第3話 運命

見知らぬ少年を、家にあげてしまった。


少し茶色っぽい髪で、顔はどことなく幼い。

どこかで見たことのあるような顔。

いつも見てるような、見たことないような……。

しかし、まとっている雰囲気は陽キャなような気がする。

ろくな会話もしてないのに、最初のインスピレーションだけで決め付け、勝手に敵視する。


ならば家にあげなければいいものを、放っておけずにあげてしまった。

なぜか、放っておいてはいけないような気がした。


「でも、男は入れちゃまずいでしょ……」


女の独り暮らしである。

いくら頼まれたとはいえ、救急車や警察に任せるべきだった。

今更ながら、恐怖が襲ってくる。

考え出すと止まらなかった。


「……ん?ここは……?」


瑠璃が恐怖に支配され始めると同時に、狙っていたかのように少年が目を覚まし、瑠璃と目が合う。

最早パニックである。

瑠璃はとっさに部屋の隅で縮こまる。

少年は、自分の状況を把握しきれてない。


とりあえず少年は部屋の隅にいる瑠璃に話しかけようとしたが、瑠璃は部屋と少年の僅かなスペースを見つけ逃げ出す。

少年が反応する間もなく、瑠璃はそのまま外に逃げ出した。

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