友人

海月

友人

俺(25)

友人(25)

知らない人(21)


約10分

____________


_回想_


友人「あいつ馬鹿だよな…馬鹿なんだよ…馬鹿…だったんだよ…」(泣いている)


俺M「よく分からない状況に俺は唖然としたが、初めて見た友人の泣いている姿に只事ではない。それだけは分かった。」


友人「だってよ…死んだんなら電話鳴ったかどうかなんてわかんねぇだろ?」(泣きながらくしゃっと笑う)


少しの間


俺M「これは、俺の友人の話」


______________


_職場_


俺「なぁ、なにぼーっとしてんだよ」


友人「え?あ、いや…」


俺「なんだよ」


友人「いや、なんでもねぇ…」


俺「んだよ、らしくねぇなぁ」


友人「…なぁ、今夜暇?」


俺「ん?まぁ、暇だけど」


友人「んじゃあ、仕事終わったら、家で飲まねぇ?今日定時で上がってさ」


俺「え?まぁ、いいけど。…珍しいな、お前から誘ってくるなんて」


友人「…いや、そういう気分だったんだよ。…帰り、スーパーでも寄って、適当に買って飲もうぜ」


俺「おう。とっとと仕事終わらせろよ。」


友人「わかってるよ」


俺N「その日、彼はあまり元気がなかった。いつもと雰囲気が違った。

いい感じの女に振られたってところか。その程度にしかかんがえてなかった。」


________________


_夕方 スーパー_


俺「はぁ、今日も疲れたあ」


友人「だな」


俺「なんだよ、今日元気なかったな」


友人「え?」


俺「女にでも振られたか?」(からかうように)


友人「…いや、、まぁ、そんなとこだ」


俺「ふーん。やっぱり。そんな落ち込むなよ!さぁて、何飲もっかなぁ……」


友人「…」


俺「ん?プリン?お前好きだっけ?」


友人「いや、これは、別の人の」


俺「ふーん」


友人「帰り、ちょっと寄りたい場所あるんだけどいいか?」


俺「え?まぁいいけど」


____________


_信号機前_


俺「ここら辺初めて来たなぁ、家は反対方向だしあんま来ねぇんだよ」


友人「…ここ」


俺「え?」


_ビニール袋からプリンを取り出す_


俺「ん、お前そのプリンここ置いてくのか?」


友人「あぁ、…ちょっとな」


俺「…」


俺M「これ以上聞けなかった。聞いてはいけない気がした。」


俺「さっ!行くか!沢山飲むぞ!」


俺M「俺は気にしてない振りをした。」


_____________


俺「やっぱりお前ん家綺麗だよなぁ」


友人「そうか?まぁ、散らかってると落ち着かないしな」


俺「すげぇ、俺んちなんかゴミ屋敷だぜ」


友人「ちょっとは片付けろよ」


俺M「他愛もない話。だらだら駄べりながら、飲みながら、ただただ時間が過ぎていく。そして、飲み始めて1時間くらいが経った夜8時6分」


_足音_


俺「ん?だれか来たのか?」


友人「え?誰も呼んでねぇけどな」


_扉が空く_


友人「え、お前、」


俺「ん、誰だ?」


知らない人「よぉ、久しぶりだな。あと、これありがとな」


友人「…あぁ」


知らない人「毎年毎年ありがとな。プリン」


友人「……」


知らない人「なんだよ、暗い顔して」


友人「ごめん…」


知らない人「なにが」


友人「ごめんな…」(今にも泣き出しそう)


知らない人「だから何がだよ」


友人「…ごめん、本当にごめん」


知らない人「はぁ……。」


少しの間


知らない人「なぁ、あのな、言い忘れたことがあった。」


少しの間


知らない人「俺な、気づかなかったよ。お前の電話」


友人「うっ…(泣き出す)」


知らない人「それだけだ。じゃあな、邪魔して悪かった。」


俺M「友人はしばらく泣き止まなかった。何が起こったのか、彼が誰なのか、僕は少しパニックになった。」


俺「…おい、大丈夫か?」


友人「あいつ馬鹿だよな…馬鹿なんだよ…馬鹿…だったんだよ…」(泣いている)


俺「……」


友人「だってよ…死んだんなら電話鳴ったかどうかなんてわかんねぇだろ?」(泣きながらくしゃっと笑う)


俺「…え?」


友人「あいつ、死んだんだよ。4年前の今日、バイクの事故で」


俺「…は?」


友人「俺がな、電話、かけちまったんだよ」


俺「…」


友人「でも、気づいてなかったってよ…あいつ、俺の電話気づいてなかったってよ」


俺「あぁ…そうだな」


友人「…ごめん…ごめんな……ありがとな…」


少しの間


俺N「皆さんは、生きてきた中でとてつもなく後悔したことはありますか?


これは、少し不思議な、友人の話。」

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友人 海月 @harusame_hau

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