衝撃ーショーゲキ からの考察

くまの香

衝撃ーショーゲキ からの考察

作者が二十代後半の頃の話である。


 子供時代にゲームをやった事が無かった作者だが、大人になって初めてゲーム機(プレステ2)を購入、同時に「バイオハザード」と言うゲームも購入した。

 「ディレクターズカット」が何かよくわからないし、コントローラーの使い方もイマイチ不明、手探りで始めたわりにかなりのめり込んだ。


 最初のムービー(導入部分)でコントローラーを握る手に汗をかいた。(怖いのが苦手だった。何故買ったw)

 ゾンビが倒せず、逃げ回りながら謎を解いて洋館を進んで行った。

 もちろんゾンビにガブガブされて百回以上ゲームオーバーになりつつだ。


 謎解きは楽しい。

 だが、途中でどうしても解けない謎にぶち当たる事もあった。

 入れる部屋には全て入った。残るはこの部屋の謎を解かないと、先に進める鍵が手に入らない。


 その部屋は壁に絵画が何枚も並んでいる。

 絵画の下にはボタンがある。

 ボタンを押すとゾンビカラスの大群に襲われてゲームオーバーだ。


 恐らく、何らかの順番にボタンを押すのだろうが、その順番がわからぬ。

 ……ヒントは、部屋に入った時のセリフ?『ゆりかご………なんちゃら』。うーむーうーむ。


 謎は解けぬ状態で、翌朝、いつものように出勤するために家を出た。

 駅まで自転車だ。


 うちから駅まで一本道なのだが、狭い割にいつも渋滞している。

 駅方面へ向かう道は車が連なり、少しずつ進む車を横目に自転車で走り抜ける。


 車は車間距離をかなり詰めて連なっていて、少し高い車体の車やトラックが並ぶと、対向車線側は全く見えない。


 その日、私は並ぶ車の横をいつものように直進していた。

 実は脇道に入りたい車が対抗車線側で右折するタイミングを狙って停車していたらしいが、私からは見えなかった。


 渋滞する側は、脇道からの車を入れたくないので車間を詰めている、私は脇道(左側)から出てくる車は注意していたが、対向車は見えなかった。


 対向車線で右折を狙っていたドライバーは、ほんの少し車が進んだ瞬間に、次の車が詰めてくる前にと、右折で脇道へと突っ込んだ。


そう、直進している自転車(私)は目に入らず。


衝突した。


 直進する私と右折で脇道へ突っ込んだ車とが、正面衝突、いや、車が右前方から自転車に突っ込んだ形だ。


 凄い力で斜め後ろ(横道)へ自転車ごと飛ばされた。


 が、このあたりで、時間がスロー状態になった。

 左の脇道の方へ、押し飛ばされ倒れそうになる自転車を、握ったハンドルを思い切り起こしバランスを保つ!

 足はペダルから外れて宙を舞っているので、腕だけが頼りだ。

 

 何とか自転車を安定させたところに再度車が正面からガツンと押してくる。そう、二度の衝撃があった。


 次の瞬間には、今度は時間が縮まった。

 さっき伸びてスローになった『時間』が、今度はまるで引っ張られたゴムのようにいきなり短くなったのだ。


 2度の衝撃の後は、横倒しになった自転車の上にチョコンと正座をする自分がいた。

 何故、どうやってそうなったのか、全く覚えていない。


 脇道を入ったすぐの所に、運転していた女性の勤め先があり、職場の方がどこぞ(警察?消防?)に連絡をした模様で、すぐに救急車が到着した。


 車の免許を持っていないのでよくわからないが、事故の時の対応はそれが普通なのかな。動ける(歩ける)状態で救急車に乗るのが凄く申し訳なかった。


 ちなみに診察の結果は、擦過傷と打撲だ。

 右足の膝から下の脛の部分が、ゾリっと皮が剥けて血が出てた。それと、数日後には身体中、数えたら26個所に青タンがあった。


 うぅむ。全く覚えて無い。

 あの、時間短縮の時に私がどんな経路で擦過傷や打撲を負う転がり?があったのか。

 青タンや脛の皮ベロンちょは、後々に結構痛かったけど、事故直後に物凄く痛かったのが、両腕の筋肉痛!


 そう、両腕の筋肉痛!


 普段は使わない筋肉と、そこに隠された力!それを事故の瞬間に使ったらしい。

 200%くらいの筋肉使用か!ってくらい、その日と翌日は大筋肉痛だった。


 もうひとつ。

 車とぶつかった瞬間に、頭に浮かんだのが、


「絵画の何故が解けた!!!『ゆりかごから墓場まで』のヒントは、絵画に描かれている人物の年齢だ!多分幼い順にボタンを押すんだ!」


 と、何故か閃いたのだ。


 派遣先に「事故で遅れる」旨の連絡を入れたら、「今日は休んでください」と言われたので、有り難くお休みさせていただき、もちろんゲームをした。

 はい。ゆりがごからの謎もビンゴ!



 あの当時は、ライトノベルとか異世界モノの小説は無かった。読んでなかったのではなく、おそらくまだ世の中に出ていなかったんじゃないかな?

 だから、あの事故の時は気が付かなかったけど、最近ちょっと考える事がある。


 『大した怪我もない車との接触』でさえ、STR(力)とINT(知能)の上昇、それと時間のスローとヘイスト、が起こった。

 何か途轍もない力が働いている。


 という事は、『トラックに撥ねられる』ほどの衝撃があったら、異世界へ行くくらい、普通に起こるよね?


 現在のライトノベルやネット小説の異世界ファンタジーで、何故、あんなに多くの『トラックに撥ねられ……』があるのか疑問だったのだが、自分の経験を思い出すと、ストンと腑に落ちたのだ。



 異世界ファンタジーは、トラックに撥ねられて異世界に行き戻ってきた人達が、書いているに違いない。

 もちろん全員ではないだろうが、それなりの数の経験者(トラックからの異世界)は、いると、私は思うのであった。

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