第71話 アフター 10(物語最終話)
里帆が妊娠してから半年が過ぎたこの年の11月、11月生まれの僕は誕生日が来て18歳になった。
18歳とは、この国における成人年齢だ。
だから18歳になったその日、僕は里帆と入籍した。
催眠アプリに対して演技をしていたんだ、とバラした2年前のあの日、僕は里帆に婚姻届を渡している――みんなを平等に愛するけど、戸籍の部分では里帆を優先するという約束と共に。
だからその誓いを守る形で、僕らは晴れて夫婦となったわけである。
そして翌年の3月、里帆は無事に元気な女の子を出産した。
名前は僕と里帆の名前を掛け合わせて、――
この分だと里奈ちゃんが子供を産んだら琉奈となりそうだけど、まあ良いだろう。
そして琉帆生誕の翌月には、僕は大学生となった。萌果もそうだし、氷海もそうだ。
保育士を目指している萌果は、小学校の先生にも興味があるとのことで、ひとまず両睨みの状態で教育学部に進学し、氷海はイラストの上達を目指して予定通り美大に進んだ。
そんな感じで目指すモノがある2人に関しては、ひとまず子供を欲しがることはなかった。まずは目標に向かって突き進むらしい。
でも子供を欲しがらない理由はそれだけじゃなくて、今自分たちが孕めば年下の里奈ちゃんだけが高校生ゆえにまだ孕めず仲間外れになるから、足並みを揃えようとした部分もありそうだった。自分が良ければそれでいい、とはならない僕の恋人たちは素晴らしいとしか言いようがない。
僕は僕で、大学に通いつつ引き続き忠犬アプリの運営に力を入れている。
現状のDL数は350万を超えたところで、多少ペースは落ちたがそれでもまだ順調にアクティブユーザーを増やしていて、収益に陰りがあるわけでもなく、下手さえこかなきゃユーザーを囲い込んでいけると思う。
ちなみにこの年の6月、僕らは全員で結婚式を行った。
とある教会を貸し切って、身内のみで。
戸籍上の妻は里帆だけど、婚姻の儀式自体はみんなで。
それが僕らのあるべき姿であって、運命共同体として頑張っていかねばならない。
そんな風に僕らは愛を誓い合ったのである。
そして、それから色々とありつつ、僕らの時間は更に3年が過ぎた。里奈ちゃんも大学生となって、僕らはいよいよ全員が成人年齢を超えた。
僕、萌果、氷海の同い年トリオは大学4年の時期で、この頃になると僕は就職せずに個人でアプリ事業に取り組むことを決め、萌果は保育士の道に進むことを決め込んで、氷海はイラストレーターとして名を馳せ始めていて、割と順風満帆。
里帆は里帆で育児をしながらオナサポ音声を売り続けているし、里音さんは音楽事務所の執行役員にまで昇進しており、頼もしい限りだった。
そしてこの時点で、里奈ちゃんは僕の子供を孕んでいる状態だった。高校時代の約束通り、大学生となった瞬間に孕ませてあげたわけだ。
里奈ちゃんだけでなく実は氷海も妊娠済みだ。
萌果は保育士になるために孕んでいる余裕がないものの、仕事に就いてから余裕が出てきたときにきっちり孕ませるつもりだ。
ゆくゆくは5人の母と5人の子供、いや、子供に関してはもっと増えて大家族になることを夢見ている。
とにもかくにも、色々順調。
この頃になると忠犬アプリは目標だった500万DLを達成していて、僕の年間収益はAI技術ノウハウを他企業に教示する技術提携契約などの影響もあって億に到達していた。絶対に無理だと思っていた5世帯分の年収を、結構オーバー気味に稼げるようになったということだ。
もちろんこれを維持していくのが大変なんだろうけれど、里帆たちも稼いでくれているから僕が万が一ダメになってもなんとかなるのは間違いない。
そんな僕らは月に一度、6Pを行う(唐突)。
琉音と琉帆が寝静まったあと、リビングに集合して夜通しヤりまくるわけだ。
もちろんまずは愛撫から。
手始めにやるのは当然ながら――
「――あんっ♡ 琉斗ったら赤ちゃんみたい♡」
セクシーなネグリジェを着ている里帆のおっぱいをあらわにさせてべろんべろんに舌を這わせて吸い付くことだ。母になっても綺麗な桜色を維持している魅惑の先端を、たわわな乳房を揉みながら吸うともう気が狂うほど気持ちいい。
「おねえのおっぱいだけじゃなくてこっちもお願いね♡」
「そうそう、あたしらをお留守にすんのはダメ♡」
里奈ちゃんと氷海の妊婦コンビが僕の顔面におっぱいを寄せてくる。
2人ともまだ出産までは遠いものの、妊婦に変わりはないのでソフトに扱うことを念頭に置く。
「あたしのことも忘れちゃダメでちゅよ?♡」
そして20代になってもぷにろり加減が変わらない合法ロリの萌果ママのちっぱいもちゅうちゅうしながら、里音さんのお口テクが僕の息子を襲っているという天国みたいなシチュエーションだ。
もちろんこのあとは順繰り順繰り5人のことを代わる代わる抱きまくり、性運動をたんまりと堪能した。
爛れつつも幸せな生活。
それが始まったきっかけは、言わずもがな催眠アプリだ。
当時の僕は里帆たちを騙す演技をしていた。
褒められたことじゃなかったと思うけど、そんな振る舞いの影響でこの未来を引き当てられた部分ってあると思うんだ。
たとえば僕が爆速で演技をやめていたら、里帆たちは一切エスカレートせずに催眠アプリの使用をやめて、えっちな関係に進展することもなく、こんな状況には絶対ならなかったと言える。
だから当時の僕は間違っても良いことをしていたわけじゃなかったけれど、周囲の誰もが報われる未来を引き当てるために必要なことをしていたんだと思う。
そう考えると催眠アプリに振り回されていたかつての日々は、有意義なモノだったと言えるはず――。
「――ねえ琉斗、これからも幸せな日々を築き上げていきましょうね?」
「もちろんだ」
言われるまでもなく、催眠アプリのおかげで築くことが出来たこの幸せな環境を、僕は死ぬまで手放さずに謳歌していこうと思う。
サンキュー催眠アプリ。
フォーエバー催眠アプリ。
あまりにも数奇で最高の環境を整えてくれて、本当にありがとう――。
了
――――――――――
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
幼なじみが催眠アプリを見せ付けてきたので食らったフリをしたらキスされた 新原(あらばら) @siratakioisii
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