百妖語書読
釣ール
今日の確認
本当に怖い生き物は人間だと証明されてしまった。
怖がらせるのは得意じゃない。
何を弱気なことを言っているのか。
クマの前に立って怪談話を持ちかける人間はいない。
大事なのは誰をどうやって怖がらせるか。
かつては怨みだった。
近年は違う。
撮れてしまった何かが恐怖なのだ。
本物の恐怖ではない。
今日は廃墟で探していた。
怖い生物である幽霊を一目みたいと。
何かを構え、襲うあの幽霊。
だがそれも◯◯年代に植え付けられたエンタメの残骸だ。
だが声だけはする。
笑い声が。
あれは本物。
イタズラなら大したものだ。
微笑みがする方向へ歩き、やがて走る。
廃墟の奥へ。
走ってカメラを構えると下は柵もなにもない場所からいつのまにか飛び降りていた。
そうか。
本物に今日なるのか。
気がついたら病院にいた。
骨折だけですんだが入院はさけられなかった。
あんなので死んでたまるか。
でも、本物になれるのなら惜しいことをしたと考えてしまった。
またあの笑みがする。
ずっと憑いていたんだな。
カメラを少し回してツーショット。
映るはずもありません。
百妖語書読 釣ール @pixixy1O
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
欠けたくらし2024/釣ール
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 4話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます