8、絡まれた。

「オイ。そこの嬢ちゃん俺たちと一緒に飲まねーか?」


あー。なんとなく予想してたけど実際にあるとは。


「すいませんが、今は彼と一緒に食事を楽しんでいる最中なのでやめていただけますか。」


少し威圧的な敬語になってる。

こいつの威圧的な敬語を聞くとお嬢様時代を思い出すな。


「そんなこと言わないでさぁ、こんなガキの放っておいて俺と遊ぼうよ。」


「すいません、立ち去っていただけるでしょうか。目障りで仕方がないです。そして私は今、彼と食事を共に楽しんでいるのです。」


「こんなガキに楽しむ要素なんてあるのか?」


「はい、たくさんあります。これ以上私に話しかけないでください。」


「ははっ。こんな奴が楽しいなら俺たちと遊べばすごく楽しいのになぁ?」


「そうですよ。兄貴に逆らえる力がないことをここで証明してやりましょう。」


「さっきからピーチクパーチクうるせぇんだよ。今、俺はこいつと飯を食ってんだよ。何か用があるなら食べ終わってからにしろ。」


「ガキが何ほざいてんだよ。俺はこの女と話してんだ。」


「さっきさ、後ろの子分みたいな奴が言ってたじゃん。力でわからせるのが一番簡単なんだよ。」


「俺と喧嘩しようってのか?」


「当たり前だろ。というか相手の力量をわかってから売るもんだよ、喧嘩は。」


「そっくりそのまま返してやるよ。」


「そんなに負けたいならギルドにしてくれない?」


「俺が負けると思ってるのか?こんなガキが勝つことなんてねーよ。無理無理。」


「じゃあ試してみるか。負けた方がギルドに闘技場を借りるためのお金を出す。それで成立だ。」


「いいぜ。闘技場は高くつくからせいぜいお小遣いを集めるんだな。」


「じゃあ移動するか。」


ー ー ー ー ー

着いたけど、魔術結界も物理結界も弱いな。

まともに魔法が打てないじゃん。


「なんだ?値段見てびびったか?今やめればまだ安いぞ。」


「愚痴を言ってる暇があるなら、戦う準備でもしたら?」


「準備なんてあるわけないだろ。呪術師じゃあるまいし。」


準備がないことは決してあり得ないのにな。

「じゃあ、始めるか。」


「桜華。審判をお願い。これはもとよりお前が美形なせいで始まったんだ。」


「わかりました。ではこれから一対一の勝負を桜華の名の下に開始します。」


さて始めるか。


「スタート!」


「俺は、ここから動くつもりはないから好きにしていいよ。」


「子供だからって手加減はしねぇぞ。」


「そうか、だから動けって?無理な願いだな。」


「はっ。死んでも恨むなよ。」


百科、コマンドを使ってみたい。こいつが10回振ったら開放してくれ。


《了解です。主》


やっぱり使えるスキルだな。これは


「どうしたそのままじゃ当たるよ。」


「うるさ。魔力解放、『プラン』お前にはこのぐらいでちょうどいいよ。」


ネックレスは、外してないから死なないはず。


「お、おい、そんなんで怯むと思ったのか?」


意外と耐えるなぁ。こっちの部下に欲しいぐらい。


「あと9回俺にそのチンケな刃物で傷つけようとしたら反撃するね。」


「はっ、本当は怯んで立っているだけでも辛いんだろう。お前なんかただの細い空間魔法のスキル持ちじゃないか。」


「お前に、r「桜華、いい。じゃあ、あと9回当てようとしてみたら?」


「ただ殺すだけじゃ収まらねぇ。痛い目見せてやる!」


キィン


金属と金属が当たった音がした。


「あと8回」


ギリギリ


押し合う音が聞こえる。


「そんな体格してこんな力しか出ないのか。あと7回。」


ガァン


さっきよりも低い音がした。


「疲れてきた?あと6回も残ってるよ?」


キン


さっきの中で一番短くて高い音がした。


「その体格でもう押し返され始めてるよ。あと5回」


カァン


すごく軽くて重みがない音がした。


「片手で難なく押し返せるようになっちゃったじゃん。あと4回」


「な、なんで倒れないんだよ。」


「うーん。お前が弱いから、かな。」


「なめんじゃねぇ。お前らとは戦闘の経験が違うんだよ。」


「そうだね。経験は俺らの方が圧倒的に少ないと思う。けど、ここまで技術と力に差があったら簡単に経験を技術でフォローできちゃうよ。」


「俺はっ、降参する。だからもうやめよう。」


「わかった。じゃあ仲直りしよう。」


「あぁ。ありがとう、なんていうと思ったか!」


キィン


今までで一番重い。流石にここまでくると両手で押し返さなきゃ無理だな。


「思ってない。というかそれ俺が言いたかったのに。」


「な、何を言ってんだ?」


「不意打ちしそうだから、桜花に喧嘩売ってくる時点でなんかもう嫌な奴だし。というか早く10回振ってくれ。桜華の怒りが今にも爆発しそうで怖い。」


「は?」


「いいよ。じゃあ、もう反撃しちゃうよ。」


百科。解放して。


「空間魔法スキル使いができることはたかが知れてる。やれるもんならやってみろ。」


「じゃあ遠慮なく。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

チートスキル『管理者』の異世界最強無双録 ぽてと @20110330

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画