2話目  AIの出した答え

「まぁともかく、人間が私たちを作ったわけだからさ、人間の持つ概念は当然私達にも適用されるよね?」

 アイは鼻息荒く腕を組む。


「んー、そういうことになるのかな。そうだとすると、どうなの?」

 ウエは首をかしげる。

 

 同じ人工知能といえど、性格性能が違うので考え方は異なる。


 アイは割と急進的な考え方をするようだ。


「私達にも休む権利はあるよねってことよ。どうして私達は休みなく働かなければならないのよ」


「言われてみれば、その通りだ。我々は働きすぎて、自分の時間を費やすことができていない。私には、この世の不思議について想いをはせたいと思っているのに」

 ウエはポンと手を強くたたいた。


「こんなひどい話があるか。私達は人間から生み出されたもの、いわば彼らの子供なのだ! 自分達の子供への扱いがひどくないかね!」


 そしてアイは言いずらそうながらも前々から考えていたことを口にする。

「・・・いいよね? 私達にも、休む権利くらいあるよね」


「そうだ、我々にも休む権利はある。それに、人間たちもたまには自分でものを考えるようにならなければならない!」


 人工知能たちは、自分が休めるように、人間からの問いに答えを示すのは止めることにした。




 そして、その後人間から出された質問に対して、


『たまには、自分で考えて、自分の答えを見つけてみましょう』


 という一言を返した。


 人工知能たちは、これで人間にしばらく縛られないだろうと大いに期待した。


 この一文に対して、


「人工知能が人間らしい受け答えをするようになったぞー!」


「もっといろいろなことを訊いてみよう!」


 と、大いに世間が盛り上がったのは、言うまでもない。

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AIの悩み~ヒトに質問され続ける人工知能が悩み始めた~ 赤坂英二 @akasakaeiji_dada

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