ドラゴンアライブ1
@yomirei
第1話 冒険の始まり
僕は今、肩で息をしていた。今まであの細く軽いはずの剣で、大型肉食恐竜みたいなドラゴンを相手していたのか。
切り落とされたその頭がすぐ前に転がっているのを見ると、とても不思議な気がした。しかし同時に、救出に来た時に火竜に鋼鉄の散弾をぶつけたときも、これくらいの効果があればいいと心から思ったものだ。
同時にそのドラゴンの胸と頭から赤い血のように何かが噴き出し、消えていった。ちぎれて飛んでいったのはあの「竜言語魔法」の魔力だろうか。
「おお、すごいな! 竜殺しだ!」
その声が僕の耳に届くまで数秒かかった。それは聞き覚えのない声だったが、誰の声かはすぐにわかった。僕は思わずそちらを見た。
一人の若い男が岩の上に立っていて、僕を見下ろしていた。
年齢は十代後半くらいだろう。髪は濃い茶色で長く伸ばして後ろで結んでいる。革製の鎧を着て腰から剣を提げているところを見ると剣士のようだけど、背が低くて子供っぽく、体も細くて頼りない。
しかし僕はその男に奇妙なものを感じていた。それが何なのかはわからなかったけど。
「竜殺しの冒険者なんて初めて見たよ」
その若い男がそう言いながら岩から下りてきたので、僕も我に返った。
「……あなたは?」
「俺かい? 俺は剣士だよ」彼はそう言って腰の鞘から剣を抜いた。「あんたと同じさ」
刀身には刃こぼれがあって、ところどころ錆も浮いているように見えたけど、それでもまだ使えそうだった。僕の剣と同じく、柄の部分に紋章が刻まれている。
「僕は……冒険者じゃない」
「そうなのかい? じゃあ何者だい?」
「……ただの旅人だ」
僕がそう言うと、若い男は声を上げて笑った。何がおかしいのかよくわからなかったけど、僕もつられて少し笑ってしまった。久しぶりに笑ったような気がした。
「そうか! いや失礼したね。あんたの戦いぶりを見てると、まるで冒険者みたいだからさ!」彼はそう言いながら僕の方に近づいてきたので、僕は思わず後ずさりしてしまった。「俺は剣士で冒険者の、オルヴェンだ。よろしくな」
彼はそう言って右手を僕に差し出してきたので、僕も自分の右手を差し出して握手した。彼の手は柔らかくて温かかったけど、僕の手もたぶん似たようなものだっただろう。
「僕は……アルヴィンだ」
僕がそう言うと、若い男はまた笑った。
ドラゴンアライブ1 @yomirei
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