第2話 出会い
嫌なことがあったら、砂浜を歩くに限る。
世の中、陽キャで要領がいいやつが得をするのだ。
それを嫌と言うほど思い知らされた。
どんなに努力をしたとしても、どんなに陽キャの真似事をしても、生まれ持った能力は変わらない。
それが世の中なのだ。
悲しいことに、これが真実である。
ーー私もあの青の中に溶け込めればいいのに。
憎らしいほどの青い空、何事もなかったかのような広い海、そのすべてが自分なんかいらない存在だといっているかのようだった。
そして、変わることのない明日が始まることに絶望し、今日も今日とて想いのみを海に沈める。
いつも絶望的な1日だが、今日は特に絶望的な1日だった。
ふと、考えてしまう。
友達もいなく、目標もない自分に生きる価値はあるのかと。
高梨瑠璃は砂浜をひたすら歩いた。
ふと、前方に何かが倒れてる。
近付いてみると、それは少年だった。
「大丈夫ですか!?」
水死体かも、と思い駆け寄る。
自分は第一発見者になるのではないか、第一発見者は疑われるのではないかと思い焦る。
「どうしよう!?救急車って何番だっけ!?」
慌てる手でスマホを取りだし、危うく落としそうになる。
震える手で番号を押そうとするが、誰かに手を捕まれる。
捕んできた相手を見ると、虚ろな目をした少年と目が合う。
何かを喋っているが聞き取れずに、耳を近付ける。
「……救急車も、警察も、呼ぶな……」
それだけ言うと、事切れたように少年は再び倒れた。
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