっと椅子に座る。
「まさか変態が二人もいたとわね……」
何か一花の視線が感じたような。
「も、桃井さん!」
「は、はい何でしょう」
「わ、私も背中流すよ」
「え、う……うん」
桃井さんの後ろに立って泡を立てる。手で。
「いきます」
「う……きゅ!」
背中に優しく触れる。
綺麗な肌。白くて柔らかそう。
あれ?
思ったより筋肉がある?
ガッツリではない、触れればなんとなくあると分かるくらい。
「…………」
前の方へ手を回していく。
「//////」
柔らかいお腹。別に太っているわけじゃない。何というか良い。
おへそ。そして上に。
「……ぅ////」
あ、ああああああ。
ついに、ついにこの手に。
柔らかいお胸が私の手に。手に収まりきらない。
「………………」
「あ……あの……さちちゃん?」
「ふぇっ?!」
気づけば手は、桃井さんのお胸を揉んでいた。
「ご、ごめんなさい!つい!」
「そ、その私はこれ以上大きくならなくても~」
「おぉおおお……」
私もそのセリフ言ってみたいなぁ。
「あ、あの……立って?」
「え?……うん」
「………………」
何という綺麗な。
柔らかく、でもハリがある。白くて綺麗。大きくも小さくもない。
「…………ッ////」
お尻。そして、その間に手を潜り込ませ、太もも、ふくらはぎへと手を動かしていく。
「じゃあ……前を……」
「えっ!まえ?前はいいのよ?」
「…………」
「……うん」
桃井さんがこちらを向く。
「…………」
「…………」
何か……もう……幸せ。
「先、入ってるわよ」
「……はっ!」
「…………」
「ご、ごめん!その、前はやっぱり自分で」
「……うん」
き、気まずい。
私のばかぁああああ。
「さ、さちちゃん!?」
バカな私をシャワーで洗い流したい。
湯船に体を沈める。
とっても温かくて落ち着く。疲れが吹き飛んでいく。
「一花見て!顔が半分浮かびます!」
「バカね。私は泳げるわよ!」
「あっ!ずるい!私も!」
私達は広いお風呂に興奮し、冷静な思考はどこかへ飛んでしまっていた。
「二人とも元気ね~」
「あっ、ごめんなさい」
「いいの!二人が楽しんでいるとこ見てるの楽しいから~」
「ん?」
何だ、浮いてる?
桃井さんの二つの球体が浮いている。
「まさかっ!」
一花の方へ眼を向ける。
「ん?なによ」
やはり……。
「胸って本当に浮くんだね……」
「あんた……」
「う、浮いてるのかな……あはは」
若干桃井さんが引いてる?
そんなわけないよね。
「きゃっ!」
一花手で水鉄砲みたいにして桃井さんにかける。
「一花何やってるの!?」
「え~?あかりも楽しみたいかなって」
「でも、そんな」
「う、うりゃ~!!」
「うわぁあああ!」
桃井さんが勢いよくお湯をぶっかける。
「……えっと一花さんがやったやつ、やり方分からなかったから……」
「よくもやってくれたわね――!」
「い、一花落ちつけぇ!」
今度は私が一花にお湯をかける。
そして、私達のお湯の掛け合い戦争が始まった。
お湯から出て、濡れた髪と体を拭く。
使用したタオルはふかふかで、桃井さんの匂いがする。
「ゎぁ~」
桃井さんの着替えを盗み見る。
とても……なんかくるものがある。
「私も着替えないと……」
下着を履き、パジャマを着る。
「じっ――――――――」
「よいしょ」
「ほぅ」
着替えを済ませた一花は奇妙な空間に迷い込んだ。
皆様はお分かり頂けただろうか。
お互いの着替えを気づかれぬようにガン見している、奇妙な二人。何が二人をそうさせるのか。私には分からない。
とても奇妙な体験だった。と、一花は語る。
「すっごい豪華だね……」
「まさかこれを毎日食べてるって訳じゃ……」
私達の目の前には色鮮やかな食べ物たち。それぞれの席に用意されている。
高級そうなステーキ、何かよさそうな野菜類、グラタン、パン、スープそして。
「何か、おっきいエビがあるよ……あ、あれ食べれるのかな……?」
「わ、分からないわ……食べれるんじゃないかしら……だって、お皿に盛られてるし……」
「ど、どうしよ……私、こういうマナーとか分からないよ……」
「me too……」
「oh……」
「どうしたの?」
桃井さんが心配そうに近寄る。
「なんでもないよ、えっとどこに座ればいいのかな?」
「そうだなぁ~さちちゃんはここ!一花さんはここ!」
席へ案内され椅子に腰を掛ける。
「えっと……」
じっ――――。
「いただきます!」
じっ――――。
「はむっ」
桃井さんは、ナイフとフォークを手に取り、ステーキを切って口に運ぶ。
それは真似してナイフとフォークを使いステーキを切って食べる。
「うふぅーん!おいしいぃ!」
