第4話 ミンナナカヨクシマショウヨ

完全に逃げ切った。


しかし、逃げ切った後の事を考えてなかった。


今いる場所がどこか分からない。

スマホも置いてきてしまった。

住宅街のようだが、周りにコンビニなどはない。

しかも通行人もいない。

絶望的な気分で住宅街をさ迷う。

それに見知らぬ男を家に置いてきてよかったのだろうか?

家の中を荒らされ、何か盗まれていないだろうか?

考えると不安しか出てこない。

警察を呼んだ方がよかっただろうか?

自分で連れてきたのに、自分勝手と思われるだろうか?

とりあえず知ってる道に戻らねば。


そう一旦思い直したところで、違和感を覚えた。

--この道、さっきも通らなかったっけ?


「皆、仲良くしましょうよ」


「--は?」


いきなり眼鏡をかけた男性が現れた。

しかも一人で意味不明なことを言ってる。

他に辺りに人もいないから道を聞こうと思ったが、明らかにまともな人間でない。

こちらに気付いた男性が、目を細めた。

とても不気味だ。


「私は皆で仲良くしたいだけなんですよ。それなのに、皆私の前から消えていってしまう」


「え?」


「君はどうなんでしょうね?」


男がゆっくりとこちらに近付いてくる。

逃げたいのに動けない。

そのとき後ろから声がした。


「その男から離れろ!」


後ろを振り向いたら先程の少年だった。

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海底帝国 原 可霧 @241kamuful

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