第37話 第3のお誘い
「――さて、琉斗の深層心理に命じるわ。昨日は里奈とどういうことをシていたか教えてもらえる?」
里奈ちゃんのフロンティアを開拓した翌朝。
僕は里帆から起こされたあと、催眠アプリを見せられてそう命じられていた。
昨日の里帆は割と遅めに勉強会から帰ってきたので、僕らの状況をまったく把握していないのだ。
……教えるのは怖くもあるが、里帆自身も多少お膳立てしていたわけで、どういうプレイ内容であれ怒ったりはしないだろう。そんな考えのもと、僕は虚ろな演技を行いながらメモ帳を用意してプレイ内容を素直に記し始めた。
「――ふぁっ!? ア○ル!?」
そら驚きますよね……。
ちなみに斜向かいの部屋では、里奈ちゃんが「ふふん」とドヤ顔中である。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ……じゃあ前はどうしたわけ?」
【ヤってない】
僕は記述を追加した。さすがに前後を同時に散らすのは身体の負担がデカそうなので、里奈ちゃんの方からセーブをかけてきた感じだ。前はまたいずれ、だろうか。でも里帆がお情けを掛けてくれるのは昨日だけだったろうし、この先は穏やかではなくなりそうだな……。
「ま、まさか後ろを捧げるとはね、予想外だわ……かくなる上は、私も備えておくべきかしら」
里帆が対抗心を燃やし始めている……僕はいずれこの姉妹の両穴を奪うことになってしまうんだろうか。
「……でもちょっと怖いから時期は未定ということで」
まぁ、それが普通の反応だよな。里奈ちゃんが色んな意味で狂い過ぎている。まだJCなのに開発済みなんて……里奈ちゃんにお熱なクラスの男子が居た場合、そいつの脳を破壊しかねないトンデモ情報だ。
「まぁとにかく、里奈の今回の行動は許しましょう……私がお膳立てした部分もあるのだしね……でも次からはそう簡単には出し抜かせないんだから……」
里帆はそんな決心の言葉を述べたのち、
「さてと……じゃあそれはそれとして、今朝は里奈には絶対出来ないことで琉斗をスッキリさせてあげるわ♡」
里帆がおっぱいをまろび出そうとしていた。
サンドの時間か……ふぅ、さて、演技の維持に励まねば。
◇
「――え、里奈ちゃんと後ろでヤった!?」
時間は幾ばくか過ぎ去り、放課後を迎えている。
この時間は氷海が一緒に勉強しようと誘ってくれたので、僕は久しぶりに氷海の自宅を訪問中である。
平屋建ての、武家屋敷みたいな家だ。廊下はフローリングだが、各個室は全面畳張り。氷海の部屋も当然そんな感じで、ギャル化した今の氷海と和風な内装がアンバランスでちょっと面白い。
「マジで後ろでシたの?」
「……おう」
「後ろってさ……お尻、ってことだよね?」
「……当たり前だろ」
「……琉斗鬼畜じゃん」
「いやいや……僕はただ里奈ちゃんの指示に従っただけだからな?」
僕個人の趣味嗜好みたいに言われるのは心外である。
「そりゃそうなんだけどさ……でもJCの後ろに出し入れって冷静に考えてヤバない?」
「……ヤバいとは思ってる」
「ちなみにゴムはしたんよね? さすがに」
「それはさすがにな」
「で、前ではシなかったってこと?」
「ああ……負担を考えてな」
「ふーん、そっか……」
氷海はペンをくるくると回しながら、
「じゃあ琉斗は……里帆さんの前門と、里奈ちゃんの後門を奪った、ってことになるんだね……」
……後門がそのまま過ぎる。
「なんかさ……あたしのハードル勝手に上がってる感ない?」
「お前のハードル……?」
「だってほら……琉斗はもう前も後ろも味わったわけじゃん? じゃああたしはこの先何を差し出せばいいんだろうって話なわけで」
「……無理に差し出さなくていいんだぞ?」
「それはヤダし……あたしだって琉斗とえっちシたいもん」
……催眠アプリを介さずにそういうことをダイレクトに言われると、僕の中には結構ムクムクと沸き立ってくる感情がある。氷海には演技しなくていいし、言うなれば理性を保つ必要がない。とはいえもちろん、雑に手を出すことはありえないけども。
「ねえ……琉斗はあたしとえっちシてもいい、って思ってる?」
「脅されれば、しょうがないかもな……」
素直にシたいと言うのは恥ずかしいのでそう告げる。ヒミツを握られている状況は、ある意味じゃ僕にとっても都合が良いのかもしれない。
「じゃあ脅してもいい……?」
「脅したいならどうぞとしか……」
「ほな、今からえっちシよ? シてくれないなら演技のことバラす」
「い、今からかよ……僕ゴム持ってないぞ?」
「……あたし持ってるし」
そう言って机の引き出しから未開封の1箱を取り出してみせる氷海……。
……準備万端かよ。
――――
つづく
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