第26話 大月千尋 16歳 ―under the starry sky①—

 国見君から告白されてからは、学校帰りにいつもの小学校でよく会うようになった。告白をしてくれたのは国見君だが、「会おう」と誘うのはいつも私からで、なんだか前のめりになり過ぎていないか心配になる。


 9月に国見君に本を貸したときも、二人で会いたいという気持ちがあったからであり、本当はあのとき、私ももう一度国見君に告白しようと考えていたのだ。しかし、国見君から告白してくれたときは本当に驚いた。


 中学生の頃は付き合っているとは言っても形ばかりで、いや形にもなっていなかったかもしれないが、国見君に嫌われているような気がしていたし、二人きりで会ったり話したりする機会はほとんどなかった。けれど、お互いに高校で偶然弓道部に入ったことを知って、なんとなく勝手に運命のようなものを感じて、もう一度国見君に告白してみようと思っていたのだ。


 中学の頃とは違い、今は週に1,2回二人で会っているが、11月も後半になりだいぶ寒くなってきたにも関わらず、相変わらず小学校で会っている。これからもっと寒くなることを考えると、どこかのお店や家で会うことも考えたりするが、こんな田舎にはそんなに都合のいいお店はないし、家では家族もいるし…、といろいろ悩んでしまう。


 しかし、国見君は寒さに強いかどうかわからないが、私は寒い中で二人で会うことはそんなに嫌ではなかった。




 昼休みに教室の窓から外を眺めてみると、秋晴れが広がっている。夜も天気は崩れそうにないので、今日も国見君を誘ってみることにした。



[午前中の授業終わったね! 今日も帰りに会えるかな?]



 メールを送信すると、すぐに返信がきた。



[やっと半日終わったな~。オッケー!]



[ありがとう。じゃあ、またあとでね]




 再びメールを返信してケータイを閉じた。


 最近は場所や時間は確認しなくても、いつもの小学校で19時に集合という決まりになっている。


 私から誘えば国見君は断ることはないけれど、たまには国見君からも誘ってほしいとも少し思ったりする。けれど、今日も会えることに嬉しさを感じつつ、あっという間に午後の授業も終わり、部活も解散となった。


「あれ、もう帰るの?」


 同じ中学校出身で、一緒に弓道部に入った柳瀬志保が声をかけてきた。


「うん、ごめん。今日は先に帰るね」


「今日はじゃなくて、今日も、でしょ。国見に会うんだもんね~」


 ニヤニヤしながら肘でつついてくる。


「うん、そうだけど何か?」


 照れくささを隠すために、わざと堂々としてみた。


「うわぁ、うらやましいな~。早く行ってあげなきゃ国見が待ってるもんね」


 そう言いながら、志保が私の背中を軽く押してくれた。


「ありがとう。じゃあまた明日ね」


 部室を出ると、背後から「行ってらっしゃーい」という部員たちからの声援が聞こえてきた。みんなの声に押されるように、小走りで高校前のバス停に向かった。



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