えっと、次は……。
「…………」
「……ぁ」
桃井さんと目が合う。
「…………」
「…………その……」
「…………」
桃井さんは黙ってスープにスプーンを使い口へ。
「このスプーンだよね……」
同じようにスープを口に。
「うふふ」
「あー」
「さちちゃん、何で真似してるの~ふふふ」
「あはは」
バレてしまった。
流石に見すぎたか……。
「ご、ごめんね!その、嫌がらせとかじゃなくて……その、食べ方がね……分からなくて……」
「ふふふ、大丈夫だよ。好きなように好きなもの食べても~私達しかいないし、気にする事ないよ~」
「そうなの?」
「うん。ほら見て、一花さんなんてさっきからどんどん食べ進めてるでしょ?」
「わぁ…………」
すごいためらいなく食べてる……。
ためらいなくと言っても、食べ方が汚い訳じゃなく、綺麗にたくさん食べている感じ。
一般的なマナーはできているから、とてもきれい。
一般的なマナーなら私達は師匠に教わっている。
「じゃあ、わたしも……」
最低限のマナーを意識しながら食事を進める。
「おいふぃよ!」
「ちょっと口のものが無くなっってから話しなさいよ」
「いいのよ!可愛いから。ふふふ」
「桃井さんのパジャマ可愛いよね!」
「そう?さちちゃんのも可愛いわよ!」
「一花もそれ良いね!新しく買ったの?」
「そうよ、サイズがちょっとね」
「あら!よく似合ってるわよ!」
「サイズって……お腹周りでしょ……きっと……」
「さち~?あんたいま~何か言ったでしょ~」
「うわぁーこのエビおいしいー」
「こいつ……」
「ふふふ。あははは!」
気づけばマナーなど忘れて、たくさんお話しながら食べていた。
「おいしかったわぁ~」
「とっても幸せだよぉ~」
「では、こちらがデザートになります」
「え?」
私達の元へキラキラしたデザートが運ばれる。
アールグレイだろうか豊かな香りがする。綺麗な艶のあるショコラに白いふわっとしたバニラジェラート。そっとオレンジが添えられている。
「デザートまで頂けるんですか?」
「はい。お召し上がりください」
「いただきます」
一花と顔を合わせ、口に運ぶ。
「うふぅうう!おいしいぃい!」
「これすっごくおいしいわ!」
「でしょ!でしょ!」
結構、お腹が膨れていたが、デザートは別腹だ。
私達はあっという間に食べ終えてしまった。
私達は食事を済ませた後、歯を磨いて桃井さんの部屋へ向かた。
「もうお腹いっぱいだよ~」
「今後、あんな贅沢な料理食べることはないでしょうね……」
お腹をさすりベッドに腰を掛ける。
「またお泊りすればいいじゃない?」
「いいの?」
「いいわよ!すっごい楽しいもの!」
「何か、食事目的で一緒にいるみたいね」
「……」
「ちょっと一花!」
一花の発言に桃井さんが黙り込んでしまった。
「いや、だって、そうでしょ?こんな贅沢な食べ物をお泊りすれば食べられるって」
「そんな、桃井さんの家に泊まったのはそんな理由じゃ……」
「分かってるわよ。アタシが言いたいのは……」
一花が少し真剣な顔をして桃井さんを見て言う。
「今度は、アタシ達の家に泊まりに来なさいって事」
「……ぇ?」
「もちろん、またここに泊まりに来たいわ。正直言って、お風呂も広いし、ご飯もおいしい。でも、アタシ達はそのためだけにあんたと一緒にいるわけじゃない。楽しいから一緒にいるのよ。だから、今度はアタシ達があんたを歓迎するわ」
「……一花さん」
「悪いけど……アタシ達じゃ、あんな贅沢な料理は出せないから庶民の料理になるけど、文句はなし」
「……うん!大丈夫だよ!庶民的な味も好きだから!」
「……あんたねぇ」
「ははははは!」
桃井さんの悪気のない天然が発動した。
一花は桃井さんの気持ちに何か少し気づいてるようだった。
桃井さんの悩み、桃井さんの不安。私じゃ感じ取れなかたものを一花は察知できていた。これは昔から持つ一花の才能の一部、一花の良さだ。
誰かが悩んでいたり、落ち込んで、皆にその気持ちを隠している人がいて。一花はそれにすぐ気づくことができる。しかも、そっと寄り添うのではなく、ストレートに自分の気持ち、思っていることを伝え、その子の不安を打ち消す。一花の優しい才能。
「そうだ!これ見て!私のアルバム!」
桃井さんは、今日一番の笑顔を見せた。無邪気なとても明るい満開の笑顔。
「これが私の幼稚園の時の写真!それでこれが小学校!」
ウキウキでアルバムを見せてくれる。
「あんた変わんないわねぇ~」
「そう?」
「とっても可愛いね」
昔から桃井さんは桃井さんのようだ。
てか、この小学校……有名な私立の小学校では。さすがお嬢様。
あれ……?
