第25話 国見青音 15歳 ―これは恋?これが恋?④―
「あの…、大月さん」
のどが狭まり声が小さくなる。
「ん、何?」
大月さんがこちらをまっする見つめる。
「…あの、もう一度…、俺と付き合ってくれないかな?」
言ってしまった。後先のことも何も考えずに、ただ言わなければいけない気がした。
「え…?」
突然の告白に大月さんは一瞬驚いた様子だったが、すぐに視線をそらし背を向けられて、俺は我に返った。
「あ…、ごめん。こっちから別れておいて勝手だよな。気にしないで———」
自分勝手な告白を慌てて取り消そうとすると、大月さんが振り返った。
「ううん、そうじゃないよ。ちょっとびっくりしちゃって…」
「じゃあ…、オッケーってこと?」
恐る恐る聞いてみる。一瞬の沈黙がとてつもなく長く感じる。
「…うん、そう言ってもらえて嬉しいよ。よろしくお願いします」
そう言って大月さんが微笑んだ。
自分から誰かに告白したことは初めてだったし、気持ちが相手に受け止めてもらえることがこんなに嬉しいものだとは思いもしなかった。しかし、同時に不安にもなった。
中学の頃の自分と今の自分とでは、何か変わっているのだろうか。少しは成長できているのだろうか。告白したのはいいけれど、これから何をどうしたらいいのかわからない。大月さんが俺のことを気にしてくれているのをいいことに、一時的な衝動で告白してしまったのではないか。
告白した直後に不安になっている自分に気づいていたが、心配し過ぎだと考えるのをやめた。
その後はなんとなくお互いに照れくさくなって、そわそわしたまま解散することになった。
「暗くなってきたし、家まで送ろうか?」
「ありがとう。でも、すぐ近くだから大丈夫だよ」
「そっか。じゃあ気をつけて。家着いたら連絡して」
「うん。じゃあまたね」
軽く手を振り合って、それぞれ反対方向へ歩き出した。自転車に乗る前に後ろを振り返ると、行き交う車のライトに照らされながら歩いて行く大月さんの姿が見えた。
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