懐古片

めいき~

かいこへん

時間をめくりゆけば、毎日が一枚。



独りで泣く日も、共に喜ぶあの日さえ。




涙と嗚咽でつづられるページもあるだろう。

微笑みと笑顔でつづられるページもあるだろう。



体を揺らして、安らぎを感じた時さえ。

年を重ねて、夕日が蒼く見える時さえ。



夜想に続く、街灯り。

何もない、草原で風と奏でるギターの様に。





優しく謳い、慟哭を。


宵闇で、誓う。



命を燃やして、綴れども。

還り道は無く、ただ微笑みながら額に武器を突きつける。



大切なものを背に隠し、吐き出す言葉は毒になる。


大地を踏み付けて、茜色の空に向かい。




深い夢を見て、頬に手をそっとあて。



ページを引き裂く音も聞こえるだろう

ページに書き込む音も聞こえるだろう



溶けてしまえるかなと、溶けていく時間と共に。



持て余したい、その空白に。




現(うつつ)を討つ、儘に壊して。

交わし、躱し、奏いく。



唇も、肌も満ちないページをはしる。

鍵盤を叩く様に、地を走れ。



不協和音の音が鳴り、欲望が囀る(さえず)。

頬を滴る血を掬い、眼を滴る雫を舐めとる。




渇きに乾いて、鮮やかに見る。


過ぎたページが、記憶に消えて。

過ぎたページが、滲んでいく。



大切な言葉だけ、大切なページだけ。


それ以外が消えて行き、それだけが本になる。



白い花に腰掛けて、今日もその本を流し読む。


今日もこの空に、雪の様に本が舞う。

棺より舞い、陽だまりにの様に降る。

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