「これいつの写真?」
「これは中学二年ね」
「中学二年……」
バカな、中学一年まではお山はなかった……なのに、二年からはお山が分かるくらいに……。
「一体何が……」
「どうしたの?」
「ほっときなさい……この子は今、可能性という真理に触れてしまっているだけだから」
「えっと、ごめんなさい……どういう……」
「まっ、そっとしておいてあげるのが、さちのためって事ね」
「なるほど?」
私はこの現実を信じられそうにない。
なぜ私のお山は成長しないのか……。これは……受け止めなければならないのか……。
「あれ、これは何よ」
「あ、それは」
一花が黄色い刺繍の入った綺麗な赤いアルバムを指す。
桃井さんはそれを手に取りベッドの上に置いて開いた。
「これは、これは……」
「……あ、れ?」
「どう?可愛いでしょ」
アルバムを開くと余白がないくらいに沢山の写真で埋まってた。
「これって全部……」
「そう!これはさちちゃんアルバムだよ~」
そこに写っているのはすべて私の写真だった。
しかも、一緒に写っているわけでも、いつ撮られたかも分からないような写真ばかり。
「これはいつ……」
「さちちゃん可愛いからたくさん撮ったの」
「あんたいつの間に……」
「私、写真撮るの結構上手いみたいなの!」
「盗撮が上手いのね」
「え!盗撮じゃないよぉ~」
いつの間にこんなに取られていたのか……。
ページをめくってもめくっても私の写真が。
「これは一冊目で~えっと、こっちが二冊目」
「二冊もあるの!?」
「そうよ~さちちゃん可愛いんだもの~」
その二冊目も、見るともう残りのページがわずかだ。
「あんたどんだけ好きなのよ……」
「この世で一番好きよ」
「ぇえ///」
いきなりの告白に言葉が出なかった。
その後、数時間おしゃべりが続き、私達はベッドの中へ入った。
「本当におっきいね」
「そうでしょ!三人並んでも余裕よ」
「これを今日のために買うなんてねぇ」
桃井さんを真ん中に私達は並んで横になる。
桃井さんの匂い。もう染みついてる。
「――ッスゥウウ」
良い匂いだ。
「明日はどこに行こっか?」
「そうね~カフェとか?」
「カフェは行ったことあるの?」
「カフェはあるよ~たまにだけどねぇ~」
「じゃあ、明日はアタシ達の行きつけに連れてってあげるわ」
「行きつけ?」
「うん、私達がよく行くカフェがあるの。子供の時からよく言ってたんだ~」
「そうなの?楽しみ」
明日の予定を考える。
明日は日曜日。明日の午後には解散だから、なるべく楽しめるように今のうちに予定を立てる。
「そうだ、私達がよく行く公園も行こうよ!」
「良いわね、となると、カフェでゆっくりしてからテイクアウトのドリンクと軽めの食べ物持って公園かしら」
「いいねいいね!桃井さんはどう?」
「――――すぅ」
桃井さんは目をつむり寝息を立てていた。
「ねちゃった……」
「そうね。あれだけはしゃいだんだから疲れてたのよ」
「可愛いね」
「そうね。私達も寝ましょうか。明日寝坊したら大変よ」
「うん。おやすみ一花。おやすみなさい桃井さん」
…………。
……………………。
ムムム。
ちょっとだけ……ね。
私はそっと桃井さん方へ顔を近づける。
「良い匂い……お花の匂いだ……」
桃井さんの温もりが感じ取れる。
「…………」
むぎゅ。
桃井さんの柔らかいお山に顔を埋める。
「はぁ~やわらか~い」
幸せだ。こんな幸せなこと今までにあっただろうか。
「…………」
お山に手を忍ばせる。
お風呂で揉んだ時と同様、私の手では収まりきらない大きさと弾力。綺麗な形。
私は、桃井さんが起きないように様子を見ながら、巨峰を堪能する。
何度か顔を埋め、いろんな角度から揉む。
「えへ、えへへへへ~最っ高にしあわせぇ~」
「………………」
「はぁ~いいにおい~」
「…………あんた何やってんのよ…………」
「…………ぇ……」
顔を上げると一花がこちらを見ていた。
その顔から一花が引いている事がよく分かる。
「……あ、あのこれは……その……つい出来心で……その……」
「…………おやすみ……」
「……い、いちかぁ……ちがうの……」
最悪な場面を見られてしまった。
我慢できなかった愚かな私を……誰か滅してください。
寝込みを襲うような真似を……私は、私が変態だという事に改めて気づいてしまった……。
仕方ないよ……我慢できなかったんだもん……。
「――ッスゥ――」
私は最後に桃井さんの胸に顔を埋めて肺全体に桃井さん匂いでいっぱいになるように、桃井さんの匂いを嗅いだ。
とても良い匂いで最高でした。
そして、私達は明日を迎える。
妖徨狐譚《ようこうきたん》 Kon/コン @Kon_room
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